魔法使い
私はこのパーティーの魔法使いだ。それ以前にしても、である。魔法使いとは、魔法を意のままに操り、物を浮かせたり、何かを作り出したり、時には戦う者の事をいう。
その魔法を操る為に必要なのは、魔力だ。魔力は、体の中を巡る様にして流れている。魔法は、頭ではなく身体で扱うものだ。魔法は身体に染み込ませるものなのだ。
だからだろうか、魔法だけは鮮明に憶えていた。
不幸中の幸いという物だろうか。
仲間との大切な記憶を失ったのに、これだけは憶えているというのは皮肉なのだろうか。
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「そういえば、この旅の目的地とかってあるんだっけ?」
「特に無いよ。でも、そのうち目的地を決めれればいいなとは思ってる。」
私の質問には、キルトが答えてくれた。
「そっか。それなら、この馬車は今何処に向かってるの?」
「ここから近くの町ね。そこで旅の物資を買う予定。」
リーフが言う。
「ふーん。そっか。」
「……………………………………」
少しの間、沈黙が流れる。
何か話した方がいいのだろうか。
「これってなにか喋った方が良い?」
「いや、無理に話さなくて大丈夫だよ。」
キルトが言う。
暖かな春の陽気に、のどかな平原。なにか分かりそうな気もしたけど、ただあくびが出てきただけだった。少し眠ろうと思い、目を閉じる。
前もこんな感じだったのかな。
そんな事を思いながら、私は眠りについた。
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「フィーリュ、寝ちゃったねー」
無理して喋らなくていいと言われ、すやすやと眠ってしまったフィーリュを見て、リーフが言った。
「前もこんな感じだったっけ?」
「そうだな。何も変わってないんだな。」
カゼットに、キルトが言う。
「さて、町では何買うかな〜」
「変なもん買うんじゃないぞー」
そんな呑気な会話を乗せて、馬車は平原を進んで行く。
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