03 当たり前の毎日
外の色が青から赤に変わり始める頃合い。
私は朝と同じ場所に腰かけた。
外から軽く何かが当たる音と共に玄関が開くとお兄ちゃんが帰ってくる。
「ただいま、そら」に「おかえりなさい」と返すとお兄ちゃんは朝と同じように頭を撫でてくれる。
少し冷たい手先に心地よさを感じながらお兄ちゃんに抱き着く。
色々と聞きたいことがある。
今日は何をしたのか。
今日は何を食べたのか。
そんなことを私は毎日聞きたいのだ。
少し思い返すように話始めるお兄ちゃんの仕草が私は好きだ。
顎に手をあて、私の目を見て話すお兄ちゃん。
お兄ちゃんは似たような返しが多いけれど、たまにいつもと違った熱の入った口調で話すお兄ちゃんも好きだ。
今日のお兄ちゃんの話は、「学校で外を描く授業があったんだ。皆は家とか人を描いていたんだけど、おれは空を描いたんだ。見る時見る時で色も見た目も違うから空を描いたんだけど、家からも空は見えるから外じゃないって笑われちゃった」少し寂しそうにけれどどこか心地よさそうに思い返しながら話すお兄ちゃん。
「そうだ、給食でね椎茸が出てきたんだけど、これが、まぁ、美味しくなくてね。食べられずに吐いちゃった」苦笑いをするお兄ちゃん。
椎茸がなんなのか私にはわからないけれど、美味しくないことだけは分かった。
お兄ちゃんが美味しくないって言うなら、私も美味しくは食べられないのだろう。
あぁ、こんな毎日が続けばいいなと思った。