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DESIRE 2031  作者: 亜墨紫蘭
エピソード0.
1/9

プロローグ:「生命の樹」及び関連事項に関する記録

記録者:小瑠璃川主任研究員


2012年

12月20日

・東京タワーの下より、後に「生命の樹」と呼称される植物のような物体が出現。

 一晩で東京タワーを覆い隠す。


12月21日

・生命の樹が根を張り、周囲の人間を取り込み「同化」を始める。

 その現象は三日間に渡り続き、多数の死者・負傷者・行方不明者を出す。


以降、12月下旬

・生命の樹周辺が危険区域として封鎖される。

・生命の樹の成長を観測。



<生命の樹>

出現当時は暫定的に「樹」と呼ばれていた。

「生命の樹」という名前は2012年以降、誰かが冗談半分に呼び始めたネットミームの一つ。

今ではそれが俗称として広まっている。




2013年

2月

・生命の樹に蕾が観測される。


3月

・生命の樹の蕾が開花。

・花から胞子が放出されるのを観測。



<花>

桜に似ている。一つ一つの大きさも桜と同程度。花の色は白。

遠くから見ると樹に覆われた東京タワーが幹に見え、さながら一本の巨大な桜の木のように見え、大半の人間が「美しい」と感じる。


<胞子>

0.5ミリ程で丸い粒状。

10分程度日光に当たると蒸発するように消えてしまう。

曇りの日や生命の樹に刺激を与えることで、より多くの胞子を放出する。



4月下旬

・花が完全に散り切ったのを確認。

・自衛隊と米軍合同での「生命の樹」破壊作戦。

・生命の樹の一部破壊を確認するも、すぐに再生。


5月

・胞子を体内に取り込んだ者に奇妙な症状が出始める。

 「狂花症」と名付けられる。

・狂花症により東京都の人口、特に若年層人口が激減。

・狂花症での死者が増えるにつれ、再び生命の樹に蕾が付き開花。

 以降、狂花症の死者数に応じて、蕾の成長と開花・胞子の放出を繰り返す。



狂花症きょうかしょう

初期症状では精神が不安定になり、中期では身体の倦怠感や微熱など体感症状が現れる。

末期では体内より生命の樹に同化され、同化が快感となる。

最終的に体内より生じた生命の樹と同化して死亡する。


<狂花症末期症状から発生した生命の樹>

東京タワーの生命の樹とほぼ同様の性質を持つ。

単体で花を付け、胞子を放出する。

胞子を放出し切ると花が散り、やがて蒸発するように消える。



6月

・生命の樹及び狂花症の研究機関として「特殊調査研究所」(通称「特研」)設立。

 以後、特研を中心とした調査研究監視体制が組まれる。


9月

・狂花症進行の原因が「負の感情の蓄積」であることが判明。

・以降、特効薬の開発まで向精神薬による対処療法が主流となる。




2014年

1~2月

・危険区域内より、2012年12月に同化された行方不明者数名を発見・救出。

 救出中に1名、転落し脳挫傷で死亡。

・数名は身体構造が変質しており、特殊な体質となっていた。

 彼らは「不死者」と呼ばれる。

・彼らを保護する代わりに、生命の樹及び不死者の研究・調査の全面協力を依頼。

 不死者達、これを承諾。



<不死者>

生命の樹に一度は呑み込まれながら、全身が同化する前に脱出できた者たち。

生命の樹は同化する人間の心身に強烈な快感を与える。

脱出する為には、その感覚を振りきれるだけの別の強い感情が必要となる。


不死者たちには以下の特徴が見られる。


・髪を筆頭に、体毛が白い

・虹彩が異質な色に変化

・よく水分を取る

・強い日差しと暑さが苦手

・身体能力が高い

・生命の樹に対して強い嫌悪感や憎悪を抱く

・生命の樹に取り込まれた時の姿のまま老化しない、もしくは若返っている

・驚異的な回復力を持ち、脳の物理的欠損以外では死亡しない

・見た目や機能こそ人間と変わらないものの、生命の樹から肉体に手を加えられている。脳も劣化が見られないので、何らかの強化がされていると思われる

