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虹の彼方へ  作者: みかん
6/11

希望

目の前にいたのは、神楽でもなく如月でもなく、bossだった。


「改めまして朱雀にございます」


bossまでやっぱりアタシに跪く。


『ヤメて下さい』


人が見て、、、無いね。って言うか、誰も居なかった…。


bossは白じゃなく、黒のツナギだ。


boss、やっぱり若いよなぁ…。


やっぱりホストみたいだ。


スタイル良いし。


bossがくれたSMTのお陰で気持ちが落ち着いたアタシ。


そんなコト言う余裕が出来てるよ。


『どうしてbossがいるんですか?』


アタシの問いに、bossは苦笑いした。


「妃杏様までbossはおヤメ下さい。しかも普通にお話下さい。妃杏様にそんな話し方をされてしまったらワタクシは妃杏様にどう話せば宜しいんですか?」


プッッッ。


bossってば可笑しく言うモンだからついつい笑っちゃったよ。


「落ち着かれましたか」


bossって、神楽より神的な安心感がある。


きっとパパより若いんだろうけど、パパみたい。


あ゛っっっっっ!!!!!


アタシ今、自分で墓穴掘らなかった??


“神楽”って。。。


胸がギュッとなった。


ついぼんやり一点を見つめてしまう。


「神楽はあの通り言葉が少なく不器用で、自分を出さないオトコですから良く誤解を招きやすいのが難点です」


ん?


bossが微笑みながら話し始めた。


アタシはbossを見てジッと話に耳を傾けた。


時々SMTを飲みながら。


「アイツはエージェントの中では一番過去に類を見ない程に優秀でして、研修後すぐにセントラルセクションと申しまして幹部候補のいる部署に打診したのですが、3年経った今でも現場に居続けております」


何でそんなコト今話すんだろ。


『“伝説のエージェント”ってのは如月に聞いたよ。“未だに満点取り続けている”って』


「そうでしたか。如月もお喋りですね」


優しい笑顔のboss。


アタシはホントに心から安心しているらしく、疑問を全てbossにぶつけた。


“200年以上も未来なのに名前にしてもコトバや行動にしてもヤケに未来感を感じないのはどうして?”


って。


話が脱線しているにも関わらず、bossは分かりやすく優しく教えてくれた。


「何百年経っても今の生活に慣れると昔のコトが良く思えて来るものです。」


って、実に簡潔に分かりやすく教えてくれた。


確かにね。


今だって古くても良いものは継がれてるもんね。


何か、モノ凄く簡潔だけど、モノ凄く深いコトバだったよ。


で、話は然り気無く元に戻った。


オトナだな、bossって。


さすが“最高責任者”…。


神楽のコーヒーの話を持ち出して然り気無く神楽の話に戻した。


「神楽がアカデミアの試験を受けた際、ワタクシも面接官として会場におりました。普通、志望動機は“琉冠星の為に”ですとか“皇王様の為に”などを言うのですが、神楽だけ、その時は居られないハズの“妃杏様にお仕えする為に”とキッパリ我々を見据えて言ったんです」


えっっっっっ?????


顔が固まった。


「面接官全員がその時は驚きましたが、それほど気にしませんでした。ですが入省後の配属希望を聞いた際もやはり“妃杏様の捜索に携わりたい”と言うので不審に思いながらもとりあえずはそうしました」


何で?


アタマの中かなり混乱。


「その後も依然として満点を取り続けているのでイイ加減ランクアップの打診をするんですが、何度しても“現場に居たい”としか言いませんでした。」


何?ストーカー?


恐怖すら覚えるよ。


アタシ、今凄い顔になってると思う。


「今回妃杏様のご無事を確認出来た時も、“自分を妃杏様に付かせて欲しい”と真っ先に来たので、さすがに今度ばかりは2つ返事で認めるワケにはいかないと思いまして、ワケを問いただしました。言わなければ認めないと言うと、神楽は一枚のポケットタオルと言う、今で言うバンダナのようなモノを胸ポケットから取り出しました」


バンダナ?


