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序章
「我の心臓此処にあり」
私は胸に手を当て言う。
心は落ち着いている。
彼を見る。彼だけを見る。
「我の心臓此処にあり」
私を見て彼は言った。にっこりと優しい笑みを浮かべて。
心地よい風が吹いた刹那、私の目からは数多の雫が落ちた。
あぁ、この日を何年も、何千万年も私は待ち望んでいたのだ。
とめどなく流れるそれを咎めずに、私も笑みを浮べた。
終わりのない輪廻から解放された今、貴方は私とともに何を思いますか。
何を
愛しますか?
此処は死んだ生物が集まる場所。
生前の様々な強い思いからやってくるが、此処に来たら彼らの記憶は消されてしまう。
此処は天空。神様の住む場所。
これから始まるのは、一匹の[烏]と、一人の[神]のお話。
遠い遠い昔のお話……。