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世界回想記  作者: ぽんずさん
第一章 旅の始まり
6/10

町にて(2)

 キルトに誘われ街をまわっている昼下がり。

 何か屋台で食べたかったが、「パーティーの皆で食べるから」とキルトに言われ、渋々違う所に行くことにした。


「何処行くー?」


「そうだなー。とりあえずあっちにある噴水の所にでも行くか。」


 そう言われたので、素直に近くにあったベンチに座る。


「ぶっちゃけ今日はもうお金使いたくないからなー。するって言っても何しよう。」


「本当にぶっちゃけトークだね…そうねぇ。ここで適当に喋ってるってだけでも良いんじゃない?」


「そうだなー。」


 そんな感じで、今日の天気とか、この町とか、晩御飯何食べるかとか、そんな他愛もないことを話した。


「なんか話すことなくなってきたねー。」


「自分で言っちゃうんだそれ…」


私が呟いた一言に、突っ込みを入れるキルト。


「ねえ」


「どうした?」


「私って、こういう時、何してた?」


 そう、キルトに問いかけた。

 過去の私について聞くのは、これが初めてだった。


「こういう時、君は…魔法の鍛錬か、本屋に行くとか、後は町の人と話したりしてた。」


 私ってそんなに活発的だったのか。

 魔法の鍛錬や本屋はともかく、町の人と話すなんて、想像もしていなかった。


「私ってそんなに活発的だったんだね…それに、町の人話すなんて、そんな社交的だったの?」


「初めは本当に引きこもりがちだったんだけどね。旅をする内にそうなっていったって感じかな。」


 やっぱり初めはそんな感じだったのか。


「そろそろ5時だな。もうそろそろ宿屋に戻るか。」


 そう言われて気づいたが、太陽が少し傾いてきていた。

 キルトに返事をして、後ろを付いて行く。


======================


「で?それで調子に乗ってそんな高いもの買ったのか?」


「は、はい…そうです…」


 宿屋の部屋に戻ると、正座して俯いているリーフと、その目の前で仁王立ちしているカゼットが居た。


「何か言う事は?」


「すいませんでした…」


「めっちゃ詰められてる…」


 私がぼそっと呟くと、それに気づいたカゼットが反応する。


「そりゃそうだろ!パーティー全員の路銀なのに…っていうかフィーリュ!お前も値下げ交渉参加してたらしいな?」


 なんか飛び火した。私何もしてないのに。


「えー…だって、頼まれたから…何となく店主さんの事ほめたら値下げしてくれて…」


「そ、そうだよ!フィーリュは悪くない!」


 リーフが庇ってくれた。まぁ元凶はリーフ自身なのだが。


「あー…そうか…フィーリュが褒めたってんならなぁ…お前ら揃いも揃って…うーーん……まあ、便利そうだし…もう疲れた。良いや。その代わりできるだけ節約しろよー。」


 色々ぶつぶつひとりごとを言った後に、諦めた。こんなの日常茶飯事と言わんばかりに。


「よっしゃ許された…!!」


「今なんて言った?」


「な、何でも無いです…」


「さ、そろそろ晩御飯食べに行こうー」


「「「はーい」」」


 キルトがそう言ったので、みんな素直に返事をした。


◇  ◇


 あの後、パーティー全員で食事をする店を決め、そこに向かっている途中。


 暮れかかっている夕陽は、四人の影を色濃く映し出していた。


「なに食べよっかな〜」


 フィーリュは、ご機嫌に鼻歌をうたっている。


「呑気なもんだなー。ちなみに今日行く店は、揚げ物が美味いらしいぞ!」


「それは楽しみだ!」


 フィーリュもそうだが、久しぶりの外食に、ものすごいノリノリなリーフとカゼット。


「あんまり食べ過ぎないようになー。それと、飲み過ぎもするなよ。」


「わかってるってー」


「もちろんだろ!」


 キルトに注意され、全くわかっていなさそうな返事を返す三人。

 そんな、やっぱり呑気な会話を交わしつつ、一行は目的地へと足を運ぶ。

 


 

 

「世界回想記」読んでいただきありがとうございました。質問や感想などがあれば、リアクション・コメント頂けると幸いです。


===…:場面変更

◇  ◇:視点変更


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