思わず眉間にシワが寄る。


「そのポケットタオルにはインペリアルエンブレムが刺繍されており、その刺繍が入ったモノは我々も携帯しておりますが、神楽の持っていたモノは我々の持っているモノとは多少異なり、しかも良く見ると妃杏様のお名前入りでした」


アタシの名前入り?


ワカンナイ。


アタシの顔を確認しながら話すboss。


「神楽は話し始めました。神楽が7歳の時、家族で皇王様が主催のパーティーに呼ばれ参加したそうなんですが、その時子供だけで中庭で遊んでいた際、神楽が足を滑らせて階段から激しく転がり落ちてしまったそうなんです」


・・・・・・・・・・・・


思い出せないぞ?。


「子供達ダケですからオトナは妃杏様のSPだけでしたのですかさずSPが神楽に駆け寄ったのですが、」


あ゛ぁぁぁぁぁ!!!!!


アタシは一気に鳥肌が立った。


アゴが外れるくらいに口を開けて。


「思い出されましたか?」


bossの意味深な笑顔にアタシは小さく激しく頷いた。


あの時のコトが蘇ったから…。


神楽だったの?


神楽は今22歳-間もなくアタシは17歳=5歳。


当時の神楽は7歳ー当時のアタシは2歳=5歳!!!!!


『SPよりアタシが一目散に神楽に駆け寄り、オトナの手を借りずにアタシが応急処置をしたんだ。その時に使ったのがポケットタオルだった』


アタシがレジスタニアに教われた時のコトを思い出した時と同じような勢いで、今アタシの忘れていた記憶がラッシュで蘇ってくる。


「周りの子供達はもちろん、SPも圧倒される程の毅然としていて迅速な対応に、神楽は妃杏様に忠実を尽くすコトをその時に誓ったそうです」


アタシは愕然とするしか無かった。


“また1人、妃杏様に忠義を尽くす者が増えちゃいましたね!”


“妃杏は小さい頃からこうだから”


あのコトバはそう言うコトだったんだ!!!!!


そんなぁ…。


それだけで15年も??


どこまで生真面目なのよ。


「その後止めるSPを振り切りインペリアルホスピタルのドクターをお呼びになり、神楽に処置を受けさせたそうで。皇妃様に確認したトコロ、皇妃様も思い出されたそうで、大変驚いておいででした」


お母様?


あぁ、お見送りした時に隣にお母様がいたっけ。


って、相変わらずあたしゃ何者なんだよ!!


我ながら末恐ろしいガキだよな。


「タオルを返しそびれてしまい、ソレ以来ずっと神楽は肌身離さずタオルを御守りとして持っていたそうです。」


堅物もイイトコだよ。


天然記念物並みだな。


「アイツは妃杏様付になるコトだけを目標に、アカデミアからずっと満点を取り続けて来たそうです。将来皇王となる御方のSPとなるとそう簡単にはなれないですから」


バカじゃないの?


ちょっと胸が熱くなっちゃうじゃないの!!!


「ですから妃杏様、妃杏様がお戻りになられた際の妃杏様のセクションの責任者に神楽を任命したいのですが、御承認頂けますか?」


!?!?!?!?!?


アタマに血が昇る。


「皇大王様はじめ、皇后妃様・皇王様・皇妃様の御承認は頂いております」


えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。


即答出来ないよ。


普通、こんな話聞いた後なら即答するよね、きっと。


だけど、出来ないのは何故?


「神楽のコトがお好きなのですか?」


ぶぅおおおおおん!!!!!!!!!!(←顔から火が出る音)


でも哀しいかな、反論出来なかった。


『アタシ、神楽にヒドいコトしちゃった!!』


アタシ、半泣き。


泣かないって決めたでしょ!?


