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月曜午後の定例ミーティングの雰囲気は、所属長――マネジャーの人格でおおいに左右される。自動販売機のパンの数にまで根拠を求めるような上司がいれば、文字だらけ、数字だらけの報告書を極端に嫌う現場出身の武闘派上司もいた。
穂田はどうかというと、提出された報告書の数値に説得力があり、シンプルであれば、現場の指示系統まで口うるさく首を突っ込んでこない。やりやすい上司と言えるだろう。ただ、脩一が引っかかるのは、現場で汗を流す作業者すら数値の一部とみなしている傾向が強いところだ。
「今日の不足人時はどれくらいなんだ」
穂田が低く言う。細いシルバーのフレームに弱く度の入ったレンズのメガネ。細い眉に整えられた髪。白のワイシャツにストライプのネクタイ、その上に紺色の作業ジャンパーを着ているが、物流会社の役職者というよりは、電力会社の職員のようだ。
「トータルでマイナス九八……」
和久井がホワイトボードを見ながら言う。進捗管理ボードだ。午後二時の段階で、それぞれの在庫エリアの作業進捗を報告させて、黄色のマグネットなら遅れなし、赤マグネットなら遅れ、青マグネットなら、前倒しで作業が進んでいることを示すが、今日は全エリアが赤だ。
「和久井さん、九八を八で割るといくつ?」
メガネのつるを中指で押し上げながら、穂田が顔をしかめた。
「十二、とちょっとですよね」
教師が生徒を試すような穂田の言い方が癇に障ったらしく、和久井は爪をいじりながら答えた。本音は、こんなミーティングなどさっさと終わらせて、現場作業に入らせろ、だ。
「ようするに、今日のスタート段階で、最低十二人の作業者が不足していたってことだ」
「ええ」
「それってどうなの? 結局、毎週月曜日は『赤』だな」
溜息と言葉を同時に吐き出して、穂田が吉井を向いた。
「先月度までと比較すれば、かなり改善しています」
人材派遣を含めた作業者の手配の責任者が吉井だ。
「いまのところ、増員のめどは立ってるの?」
穂田が吉井から視線を離すことなく、言う。吉井は用意してきた求人と応募状況をまとめた書類を広げる。
「長期8Hの募集はずっと続けてますけど、なかなか……。例の大学の学生課とは話をしていますが、なにぶん学生数が少ないので、いい返事がきません」
「時給が安すぎるんですって。いっそ一三〇〇円スタートくらいにしたら、もうちょっと集まるんじゃないですか」
和久井がぶっきらぼうに言った。もう手帳は閉じ、配布された資料も折りたたんでいた。
「定着しないのも問題だし、人材派遣にしても、突発休が多すぎる。今日の欠員の補填はどうなの、吉井さん」
穂田が和久井ちらりとねめつけて、吉井に問うた。資料をめくり、口を開こうとした吉井に先んじて、和久井がぞんざいに言う。
「人を見て採用してないんじゃないですか。それに適材適所ってものがあるでしょうよ。定年過ぎたおじいちゃんが、いきなりハンディスキャナー持たされて検品とか、モヤシみたいな兄ちゃんがコンテナ受けとかね、そりゃ無理ですよ」
面接担当は主に吉井、出入庫エリア担当チーフの村上の二人だ。吉井は和久井の険のある言葉を気にするふうでもないが、万事和久井を苦手としている村上は眉をひそめていた。
脩一は、おおむね和久井に賛同する。DCには、海外のサプライヤーで生産された商品が、四十フィートのISO国際海上コンテナ換算で週間百基以上入荷する。そして荷受けは人力だ。脩一も配属早々洗礼を受けた。二十代でもきつい。翌日と翌々日は身体を動かすたびに筋肉が悲鳴を上げる。
