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5話

「僕が何者か、端的に言うと君の妹さんの右腕的存在といったところだね」

「お前は穂波の居場所を知っているということか?」


 男は「当たり前だろ?」っと軽く返すとさらに続けた。


「君の妹さん、僕の立場的には穂波様と言うべきなのかな、僕らの組織のリーダーなんだ」


 組織のリーダー?。穂波が一体何のために。僕とミアは訝し気に男を見つめる。この男のことだ口から出まかせを言っている可能性もゼロではない。


 僕らの視線に男はやれやれと言った感じで肩をすくめた。


「嘘なんかついてないよ、穂波様はある重大な脅威に対抗するために特殊なゴーストイーターを集めている。三秋優、君はその候補ってわけ」


 男は「大分期待外れではあったけど」と呟いてこちらを嘲笑うよな目で見る。


「その特殊なゴーストイーターってなんなんだ?」

「あ、気分が変わった。質疑応答はここまでだ」


 男は両耳に手を当てて首を軽く振って言った。すると今まで黙っていたミアが口を開いた。


「シアは、穂波ちゃんの隣に居るの?」


 シアというのは穂波の精霊だ。ミアと同じような見た目の意思を持った人型精霊。

 男はああっとなにか思い出したように手を叩いて言った。


「伝言を伝え忘れたね、シア様はミアちゃんにこう言うように僕に伝えてきた」


 少し魔を開けて男は口を開く。その口調からは軽さが抜けていた。


「優には気を付けて、変化によく注意して、そして力の限りを尽くして宿主を救えなかった私のようにならないようにね」


 僕に注意する・・・・何のことか分からずミアの方を見るとミアはなにか知っているようで、考え込むように顔を下に向けていた。そして、しばらくそうしているとミアは小さく頷いてから口を開いた。


「そっかシアは駄目だったんだね・・・・ご主人は私にまかせて」

「おい、ミアどういうことなんだよ、穂波に何かあったのか?」


 ミアは一瞬表情を悲しそうに曇らせ、慌てて笑みを作り首を横に振る。ミアのその動作はどこか弱弱しかった。


「今は何とも言えないんですご主人。分かって下さい・・・・」


 僕はそれ以上追求することは出来なかった。ミアの顔がこれ以上なにも聞くなと言っているように思えたから。


「さてと、挨拶と伝言は済んだことだし、そろそろ帰ろうかな。また一人面倒くさい奴も来たみたいだしね」


 ピキピキっと男の背後の空間に亀裂が入る。そして、ガラスが割れるように空間が避けポニーテールの女子が身体に青い龍の形をしたオーラを纏い男に蹴りを叩きこんだ。


「これが青龍院の精霊の力か凄まじいね」


 男はそんなことを言いつつも、皮一枚でかわす。そのまま僕らの前に立った女子を見てミアの顔がパッと明るくなる。


「静香ちゃん、どうしてここが?」

「ミアちゃん、健吾が信号を送ってくれたのよ」


 このポニーテールで身長の高い女子は青龍院静香、僕が所属するチーム三人の最後の一人だ。男の後ろを見ると健吾が立ち上がって拳を掲げていた。


「さあ、そこの気味の悪い男、私の青龍の力でコテンパンにしてやるから覚悟なさい!」


 それを聞いた青い龍は大きくため息をついて言った。


「勝手にやっていろ小娘、我はお前なんぞに従うつもりはないぞ」

「はあ!、あんたこういう大事な場面くらい空気読みなさいよ」


 そう、青龍院家が代々継承してきた精霊、青龍は強力だがそれゆえに従わせるのに力が必要なんだ。静香は継承した年齢が若いのもあって未だに制御できていない。


「静香ちゃん男が消えちゃったよ?」

「あーもうやられた最悪」


 静香は地面を蹴り飛ばす。女子なのに気性が荒いのが静香だ。まあ相棒が常に彼女をイラつかせるからかも知れないけど。男が消えると空間が割れ始め、元のショッピングモール広場に戻っていく。


 緊張が解けた僕の視界は段々暗くなっていく、どうやら戦いの疲労が限界に達したようだ。僕はそのまま倒れ込んだ。


「・・・・ご主人!」

「三秋くん大丈夫!?」


 二人が駆け寄ってくるのが微かに見える。健吾もこちらに向かってきていた。


 意識が途切れる瞬間、男の声が頭の中に響く。


「僕は宮浦聡。今回はいじめて悪かったね。でもこの程度じゃ先が思いやられるよ。強くなれるといいね。グッバイ」


 その声を皮切りに僕の意識は途絶えた。

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