・致命傷を負うと一時的に活動停止し、後に蘇生する

なお、一般人が知ることができる不死者に関する情報は「白い髪の死なない人間」程度


彼ら・彼女らは時代の流れに伴い話題性が徐々に薄れ、都市伝説のような存在となっていく



8月

・狂花症の末期患者、自らの意志で体内の生命の樹と同化。

 周囲にいた者を同化しようとした為、警官によって射殺される。

・以降、同様の事件が続々と増加。社会問題化。



<同化者>

狂花症罹患者が、体内の生命の樹を「受け入れる」と変化する。


以下の特徴が見られる。


・一見そうでないものとの見分けはつかないが、

 決定的な特徴として「暗い場所で虹彩が淡い白に光る」ことが挙げられる

・水分をよく取る。頻度は不死者以上

・不死者は対面すれば直感的に見分けがつき、生命の樹と同様に嫌悪感を抱く

・他者を同化しようとする。身体から樹を伸ばすことで、他者を侵蝕し同化できる

・不死者を同化することはできない

・残虐性、特に不死者への残虐性が増加

・同化者になっても狂花症は進行し、他の要因で死亡しなければ同様に同化死する

・生命力は強いが、致命傷を与えれば死亡する



12月

・特研・不死者達・自衛隊による、第一回封鎖区域内調査

・第一回封鎖地区内調査において、不死者達は生命の樹に同化されないことが判明する。




2015年

1月

・「対同化者緊急対策法」が制定。

 政府の認可が下りた者及び組織は、有事の際同化者に対する武力行使が許可される。


8月11日

・狂花症末期患者「扶桑冬歌ふそう・ふゆか」が、生まれつき狂花症の耐性を持った女児を出産。

 女児は不死者同様に異質な色の、ネオンブルーの虹彩を持つ。

 女児は「エリカ」と名付けられる。


8月31日

・扶桑エリカが何者かによって病院から連れ去られる。


9月

・第二回封鎖地区内調査。特に得られた情報はなし。

・刺激による胞子の放出を危険視し、第二回をもって封鎖地区内の調査は終了。


9月17日

・扶桑冬歌、都内の廃教会にて自殺。


12月20日

・狂花症末期患者「衣笠環(きぬかさ・たまき)」が、生まれつき狂花症の耐性を持った女児を出産。政府及び特研によって保護される。

・女児は右眼球を欠損しており、眼窩内に桜の花が咲き、左目は桜色。

 女児は「玉藻」と名付けられる。




2016年

2月

・衣笠環、肺炎で死亡。

・玉藻は保護監察下の元、資産家の金剛巽との養子縁組。それに伴い「金剛玉藻」に改名。

・金剛玉藻の能力を確認。


金剛玉藻の能力

・同化者の気配を察知する。不死者がピンポイント型のセンサーならば、玉藻のは広範囲のレーダーに当たる。

・同化者が優先して攻撃しようとする。

(優先度)玉藻>不死者>その他



4月

・不死者たちが独立。対同化者機関「セフィラ」を設立。

 引き続き政府・特研とは協力関係を続ける。



<セフィラ>

2014年に救出された数名で構成される。

政府から補助金を受けているが、それだけではやっていけない為に副業を持つ者や、他に本業がある者が多い。

耐同化者緊急対策法により、同化者の武力的制圧が許可された組織。



以後数年、生命の樹・狂花症・同化者との関係はしばらく膠着状態に。



2022年

6月

・金剛玉藻の里親である金剛家の者が同化者に襲われ死亡。


7月

・金剛玉藻(7歳)の血液から狂花症治療薬が開発。

 少ない副作用で、進行を大幅に遅らせることが可能になった。

・政府、金剛玉藻の保護をセフィラに依頼。これを承諾。


8月

・「生命の樹」周辺に覆いを設置する為の工事が開始。




2027年

12月

・金剛玉藻(12歳)、セフィラに所属。

・「生命の樹」周辺への覆いが完成。これに伴い、以降少しずつ東京の人口が戻り始める。



<虹彩変色症>

不死者や同化者と長らく接近していると、ごく稀に不死者のように瞳の色が特異なものに変わってしまう現象。

害はない。




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