「とりあえず、わかった」
穂田が和久井をじっと見据える。
「各エリアで八人時以上のマイナスが出ていることを、基本みんな異常だと思ってほしい」
穂田がスケジュールノートを閉じた。ミーティングの締めに入るつもりだ。
「改善案があれば、いつでも私のところへ。以上。吉井さんは僕のところへ来て」
「お疲れ様です」
散会した。脩一もスケジュールノートと、議事録代わりのキャンパスノートを閉じ、深呼吸をした。和久井はさっさと事務所を出て行った。時間差で村上も現場へ。穂田も席を立ち、ミーティングスペースから自分のデスクに戻る。吉井が資料を抱えて続いた。脩一の隣の入谷がまだペンを動かしていた。
「坂井さん、今日は出庫バッチ起動、定時だったんですけど……」
向かいの席の中原が中腰で脩一に言った。月曜日の作業遅延は、最源流が内勤の配車業務であるだけに、戦犯にされやすいから言い訳をしているのだ。気持ちはわかる。
「先週に比べたら、遅れは小さいさ」
脩一はしっかり正面から中原を見、慰めるわけではなく、ただ事実だけを口にした。
「先週はマイナス百二十だ。今日は各エリア、マックスそれぞれ二時間残業でなんとかなるさ」
「穂田さんは、ようするに、頭数が足りてないって言ってたわけですよね」
中原が顔を近づけて、声をひそめた。この会社は系列各社を含めて、役職名で呼び合わないのが社員手帳にも記載されているルールだ。まだ主任職試験を通っていない中原でも、参事職の穂田を「さん」づけで呼ぶ。
脩一は中原を励ましておきながらも、気持ちはすでに現場作業に向いていた。それでも中原に確かめておきたくて言った。
「中原さん、君の考え聞きたいんだけど、ウチの会社って『人時』って言葉を使うだろう? どう思う?」
「二人の作業者が一時間作業したら二人時、四人の作業者が三十分作業しても二人時……、分かりやすいって思いますけど」
いや、最初は戸惑うはずだ。一人が百時間作業するのも、百人が一時間作業するのも、おなじ「一〇〇人時」。頭の中で具体的に作業ボリュウムが具体的にイメージできるようになるには、時間がかかるはずなのだ。
「和久井さんの一人時と、今日初めて作業に入る人材派遣さんの一人時が同じだと思うか」
「数値としては……」
「意味がないって思わないか。先週と今週では、シフトも違うし、それこそ派遣で来てる人たちの面子も違う。いっしょくたにしてマイナス九八人時って言ってもさ、」
脩一は立ち上がる。
「問題は解決しない気がするよ。作業も見えないし、作業者の顔も見えない。いや、見てない」
「そうですか?」
「和久井さんの今日の一人時と、パチンコで勝った次の日の一人時は違うかもしれない、なんて考えたことないか」
冗談を言われたのだと思ったのだろう。中原は強引に声を出して笑うと、内勤デスクの島へと戻った。
脩一はミーティングスペースの蛍光灯のスイッチを切り、わずかな時間考える。
ミーティングしている一時間と、出庫作業をしている一時間も、おなじ「人時」としてカウントされるんだな、と。もちろん集計されたあとの分類は違うのだが。
ユニット家具のピッキングを三時間やった後、フォークリフト――立ち乗りの電動リーチ――で商品を積んだパレットの搬送を三十分。ピッキングでかいた汗は、リーチの運転台ですっかり冷えてしまった。三時間半はそのまま残業だった。役職者として作成すべき報告書の類には手をつけられなかった。まあいい、木曜日までに提出すればいいのだ。ネタは豊富だ。十五分で書き上げられる――。自分の汗の臭いに顔をしかめながら、ターミナルで勤怠カードを切る。全エリアで作業が遅延しているといっても、開設当初から比べたら、まだ先が読めるレベルだ。だから、更衣室で私服に着替え、けだるい疲労感を引きずって通用口まで歩いている脩一にも、現場のメンバーは笑顔で「お疲れさん、暇チーフ」と声がかかる。それだけが救いだと思う。彼ら、彼女らの一人一人にはそうした表情と顔があるわけで、脩一は「人時」で彼ら、彼女らを表情のない数値に落とし込むのにはやはり抵抗があった。
