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世界回想記  作者: ぽんずさん
第一章 旅の始まり
5/10

町にて


 「じゃあ、リーフは薬草やポーション、フィーリュは食料品、カゼットと僕はその他諸々の買い足し。買ったものを宿屋に置いたら、その後は自由時間。夕方には再集合。じゃあ、解散!」


 キルトの指示で、私たちはそれぞれの目的地へと向かう。


(えーと…食料品が売ってるお店は…こっち?)


キルトからもらった町の地図を見ながら、目的の店へと向かう。

 しばらく歩くと、食べ物の絵が描いてある看板を掛けた、大きなお店が見えてきた。中に入ってみると、野菜や果物、パンや乾麺まで売っている。


(品ぞろえ豊富だなぁ…)


そんな事を思いつつ、買う物を決めていく。


「すいませーん!買いたい物があるんですがー!」


大きな声で店員を呼ぶと、カウンターの奥から、店主らしき人が顔を出した。


「じゃあ、これとこれと、あっ、それもください!後は…あそこにある果物二つ!」


欲しいものを言っていくと、店主が口を出した。


「嬢ちゃん、そんなに買って大丈夫かい?そんなに持てないんじゃ…」


「あ、大丈夫です。私アイテムボックス持ちなので」


「へぇ、そりゃあすごいな!確か…10万人に1人とかじゃ無かったか?アイテムボックス持ってるの。」


私が質問に答えると、店主は驚いて言った。


「らしいですね〜じゃあ、これでお願いします。」


 買ったものをアイテムボックスに入れる私を、物珍しそうに見る店主を背に、私は宿屋に向か…おうとしたのだが、


「宿屋って…どっちだっけ?」


 道に迷ったようだ。


======================


 「一通り買い終わったな。カゼット、宿屋に荷物を置いてきてくれ。僕は、フィーリュの所に向かうから。」


「あーー…そうだな。あいつ、方向音痴だから、どうせ道わかんなくてウロウロしてるだろうし…でもよー、荷物持ち俺に押しつけないでくれや」


「はは、ごめんごめん。じゃ、頼んだぞー」


「はあ。ま、良いか。」


======================


 (まぁ、私はアイテムボックス持ちだから、わざわざ宿屋に荷物置きに行く意味も無いんだけど)


 そんな事を考えつつ、この後どうするかを考える。

 地図があるから、それを見れば良いのかもしれないが、どっちが北で南なのかとか、今自分は何処にいるのかとか、そういうのが分からないのである。

 もういっその事、何も考えずに魔道具店でも探してまわろうかと思った。でもよく考えると、欲しい魔道具とかも特に無いし…

 そう思っていた矢先、私に声をかける人物が居た。


「フィーリュー。道に迷ってたりしないかー?」


「うひゃうっ!」


ものすごい変な声が出た。


「うひゃうってなんだよ…心外だなぁ…」


「あ、ご、ごめん、キルト…急に話しかけられてびっくりして…」


どうやら私に話しかけたのはキルトの模様。


「いや、まぁ、良いんだけどさー。なんか道に迷ってたりしないかなーと思って来た。合ってた?」


図星だった。この人はテレパシーでも持ってるんだろうか。


「合ってるけど…それで、どうしたの?」


「暇だし一緒に町をまわったりしないかなーと思ってさ。嫌なら良いんだけど」


「いいよ。私も丁度暇してたし」


どうやら町ブラのお誘いだったらしい。


======================


「町をまわるって言っても、まず何処行くの?」


「そうだなぁ…まずはリーフのとこにでも行くか!」


「えっ」


「多分っていうかまた絶対変なもの買おうとしてるだろうし」


「ああ…なるほど…」


「多分…ここの魔法店にいると思う。」


キルトは、地図を指差して言った。


「こんなマイナーそうなとこに?」


「そういうやつだからなー。で、いつも決まって変なもん買ってくる」


「ははは…」


これには流石に苦笑いするしかない。


======================


 魔法店につくと、案の定リーフがいて、しかも商品を値切ろうとしている所だった。


「お願いします〜!!!これ以上出せないんですよ!!」


「じゃあ諦めれば良いんじゃ…」


「いや!私は何としてでもこれを買う!」


「またやってら…」


キルトがぼそっと呟くと、それに気づいたリーフが振り返る。


「あっ!!キルト!それとフィーリュ!2人からもお願いして!ほら!」


展開が速くてついていけない。どういう状況なんだよこれ。


「えーと…とりあえず、それってどんな物なの?」


「汚れをきれいに落とす魔法の魔導書。どんなものにも応用可能。」


「珍しくすっげぇ便利な物見つけてんな……値段は?」


「金貨5枚」


「高っ!!!!」


私達の食費約2ヶ月分。


「こんな便利な物なんだから安い方でしよ!ねぇ、店主さん?」


値切るために店主の機嫌をとろうとするリーフ。


「ほら、フィーリュからも何か言って!」


「え、ええ…えーと…店主さん、お若いですね…?」


何を言ったらいいのかわからなくて、意味不明な事を言ってしまった。いやまあ、確かに店主は25歳くらいで、若いなあと思ったのは事実なのだが。


「ははは、そうかい?」


なんか予想に反して結構照れてる?


「ぶっちゃけ俺はもうマスターしててこれがなくてもその魔法は使えるし…嬢ちゃんになら、まあ、金貨3枚と銀貨5枚で売ってやらないこともない。」


「いやっほう!フィーリュないすぅ!」


「まだ買って良いとは言ってないんだが…」


そんなこんなで、私達のパーティーは結構な出費をしたのであった。


======================


 「しばらくは節約生活だな…」


今日の出費に苦笑いしているキルト。


「まあ何とかなるんじゃない?」


「フィーリュはいつも変わらず楽観的だなー。」


「そっか。私、変わってないんだね。」


「あ。…うん。そうだな。何も変わってない。」


 キルトは少し驚いたような顔をしてから、微笑みながらそう言った。


「ちょっとお腹空いてきたなー。何か食べない?あっ!なんか屋台出てるっぽいよ!」


「食べるのが好きなとこも変わって無いんだな…」


元気に駆けていく私を見て、キルトは失笑しつつ、私を追いかけた。

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