「アイツなら大丈夫です。ワタクシがココにいるのは、アイツが困り果てた顔でワタクシのトコロに来たからなんです。“妃杏様を著しく傷付けてしまいました。今ワタクシが妃杏様の元にいるワケにはいきません。代わりをお願い出来るのはbossしかいません。他のエージェントにはお願い出来ませんので。”とアタマを下げられました」


神楽…。


ダメだ、涙で視界が滲んでくる。


『アタシ、どうしたらいいの?神楽を傷付けたよ?』


bossは神がかったような微笑みで答えてくれた。


「ご安心下さい」


bossの視線の先には、車で迎えに来ていた神楽と如月の姿があった。


滲んでいた涙が激流に変わった。






その後3人の前で昨夜のコトと昼間のコトを話した。


3人が3人、絶句状態だった。


アタシの報告によっぽど衝撃を受けたみたいで神楽は夜部屋でずっとPPに向かいっきりだった。


「妃杏様をサーチアップしたの、ワタクシじゃなくてチーフだったんです」


今日は珍しくベランダに如月が来た。


神楽が一心不乱にPPに向かっているのを見かねて来てくれたんだね。


「でもワタクシに行かせてくれたんです。ソレが無かったらワタクシは今頃、妃杏様の恩赦を頂く前にとっくにベースバックになっていたに違いありません。ですからチーフには一生アタマがあがりません」


苦笑いで話した。


アタシは薄笑い。


「初めは担当がチーフだって聞いて、正直やる気が失せました。実際やってみても口を開けば怒鳴られるだけで。でも、今はチーフがチーフで良かったって心底思ってます」


へぇ。


意外と素直じゃない。


「今、センターでは誰が妃杏様のセクションの責任者になるかって話題で持ちきりなんです」


思わず口に含んでいたお茶を噴水のように吹き出してしまった。


「妃杏様!大丈夫ですか???」


如月が慌てて拭いてくれる。


忘れかけてたよ。


“神楽を妃杏様セクションの責任者に任命したいのですが”


bossのコトバを。


「このまま妃杏様がいてチーフがいてワタクシがいて。最強ですね。」


空を見上げて言う如月の顔は無邪気そのものだった。


『アタシなんかのSPでいいの?』


不安一杯のアタシ。


そりゃ知らない誰かが付くよりは、神楽と如月がいてくれる方がラクはラクだけど…。


「何言ってんですか妃杏様!」


へっ?


「風呂行ってきますね。妃杏様は何かを勘違いなさってお出でですよ?」


如月は含み笑いを浮かべて部屋に行ってしまった。


どういうコト?


“妃杏様は何かを勘違いなさってお出でです”???


何を?????


おっ!?この香りは!!!


「どうぞ」


神楽コーヒーだ♪


神楽が何も無かったかのように登場。


『神楽、ごめんね』


やっと言えた。


「何がですか?」


あっけらかんとしている神楽。


ったく、ムカツクわぁ。


『アタシね、宇宙飛行士になるのが夢だったんだ。神楽は?』


わざとあの話に持っていくためにアタシはこんな話を切り出してみた。


「もう叶いました」


へっ?


拍子抜けしたけど、何と無く予想付くな。


「ですが、実際はそんな簡単なコトじゃありませんでした」


ん???


普段は自分からは多くを語らない、しかも自分のコトなんか尚更喋らない神楽が嬉しそうに話し出した。


「幼い頃にある御方にとてもお世話になりまして、ソレ以来ある御方にお仕えするコトだけを夢に掲げ、ここまで参りました」


アタシがその“ある御方”ですが?


「先日その夢が叶いましたが、叶っただけでした。だからまだ夢の途中です。」


“夢の途中”?


『ドコがゴールなの?』


聞かずにはいられなかった。


じゃないと本題に入れないから。


「その御方にご満足頂けるまではゴールとは言えません」


ったく、何処まで真面目なのよアンタは!!


真面目?とは違うかなぁ。


『バカじゃないの?たった一度助けてもらったくらいでその後15年も一途に想い続けるなんて。一歩間違えばストーカーよ?呆れてモノも言えないわ』


つい抑えきれずに言っちゃったよ、勢いで。


うわぁぁぁぁぁ。


モーレツに後悔。


神楽の顔、見れない。


「でしょうね」


ん?笑ってる??