ずば抜けてピッキングが速いとか、三人用ソファを担げるとかいう「個性」が突出しても、組織や現場は回らない。しかし全員に均一化された能力を求めるなら、得意の改善改革を推し進めて、無人化、自動化でセンターをシステム化すればいい。そうしないのか、できないのか。結局、国内最大級の物流センターもマンパワーで動いている。
明日は休みだ。三カ月単位の変動労働シフト制。土日祝日も関係なくシフトを組む。だから平日や、盆暮れ正月を外した時期に休暇がやってくる。慣れれば平日休みも快適だった。どこへ行っても空いている。銀行も役所も病院も開いている。
従業員駐車場の自分の車へ歩きながら、さて明日はどうしよう、そう考えるとき、脩一の身体が不意に軽くなる。何年たっても、この感覚はたまらない。何かから解き放たれた気がする。
商品を満載した大型トラックがプラットホームを離れて行く。全開にしたオーバースライダーから館内が見える。出荷ホーム担当の作業者が館内の灯りを背負ってシルエットになっていた。お先に失礼。背格好と動きの癖で、オーバースライダーを下ろす彼がだれかすぐにわかった。石本さん、お疲れ様。
エンジンをかける。一分ほどラジオを聞きながら暖気して、脩一は車を出した。暮れてしまった空に星も月も見えない。県道に出るころに、ぽつぽつとフロントガラスを雨粒が叩きはじめていた。午後七時。まだそんな時間かと思う。
県道は混み合っていた。バイパスから流れてくる車がボトルネックを起こすのだ。この町――涌見市大懸町は、数年前まで涌見郡大懸町だった。県庁所在地でもある涌見市に吸収合併されたが、さしたる反対意見も出なかったのは、町民のほとんどが涌見で仕事を持っていたからだ。涌見市は商圏人口八十万人。地方ではよくある極端な一極集中だ。とにかく公共交通機関が弱い。鉄道は、本数も編成車両数も少ないJR線と私鉄が一路線ずつ。あとはバスだ。涌見に新幹線の駅があるのが自慢らしいが、東京へ出やすいというだけだ。本県は車社会で、県民は高校を卒業するとほぼすべてが運転免許を持ち、まずは中古車を探すのだ。
だからだ。ラッシュ時の道の混み方は、埼玉の比ではない。
脩一は次第に解放感がしぼんでくるのを運転席で感じていた。県道は渋滞していた。ショッピングモールへ寄ろうか、あるいはレンタルDVDでもと可能性を探っていた気持ちはしぼみ、かわりに重い疲労感が全身に広がりつつあった。部屋へ帰って、さっさとシャワーを浴び、ベッドに転がりたかった。それが最高の快楽に思えた。夕食はどうするか。雨粒ににじんだスーパーのサインが見えた。私鉄大懸駅前の古ぼけたスーパーは、いま時間、商品が一斉に値下げされる。三十パーセント、五十パーセント引き。自炊は嫌いではなかったが、三時間半残業した身体はそれを拒否している。出来合いの総菜か弁当でも値下げされていたら買って帰ろう。
