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私の冒険追憶記録  作者: ぽんずさん
第一章 旅の始まり
9/10

野営と朝


 小鳥の鳴き声で目を覚ます。

 ふわぁ、と欠伸をした。

 立ち上がり、伸びをした。

 顔を洗って、水を汲んでくる。

 魔力で生成した水は、そのうち消えちゃうから、たくさんは飲まない方が良いし、水を召喚するのも面倒臭いから。

 そろそろ朝食の準備を始めようと思った時、キルトが起きてきたようだった。


「おはよう、キルト。今日の朝ごはんはトマトスープにしようと思うんだけど、大丈夫?」


「おはよう、フィーリュ。トマト、僕とリーフは大丈夫何だけど、カゼットが苦手だからなぁ…まあ、別に良いんじゃないか?」


「そっかー…そうだったのかー。うーーん……どうしよっかなー」


 そんな感じでスープが全く決まらなかったので、先にパンをトーストしとく事にした。


「フィーリュが作る食事って、野営なのに本格的だよな〜」


「まぁね。ご飯は行動のエネルギー源だし、アイテムボックスのおかげで食材を持ち運びしやすいってのもあるかな。」


 なんてことを話していると、カゼットが匂いにつられて起きてきたようだった。


「んー……はよー。朝飯何だー?」


「パンと具だくさんスープにしようと思うんだけど…トマト苦手なんだっけ?」


「あー…。嫌い。別のが良い。」


「そっかー。りょーかーい。」


 やっぱり苦手だとの事。もう適当に作って後から味付けすればいいか。何とかなるだろう。

 そんなこんなで朝食を作り終えた。が、リーフは一向に起きてこない。


「リーフ起きない…」


「飯食ってて良い?リーフは頼んだー」


「ん?」


「先食べてるよー」


「へっ?」


「あー…。そういえばなんだけど、リーフを起こすのもフィーリュの役割なんだよ。だから頼んだぞー」


「ええぇ…」


 と言うことで、私は仕方なくリーフを起こしにかかった。

 だがしかし、顔をペチペチしても揺さぶっても大きな声で呼びかけても、全く起きる気配はない。

 しまいには『お母さん』なんて言う始末。

 誰がお母さんだこのやろう。

 私だって早くご飯食べたいのに。


「ちょっと男子!手伝ってよ!」


「?…あー。あのー…あれやったらすぐ起きるぞ。そのー…氷魔法で首筋キンキンにしてやるの。」


「ええぇ?」


 どうやら私は、随分強引な起こし方をしていたらしい。

 と言うことで、実際にやってみた。


「………」


「んー……つめたい…」


「…………」


「ち、ちべたい…」


「……………」


「つ、冷たっ…冷たっ!!!ちょ、冷たい通り越してちょっと痛い!」


 あのリーフが飛び起きた。効果バツグンだぜ。


「フィーリュひどーい…いつもはもっと優しいのに…」


 ありゃ。どうやらちょっとやり過ぎだったらしい。まぁ、これでやっとご飯食べれる。


「朝ごはん出来てるよ。顔洗って食べよう。」


「はーい…」


 そんなこんなで、私はやっと朝食にありつけたのだった。


======================


 ここでとある衝撃の事実がある。

 この朝、一番遅く起きたのは、リーフでは無かったことだ。


「すいません…起こしてもらったどころか朝食までいただいちゃって…」


 起きるのが一番遅かった人物というのは、私たちが乗せてもらっている馬車の持ち主である。


「大丈夫ですよ~。そういえば、シェクテーラへは何の為に行くことに?」


「俺は商人ですから…シェクテーラで商品を仕入れて、あの街で売って生活しているんです。」


「そうなんですね〜。荷物が少ないのはそういうことでしたか。」


 ちなみに、馬車の持ち主との会話相手はキルトである。

 人と話すの上手なのかな?

 一方リーフとカゼットと私は、アイテムボックスに入っていた謎のカードゲームで遊んでいる。一番強いのがリーフで、その次がカゼット。私、何でこんなにも勝てないの?


 突然の事。

 がたん。と、音を立てて、リーフが立ち上がった。

 私も杖を手にとって、立ち上がる。


「馬車、いったん止めてください。」


「最近、魔物に襲われたって言う報告が多かったのはこれか。」


 ゴブリンの群れである。

 商人にここで待っててと言って、ちょっとした結界を張る。


「どうする?ぱっと終わらせちゃって良い?」


「良いけど…フィーリュ魔法使うの久しぶりでしょ?大丈夫?」


「大丈夫。感覚取り戻すついでってことで。」


 そう言って、杖に魔力を込める。

 杖の先に、水の球が現れる。


 それと同時に、ゴブリンの群れが飛びかかってきた。

 その瞬間、水球が一気に膨らんだかと思うと、

ゴブリンの群れが吹き飛ばされた。

 水の刃で吹き飛ばしたのである。

 ちゃんと感覚は、覚えていた様子。


「これってどうして置いたらいい?多分冒険ギルドで討伐依頼でてるよね?」


「そうだなー。後は俺らがやっとくから、フィーリュは戻ってて良いぞ。」


 カゼットにそう言ってもらったので、馬車に戻ろうと振り返った。すると、商人が


「グロっ…怖くないんすか?」


と、ちょっと引いた感じ…いや、ドン引きしたような様子でこちらを見ていた。

 それはちょっと心外だなぁ。

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