“でしょうね”って、アンタねぇ。


でも、嬉しそうだよ?


『じゃあ聞くけどさぁ、その“ある御方”がアンタの未来のコトで悩んでたらどうする?』


「は???」


唖然とする神楽。


アタシはコーヒーに口を付けた。


やっぱり美味しいワ。


『“ある御方”が神楽を責任者に任命するコトを承認してくれってbossに言われて困ってたとして。神楽みたいなハイレベルなエージェントが自分なんかの責任者なんかでイイのかって悩んでたとして。もっとイイ未来があるハズなんじゃないかって』


恥ずかしいぃぃぃぃぃ。


顔は平然としているけど、内心はかなりバクバク。


アタシ、下手だなぁ。


コレってアタシだって言っちゃってるよね。


我ながら、下手さに天晴れだわ。


アレ?神楽、黙ってる。


表情、固まってるし。


うわぁ、気まずぅぅぅ。


どうすんのよ?この沈黙。


星空を見上げて考え込む。


「ワタクシごときのコトでそこまで御気遣い頂いていたコトが申し訳なくて申すコトバもございません」


ようやく声を絞り出すように静かに話し出した。


神楽のこんな聞いたコトの無い声に、ちょっとうるうる。


「ワタクシはその御方に忠義を尽くすのが夢ですから、その御方の御意思に従うだけです」


神楽、涙声??


「如月が戻って来ましたので入浴して参ります」


タイミング良すぎだろ。


ったくさぁ、どうしたらイイの?


だって事務次官になれるだけの力がある人がアタシのイチSPなんかで良いワケ無いじゃないのよ。


でも、“アタシが戻ったら”か・・・。


あと2週間で強制送還。


現実味、あるようで無いなぁ。


ぼんやりと空を見上げたまま。


「まだお考えになっていらしたんですか?」


如月登場。


アタシは大きく頷く。


『如月…、どうしたらイイと思う?』


如月ってば真剣に悩むアタシを見て楽しんでんのか、やたらとニヤケてる。


『何よその顔』


口を尖らせるアタシ。


「bossから何も聞いてないんですか?。」


何?この思わせ振りな発言は…。


・・・・・ んんん???


bossぅ??


「インペリアルゲートは、最高責任者のbossの下が皇王様のセクションの責任者になります」


何だ?突然。


「その下が、順に後継者様、皇大王様、皇妃様、皇后妃様、皇子様方の責任者になります」


んんん???


その下が後継者様?


すなわちアタシぃぃぃ??


目を大きく見開く。


ますますニヤケる如月。


思い出した!!!!!!!!!!


bossのコトバ!


“将来皇王様になられる方のSPですからそう簡単にはなれません”


って!?


もしかして???


「お分かりになりましたか?チーフは、結局と言うかいよいよナンバー2になれるんですよ」


何ぃぃぃぃぃ?????。


『何なのよアンタ達!?どうして言ってくれないのよぉぉぉ!!』


顔を赤くして如月に叫ぶ。


「妃杏様、チーフが御好きなんですね」


!?※@*#↑←↓→∞


『何なのよbossも如月もぉ!!!!!からかってんの???』


如月、大笑い。


「じゃ、妃杏様の責任者の座が空くのも時間の問題ですね」


『はぁぁぁぁぁ????????』


思いっきり抑揚をつけて。


『如月、何言ってんの?』


目をつり上げて尋ねる。


「研修が終わってもワタクシは妃杏様にお仕えさせて頂きます!」


如月って、何気に妄想男?


でも、想像しちゃった。


アタシがいて神楽がいて、如月がいる未来。


・・・ん?待てよ???


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


一瞬にして妄想が吹き飛んだ。


『違う!!!!!』


いきなり立ち上がり叫んでしまった。


うろたえる如月。


「どうなさったんですか妃杏様!!!!!」


血の気が引いた。


叫んだコトに恥ずかしさを感じたからでは、無い。


戻る前にしなきゃイケない何よりも大事なコトを思い出したの!!