車をスーパーの駐車場に入れる。蛍光灯に照らされた店内には、電車から降りてそのまま夕食を物色に着た会社員や、部活帰りの高校生の姿がちらほら見えた。駐車場はけっして広くない。店舗そのものも年季が入っていて、客で混み合っている場面に出くわしたことがない。この町で買い物といえば、品揃えも値段もチェーンストアの威力をまざまざと見せつける、バイパス沿いのあのショッピングモールなのだ。あれが出店してくると、地元の商店街はシャッター街になるとは言い古された表現だが、脩一の地元もそうだったし、この町も例外ではなかった。それでもこのくたびれたスーパーが潰れないのは、品揃えを広げすぎず値段も高すぎず、ギリギリ最低限のサービスを、過不足なく顧客に提供できているからだろう。
青果コーナーでは梨が山のように積まれていた。そんな季節になったのかと思う。キャベツは群馬県産と、県北の高原地帯で生産されたもの。一個九五円。脩一はバスケットにひと玉入れた。梨は少し迷ったが、そのうち親戚から実家経由で箱が届く。買わずに素通りした。目指すは惣菜・弁当コーナーだが、途中の鮮魚に精肉売り場ものぞく。いつもどおり、日持ちのする加工品以外は軒並み三割引きから半額に値下げされている。この店はPOSを導入していない。昔ながらの値下げラベルが重ね貼りされていた。刺し身セットが九八〇円の半額――立ち止まったが、晩酌をする習慣もないから、むしろ甘塩鮭の三割引きが気になった。あと三パックで売り切れか。手を伸ばそうとしたとき、すぐそばにいた別の客の手がパックを取りかけ、だがその小さな手がわずかに逡巡している。
――ふっ。
内心苦笑して、脩一は顔を上げた。
「あれ……」
懐かしい匂い。黒い髪。華奢な首。
「あ」
隣室の少女だった。脩一に気づいて、やや驚いた様子だ。
「こんばんは、ええと――」
一瞬、脩一は少女の名前を失念していた。苗字は思い出せる。立原だ。けれど、少女の名前は思い出す必要はなかった。少女は中学校の指定ジャージ姿。エンジ色に白線が二本入った上下。そして、胸と背中に大きなゼッケンを縫い付けていた。「2‐1 立原玲奈」――そう、玲奈だ。
「玲奈ちゃん。夕ご飯の買い物か」
「あ、はい……」
新品だったころはまぶしいほどに白かっただろう運動靴のつま先にも「立原玲奈」の記名があったが、何かを消したあとの上に書いたように見える。制服がそうであったように、指定ジャージも二年生にしてはずいぶんと使いこまれていた。いや、この町の中学生は指定ジャージや体操着を私服代わりに毎日着て過ごしている様子だから、着古されているのはめずらしくないだろうが、玲奈のジャージのよれ具合は度を越したものに見える。白線はくすみ、袖口はほつれて、膝は何度も補修した跡がある。全体的に薄汚れた感じすらあった。汗じみてもいる。あの懐かしい匂いが強く漂うのはそのせいだ。
「鮭、もうちょっと待ったら半額になるかな」
脩一はひとり言のように呟いてみた。半分本心だ。
「え……」
「十分安いんだけどね。持ってく?」
「半額になるんだったら、少し、待とうかな……」
玲奈のバスケットには、処分品の野菜に豆腐、やはり半額の値下げシールの貼られた納豆と、特売のPOPがでかでかと掲示されていた卵が二パック入っていた。まるで――自分の学生時代の買い物だな。脩一は微笑ましく玲奈を見たが、浮かびかけていた笑みは、玲奈のうつむきかけた横顔に打ち消した。脩一は思い違いをしていた。目の前の少女は中学生だ。そして今は午後七時を回ったスーパーの店内だ。玲奈はこの店の値下げ時間を目当てに来店したのだ。
中学生が一人、午後七時を回って、処分品の食料を買いに来る――。
紺色のゴムで一つ結びにした、やや脂っぽい黒い髪。華奢だと思った体格も、痩せているだけなのだ。使いこまれた指定ジャージ姿も、言いかえればそう、みすぼらしい。
有線放送がやけに耳にうるさく感じられた。玲奈は鮮魚売り場の前で、教師に何かを咎められた生徒のように、うつむき気味で立っている。小柄な身体はしかし、震えも揺れもせず、しっかりと二本の足で立っていた。
