思い出の品
ガタガタと、心地よい振動で目を覚ます。
ふわぁと欠伸をして、状況整理。
今は、シェクテーラへと向かう、細い道を、馬車の荷台に乗せてもらい、馬車で走っている所。
時間は…大体午後4時くらいだろうか。
そんな事を考えていると、私が起きた事に気づいたリーフが声を掛けてきた。
「フィーリュ起きた?おはよー。後1時間位したら、野営の場所探すってー。」
「ふあああ…そうかぁ。それまで暇だなぁ。」
私が起きて早々暇だともらすと、
「そうだねぇ。そうだ、フィーリュって確か本たくさん持ってたけど、それ読んでれば?」
と、リーフが解決策を出してくれた。なるほど。そういえば、あれからアイテムボックスの中身、あんまり覗いて無かったな。
と言うことで、アイテムボックスを開いて、中身を物色する事にした。
すると、あら不思議。何に使うのかも分からない魔道具がどんどん出てくる…
「ってこれ!全部リーフのやつ!?全部で100個位あるんじゃないの!?」
「ん?あーそうだね。っていうか、そんな出しっぱなしにしないでよー。壊れちゃう」
リーフにちょっとした散財グセがあるのは知ってたけど、これ程までだったとは…でも、たまに便利そうなのもありそう。そうびっくりしつつ、馬車の荷台に散乱したものをアイテムボックスにしまっていく。
すると、1つ、目に留まる物があった。
明らかに魔道具ではない小箱。
開けてみると、雫の形をした、ピアスが入っていた。
藍色の雫の中に、星のようなラメが輝いている。
しばらく手に持って眺めていると、リーフが私の手の中を覗きこんできた。
「そのピアスがどうかしたの?」
「あ、えっと…何だか綺麗だなーって。」
そのピアスは、陽の光にかざしてみると、本物の星空みたいにきらきら輝いていた。
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「なぁフィーリュ、そのピアスって…」
「これ?荷物整理してたら見つけたんだ。綺麗だから付けることにしたの。」
ピアスについて聞いてきたキルトにそう返すと、心なしか嬉しそうな様子だった。
いまは野営の準備が一段落ついて、小休憩をとっている所。
「そう言えばこのパーティーの食事担当って誰なの?」
「フィーリュだよ。食材の買い出しもフィーリュだったじゃん。」
「そうでした…そういや見張りはどうするの?」
「フィーリュがいつも保護結界張ってくれてたよ。しなくて大丈夫。」
「そうなのか。見張りしなくて良いのは嬉しいなぁ。私って結構色々任されてたんだねー。」
「そうだよ〜。フィーリュ、今日は何作ってくれるのー?」
「あっ全然献立考えてない!」
「あっそこまでしっかりしてなくて大丈夫だよ…」
「それにしても男子組がせっせと火起こしの準備をしているのを眺めながらする雑談は良いねぇ」
「そんな事言ってるくらいなら手伝ってくれよ!」
私がちょっとした冗談を言うと、カゼットから文句がとんできた。
「はーい。でも私に出来ることってある?火の魔法使えないし…リーフそういう系の魔道具無い?」
「そんな物買った記憶無いよー。」
「そうか…ところでリーフはどんな魔道具持ってるのさ?荷物持ちは私だけど」
「うーーん……何だろ?魔導書だったら羽根ペンのインクを自動補充化する魔法とか、涼しい風が吹く魔法とか、果物が一瞬で熟れる魔法が記された魔導書とかかなぁ…」
「何で地味に便利そうなのばっかなんだよ…」
そんなこんなでまた雑談に戻ってしまった女子組を、男子組は呆れた様子で眺めていた。
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