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第2話《師匠》
木の匂いに目を覚ました。正確には、これが木なのか、その時の私はわかっていなかったと思う。でも、起こされた気がしたのは確かだった。
頭が覚醒し始めて、やっと僕はふわふわの布団に横になっていることに気が付いた。
「殺されてなかったんだ……」
[安心]という感情と一緒に[残念]と言う感情が入ってくる。不思議なものだ。
首を持ち上げて周りを見渡してみる。何となく、どこかの本で見た茶色い材料で造られた建物が思い出された。そして、色々なものが目に入ってきた。キッチン、木の机に椅子、戸棚にクローゼット……。本で見た事のあるものがたくさんあった。
どれもこれも、天空に来てから実際に初めて見るものだった。
「天空に家なんてあったんだ……」
「起きましたか、」
「うわぁ⁉︎」
突然声をかけられてびっくりした僕を見て、神はまた寂しそうな顔をする。
神の表情に呆気にとられていると、神は近づいて僕にこう言った、
「これから貴方は私の弟子です。私のことを
師匠と
呼びなさい」
これが私たちのお話の始まり。
何千万年と続く、長い、長いお話……。