似ている、と思った。脩一の遠い記憶に封じ込めた、自身の中学時代に存在した、一人の少女に。
「失礼します」
玲奈は顔を上げ、一言。そのとき脩一をまっすぐに見た。二重の大きな目。太くはないが濃い眉。通った鼻筋とぽってりした唇。中学二年生の少女にふさわしい形容ではないだろうが、第一印象そのまま、目を引く容姿だった。野暮ったくみすぼらしい学校ジャージ姿なのがさらにその器量を目立たせている、そう本人に言ったら気を悪くするだろうな、脩一は身をひるがえして売り場を離れて行く玲奈の後ろ姿を見送った。背中に縫い付けられた「2‐1 立原玲奈」と書かれたゼッケンの文字は、色あせてはいたが、大きく太い字だった。汗染みがゼッケンに広がっているのは、この際、見なかったことにした。
値下げされていない豚のモモ肉と、新鮮そうだったピーマンを炒め、炊きたての白米で食べた。炒めすぎて硬くなったモモ肉を噛みしめる。テレビは九時のNHKニュースになっていた。
脩一は玲奈がスーパーを出るのを見届け、さらに彼女が徒歩で自宅へ、脩一の隣の部屋へ帰りつくだろう時間も考慮し、店内で時間をつぶした。
隣室が気になった。だが聞こえるのは低く抑制の利いたアナウンサーの声だ。隣室の物音など聞こえない。いや、それはこの建物の造りがしっかりしているからだ。大家は面倒見のいい性格そのままに建物を建てたのだ。居心地いいことこの上ない。
そろそろシャワーを浴びてベッドに転がりたい。明日は休みとはいえ、早朝五時から勤務し、三時間半の残業で身体も心も疲れ果てている。テレビを向いてはいるが、内容が頭に入らない。
――立原玲奈。
脩一が懐かしく感じた玲奈の匂いは、毎日シャワーに入れない境遇の少女の匂いだ。洗濯もクリーニングもまめにできない制服や体操着を着ざるを得ない少女の匂いだ。
風呂に入らない不潔な奴なら、職場にいくらでもいる。そんな奴もデスクにいる脩一を見つけると、これ幸いとばかりに愚痴をこぼしにやってくる。強烈な臭いと至近距離で対峙しなければならず、脩一は話の内容は別として、臭いには辟易するのだ。前任地にも今の職場にも、職場環境改善のためにしっかりシャワー室も用意しているのに、退勤後、それを使ってさっぱりして帰るのが、もともとさっぱりした連中ばかりなのは皮肉としか言いようがない。
お前、作業服くらい洗濯して、風呂にも入ってこいよ――。
何度言おうと思ったかわからない。ああいう連中には遠まわしに言ってもダメなのだ。が、言えなかった。とりわけ、臭いについては、指摘すべきではない禁忌事項に思えて仕方がなかった。
あの子のせいだ。あの記憶のせいだ。
毎日風呂に入りたくても入れない境遇。毎日体操着を洗濯したくてもできない境遇。
玲奈は職場にいる連中とは違う。本人も自覚しているに違いない。だから、汗じみたジャージを着ていても、どこかに清潔感があった。
――島田由香。
思い出す。――教室。席替え。薄汚れた制服の袖、そして、色白で華奢な首と、整った横顔。
脩一はテレビを消した。とたんに部屋は静かになる。食器とフライパンをシンクで洗うと、脱衣場へそのまま向かい、乱雑に衣類を脱いで洗濯機に放り込んだ。ユニットバスで熱めの湯を全身に浴び、髪をトニックシャンプーで洗うと、いくぶん頭がすっきりし始めた。汗を流し終わり冷蔵庫からコーラを取り出し、お決まりのラッパ飲みをすると、スウェットの上下に着替えた。そしてまた思った。玲奈はおそらく、パジャマ代わりにあのジャージ姿のまま布団に入るのではないか、と。
そう。由香がそうだったから。