『お兄様を助けなきゃ!!』


「何を仰ってるんですか?妃杏様!!!助けなきゃって」


如月は、ただただ驚いている。


『お兄様言ってたもん、アタシが憎いんじゃ無くてストーンが憎いんだって。だとしたら、ココにいるウチに何とかしないと宇宙の彼方に追放されちゃうんでしょ?』


ヤだアタシ、取り乱しちゃってるよ。


「だからココにいる間に攻撃してくるんじゃないですか!琉冠星に戻れば攻撃して来ないですよ!!」


慌ててアタシをなだめようとしている。


『そうじゃないよ!それじゃダメだよ!!』


半泣きのアタシ。


「妃杏様」


如月の声が困っているのが聞いてるだけで分かる。


「如月、妃杏様の仰る通りだ」


「チーフ!」


『神楽、聞いてたの?』


違う意味で血の気が引く。


「申し訳ありません。盗み聞きするつもりではありませんでしたが」


生真面目神楽は足を揃えて深々と謝った。


『ヤメてよそんなつもりで言ったんじゃないから。ホントに堅いね、神楽は』


「申し訳ありません」


おぃおぃ。


呆れ顔のアタシの隣で如月は小さく吹き出し笑い。


「ですが、ワタクシも妃杏様のご意見に同意見です。如月だって皇子様とご一緒して、皇子様がどういう御方かわかっているだろ」


「ですが、」


えっっっ???


『お兄様がアカデミア?』


ドキッとした。


「皇室の方々も、エージェント候補生と一緒になってアカデミアで聴講生的な形で講義を受けるのが慣例になっております。ですから、妃杏様もお戻りになった後はアカデミアに入って頂きます」


ほっっっ。


胸を撫で下ろす。


てっきり良からぬ想像をしてしまった。


“後継者じゃないからアカデミアに?”


って。


何気にアタシも妄想女だったりする?


『お兄様ってどんな人?』


ずっと気にはなっていたけど、聞くきっかけが無かったコト。


何せ幼い頃の記憶しか無いから。


「誰とでも分け隔てなく接して下さいます。裏表無く、とても気品を感じさせる御方です。周りからは大変慕われておりました」


“裏表無く”


『やっぱりお兄様を助けなきゃ』


アタシの必死の訴えに、如月はまだ渋っている。


「bossが皇子様の身辺を極秘でリサーチしております。お待ち下さい」


神楽が冷静に言った。


「“お待ち下さい”って、そんな場合じゃないですよ!!妃杏様は二度も皇子様に狙われているんですよ?」


唖然とした。


あの如月がこんなにアツくなっているなんて。


いつもは“お気楽でマイペース”でムードメーカー的な存在なのに。


神楽にだってアタマが上がらないハズなのに、今神楽に食って掛かっている。


『如月』


声を掛けずにはいられなかった。


『いいの。コレは、アタシ1人の問題の様な気がするから』


こんな如月、見たくないよ…。


だからアタシ、割って入った。


「妃杏様」


如月の悲しげな顔が。


神楽はずっと神妙な表情。


『ありがとう如月。凄く嬉しいよ。でもね、レジスタニアが相手なら如月や神楽達エージェントにお願いしようもあるけど相手は実の兄なのよ?しかも原因はこのストーンで』


アタシは自分の感情を抑えて静かに話した。


努めて笑顔で。


じゃないと泣きそうだったから。


如月が笑顔に変わった。


「やっぱり妃杏様は凄い御方ですね?チーフ」


「あぁ。我々はあくまでも妃杏様をお護りするのが務めだ。妃杏様がそう仰るのならそれをサポートするまでだ。」


神楽も優しい笑顔に変わった。


『ありがとう!』


心の底から安心した。


“2人がいれば怖いものナシ”


って思えて。


だからこそ、何の屈託もない、飛び切り自然な笑顔になれた。


同時に、


“2人がいれば、何でも出来る”


って言う、絶対の自信も付いた気がした。





















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