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ライジング・サン  作者: 村松康弘
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三羽が階段上部の隅で様子を窺っていると、3階から早くも銃声が響いてきた。

種類の違う銃声が交じり合う、男のリボルバーは口径がでかい気がする。・・・悲鳴が上がる。

三羽は壁から顔を半分出す、途端に数発の銃弾が飛んできて耳元を掠めた。衝撃波でめまいがした。・・・弾は突き当たりの壁のコンクリートを抉った。

「ちきしょうが!」腹から怒りが沸きあがってくる。ベレッタの安全装置を解除し、壁から右腕だけを出して銃爪を引く。

右手の中でベレッタが生き物のように暴れ、手首が反り返る。もう一発ぶっ放す、突き当たりのガラスが粉々に吹っ飛ぶ。反動には慣れてきた。

快感で背筋が震え上がってきた。三羽は怖いものがなくなった気がする。

「うぉぉあー!」廊下からひとつ目のドアを開けて、転がり込む。目の前に腰の高さの棚があったので、そこに身を伏せる。

すると二方向から銃弾が飛んできて、棚のアルミ板をぶち抜き、『キューン』と三羽の身体スレスレに飛んでいった。

・・・全身がゾクゾクしてきた、肌がヒリヒリするような興奮なのか快感なのか、とにかく戦意がマックスに達している。

(ぶち殺してやる!)三羽は意を決して、ベレッタを構えたまま立ち上がる、あわてて伏せようとする敵の姿が見えた。

銃爪を引き絞る、銃弾は硝煙を上げて飛んでいく、敵は右肩をぶち抜かれぐるっと回転しながら倒れていく。

同時に別方向からの銃弾が、三羽のジャンパーの左袖を抉る。焼けるような痛みが走った。

「ちきしょうめ!」発射された衝立の陰に、3発立て続けにぶち込む。手ごたえがあった。

・・・部屋から生の気配が消えたので、ひとり目の方へ行ってみる。男が白目をむいて倒れている。そいつの拳銃を奪い、とどめを刺す。

もうひとりの方は、腹部からハラワタをはみださせて死んでいた。

『殺した』という罪悪感は不思議と湧いてこなかった、(殺るか、殺られるか。それだけのことだ)


となりの部屋からも撃ち合いの音が聞こえて、悲鳴が上がった。三羽はドアを開けて廊下に駆け出す。

音がした部屋のドアが開いたので、ベレッタを構えると女が出てきた。女も拳銃を構えている。

「あんたね?三羽くんとかいう坊や」女が構えを解いたので、三羽もベレッタを下ろす。

「あんたは?」訊くと、「ケモノの身内。・・・お嬢は心配しないでね」と言い、あたりを見回す。

「内田がどこかにいるはず・・・」と言いながら、銃声が続く3階へ向かって行ったので、三羽も黙ってついていく。・・・左腕の傷は大したことはないだろう。



唐沢のミニバンは上越ICを下りて、18号に合流する。一般道の遅さにまたイライラする。

「コウヤ、焦ったって仕方ないよ。気長に気長に」千夏はなだめようとするが、唐沢は聞いている風でもない。

8号に入りしばらく走る、ナビが打ち込んだ犬井商事の住所までの道程を示す。

ミニバンは正確に目的地に近づく。『モクテキチシュウヘンデス』唐沢と千夏はあたりを見回しながら、ゆっくり走る。

「あっ!あれじゃない?」千夏が指をさした方向に、3階建てのビルがある。前にはガンメタリックのハイエースが停まっている。

「あれだ!間違いねえ!」ミニバンをビルの30m手前に停める、様子を窺う。

「電気がついてないね、誰もいないのかな?」2人で凝視していると、突然3階の窓ガラスが粉々に吹っ飛んだ。

「・・・!」2人とも茫然と眺めていると、今度は銃声が響いてきた。2階の窓ガラスが吹っ飛ぶ。

「タケル・・・」唐沢も千夏も蒼白になり、硬直していた。


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