天国で恋する
死んだ?俺は死んだのか?やっと解放された...
ようやくだ...もう苦痛を味わなくてもいいんだ...
「ここどこ?」
目の前に広がる景色は地獄のような...
いや...ここは地獄だ……それを証拠に目の前にある人の行列とあのデカく、恐ろしい顔をしたいわゆる閻魔大王らしき人がいる
「次の者!」
と、声を張り上げる声が何度も聞こえてくる度泣き叫ぶ声や喜ぶ声が聞こえてきて、
どんどん自分の番に近づいてくる
「次の者!」
「はい」
「松下瑛太年齢27歳、死因は後ろから人に押され電車に轢かれ死亡、既に両親は他界していて、特に目立った悪行もない
松下瑛太 天国行き」
こんな淡々とした確認でこの後ずっと罰を受けるのか、それとも幸せに暮らすのか
それを他人に決定付けられることに恐ろしく感じた
「さっさと行け」
そう言われると俺はいつの間にか白ばっかの建物に来ていて、その奥には花畑が見える
「これがホントの頭お花畑か」
「そして案外人少ないんだな...?」
「それは天国である程度過ごしたあと、
転生するからですよ」
そう言われたあと私は驚き、後ろを振り返るとまるで絵画にもあるような羽が生えた女性の天使が居た
「...!?」
「驚かせてすみませんでした
私は天国の門番をしている、智天使ケルビムです」
「は...はぁ……」
「この奥が天国となっています」
「あの...すみません1つ聞きたいことがあるんですが……」
「はい?」
「いつか転生してしまうんですか?」
「転生するのはいやですか?」
「もうあんな苦痛を味わいたくない」
「ですがここに滞在させ続けると魂は薄れていき、いずれあなたは完全に消えてしまいますよ」
「...それでいいです」
「そうなのですか...」
「ありがとうございました...」
「いえ、ではごゆっくり」
「あの...ほんとにここ花畑しかないんですか?」
「はい...そうですが?」
「人も全然いないし……」
「それは...まぁ転生はすぐですからね」
「僕みたいに残りたい人とかは...」
「...1名居ますね」
「その人はどこに?」
「今は...ここから出て東にずっと行ったところにいるようですよ」
「ありがとうございます」
「ではごゆっくり」
本当に暇過ぎたんだ...元いた世界ではあんな扱いを受けて、恨んでいたというのに
今では会話相手を求めて人を訪ねるとは...
「珍しいなここに人がいるとは、大抵はここに来るまでにもう転生されてるはずなのに」
「転生したくないからな」
「なんだ私と同じか」
「なんで転生したくないの?」
「人が憎い、人が怖い、人は信用出来ない」
「じゃあ私はどうなの?今お話してるけどさ」
「...暇だったんだここには花畑しかなくて気が狂いそうだったんだ」
「はいはい言い訳はいいわ」
「……寂しかったんだ」
「不思議だよね、人が嫌いなハズなのにいざ人と話さず過ごしてると寂しくなってくるよね」
「なんで君は転生しないんだ?」
「なんでだろうね」
「は?」
「私も忘れちゃった」
「はぁ…?」
「まぁそんなこといいじゃん」
「そんなこと???」
「君も転生しないならお話しようよ」
「そうだな」
俺たちは日付が分かればきっと10年...いや100年間ずっと一緒に過ごしていた事が分かっただろう
「ねぇ...」
「なんだ?」
「私はそろそろ消えちゃうみたい」
「は?消えるなよ」
「もう時間が流れて魂の情報が薄れていってるみたい」
「...今のうちに転生しろ……」
「え?」
「転生しろって言ってるんだ!」
「えーどうしようかな〜」
「なんで迷ってるんだ」
「このまま消えちゃうか、転生してまた君とお話するか、どっちが楽しいかなって」
「この期に及んでまだからかってくるのか...」
「はいはい分かったわよホントに消えちゃいそうだから転生してくるね」
「ここまで情報が薄れたから多分ほとんど別人に転生しちゃうと思うけど見つけてね?絶対!」
「お前こそ絶対に俺の事見つけろよ」
「今一緒に転生しちゃう?」
「ここにいる理由もないしそうするか」
「もしかして姉弟になっちゃったりして!」
「いや俺が兄でお前が妹だ」
「いやいやそれはないって!」
「「また会おうね」」
「俺たち」「私たち」「ほんとに仲良いね」
「「まさかほんとに双子で生まれちゃうなんてね」」
双子で生まれてしまったが故に結ばれることはないですが、2人はまたお話することが出来る