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森の国の残念姫がいく  作者: あおみどり
森へ行こう
12/24

11話 12歳の誕生日

 

 今日はイイ天気!

 何をしようかなぁ。


 カーテンを勢いよく開け、ベランダに出る。

 空は青く、太陽の光が緑の隙間から射している。

 小鳥の元気な唄声に合わせ大きくのび〜をすると、部屋からベルの声が聞こえる。


「ララ様、お目覚めですか?」

「おはよう! ベル」

「おはようございます、ララ様。 今日もお早いですね」


 部屋からベランダに移動し、テーブルにお茶のセットを並べながらベルは続ける。


「お顔と歯を洗って来てくださいね。 すぐお茶のご用意が出来ます」

「ありがとう! すぐ戻るね」


 ララは部屋に戻り、室内のバスルームへ急ぐ。

 お嬢様ならば身の回りの世話は侍女に任せるのが普通だが、ララは自分でやるのが好きだ。

 お願いしてベルやプラネラに教えてもらっている。

 今では洗顔や歯磨き、髪の毛だって綺麗に纏める事が出来る。

 この前はお風呂だってひとりで入れた! 


 少しずつ自分で出来る事が増えるって楽しいな。


 そうだ! イイ事思いついちゃった!

 スランにお願いして、みんなの朝食にパンケーキを焼かせてもらおう。

 先に温室へ行って春のベリーを摘んで、クリームとお花の蜜を添えるの!

 誕生日のケーキみたいで、お父様とお母様は喜んでくれるかな?

 お兄様も食べてくれるといいなぁ。


 髪を梳かしながら思い付き、ララはわくわくする。

 バタバタと櫛を片付けてクローゼットへと向かうと、すでにベルが待ち構えている。


「ベル! 先に温室へ行ってすぐ調理場へ行くね〜動きやすいそのワンピースがいいな」

「黄色で良いですか?」

「ううん、汚れちゃうから紺色!」


 すとんと着る事が出来るシンプルなワンピースはララのお気に入り。

 色違いで8着揃えている。

 手触りが良くて、汚れてもすぐ洗濯出来るし、これだとひとりでも着れる。


 急いで着替えた後はベランダへ戻る。

 立ちながらティーカップに手を伸ばすララに、ベルは笑いをこらえる。


「ララ様、お誕生日おめでとうございます! 12歳は立派なレディですね」

「あ」


 そうだったー、プラネラと約束したんだった。

 12歳になったら、お母様やお姉様のようにレディになるって言っちゃったー。


 数日前にした約束を思い出し、椅子に座りティーカップを持ち直す。

 ふーと息をかけ、お茶が熱くないか慎重に確かめる。


 なんであんな約束しちゃったんだっけ。

 ごくん、と一口。

 怒られた後だったかな?

 熱くないと分かって安心して一気に飲み干す。


 くくく、とベルの笑い声が聞こえるが気にしない。

 早くベリーを摘んでパンケーキを焼かなくちゃ!



 ◇◇◇



「スラン、スラン! パンケーキを焼いても良い?」


 籠を腕に掛け、反対の手で調理場の扉を勢いよく開ける。

 温室から走って来たので、採ってきたばかりの春のベリーも一緒に跳ねている。

 落ちないように籠ごと調理台に置き、野菜を切るスランにもう一度尋ねる。


「ねぇスラン、パンケーキいい?」

「ベルさんから聞いてるぞ。 用意しているから、すぐ焼ける」


 あごで指す場所には大きな器。

 パンケーキの生地を準備してくれたんだ!

 理解したララはスランに抱きつき礼を言う。


「ありがとう、スラン! さすがララの先生1号!!」

「おいおい、今日から大人じゃないのかよ……」

「あれ、スランにもそういう事を言っちゃった?」

「あーはいはい、また忘れちゃった?」


 えへへと笑うララに、スランは手早くサラダを仕上げながら鍋を指差す。


「早く焼かないと来ちゃうぞ」

「あ、そうだね。 早く始めなくちゃ!」


 焼き場には卵とベーコンの良い香り。

 パンケーキに合わせて出すように、見習いの男の子が焼いてくれているんだね、きっと。

 ありがとう! さすがスラン。



 隣の火に平らな鍋を置き、バターを溶かす。

 このバターは最近手に入った貴重な物。

 酪農の町から届いた試作品で、ちょっとの量でもと〜っても濃厚で香りが良い。


 あぁ〜いい匂い。

 大きな木製スプーンで生地をゆっくりと鍋に落とす。

 ララの手の平くらいの大きさにする。

 小さいパンケーキをたくさん作って、お皿いっぱいに盛り付けよう。


 くつくつと生地が動いたら木のフォークで裏返し、少し焼いて出来上がり。

 またバターを溶かして生地を入れる。

 何度か繰り返し、出来上がったパンケーキは大きなお皿に全部のせる。

 小さいけど、いっぱい作ったので山盛りだ。


 サラダを作り終えたスランは、春のベリーと花の蜜をガラスの器に盛り付け、卵とベーコンもそれぞれ準備万端!

 ダイニングテーブルの中央に出来立ての料理が並ぶと、ちょうど良く入り口の扉が開く。



「お父様!お母様! おはようございます」

「ララ、おはよう〜。 誕生日おめでとう」

「あら、いい香りね。 ララが作ってくれたのね。 お誕生日の朝からありがとう」

「間に合ったね! ララ」

「お兄様! 研究所から来てくれたの?」


 ホーリーは額に汗が見えるが、笑顔でララを抱きしめる。


「12歳おめでとう、ララ!」



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