06 日が落ちる
朝が来た。
りくはお兄ちゃんの頭の上で。
かいはお兄ちゃんのお腹の上で。
私はお兄ちゃんの腕の中で。
目が覚めた。
お兄ちゃんは私たちより先に起きていたよで、私がお兄ちゃんの顔に目をやると「おはよう、そら」と声がした。
その声は昨日とは打って変わっていつも通りの柔らかな声だった。
何て声をかければいいのだろうか。
そんなことを考えているうちにお兄ちゃんは「大丈夫?」と私を心配してくる。
違うのだ。
私が心配しているのにどうして言葉が上手く出ないのだろうか。
体が重くて辛い。
頭が痛くて辛い。
胸が酷く痛くて辛い。
体の不調を感じ始めると私の頭の中には辛いで埋め尽くされて、私は吐いてしまった。
お兄ちゃんが慌てた声を上げ、誰かの名前を呼ぶ。
次に目を覚ました時には私のベッドだった。
あんまりに使わないものだから、最初にここはどこなんだろうか。なんて思いもしたが、次第に頭が覚めていくうちに思い出した。
どうやら日付は変わっていないらしい。
目を覚まして最初に見えたのは日付も表示してくれている時計だった。
「おはよう。そら」
まるで朝のやり直しをするようにお兄ちゃんが声をかけてくれる。
私も「おはよう」と返す。
このやり取りが心地いい。
体の不調は嘘のように無くなっていた。
もう大丈夫だろうと思い体を起こす。
少し力が入りずらいような気もするが、気にするまでもない程度だった。
「ねぇ、そら。一杯一緒にいようね」
どこか上ずったような声をするお兄ちゃんの言葉を私は素直に喜んだ。
それからはお兄ちゃんはりくとの散歩意外は外に出ることはなくなった。