第五幕 ステータス振りの落とし穴なようで
お金を一定金額集めるとLVが上がることになるとは思わなかった。
しかし、ステータスのプラス値は所持金の10分の1上がるだけでLV特典とかないのかな?
「ん? この項目って最初からあったっけ?」
ステータスの項目の中に新しく〈天恵〉という項目が表示されていた。
気になったので開いてみると、樹形図のような線でつながれたものが現れ、pcのポップアップ広告のような説明が出てきた。
「なになに? ≪スキルツリー≫とな。yellを支払うことでスキルを取得できる」
おっと、これは悩むな。
下手にyellを支払ってしまえばステータスが下がってしまうことになりかねない。
とりあえず、スキル項目を確認する限り、LVに応じたスキルしか得られない。また、先端以外は線でつながれているところ以外取得不可ということか。
今現在取れそうなスキルっていうのは、≪エリアヒール≫っていう範囲小回復魔法と≪LUK向上≫というそのままの意味の運上げ効果と≪潜伏≫という一定時間姿を消すスキルの3つらしいな。
潜伏は、のぞきに使えそうだと考えたのは内緒だ。
不真面目は、これくらいにしてそれぞれ1つ500yellで開放されるみたいだな。
今の所持金が11000yellだし、1500yell使っても問題ないだろ。
「とりあえず、全開放っと」
今開けるすべてのスキル開放というボタンを押してポップアップに大量の説明がでてきたが何も見ないで「本当にやりますか」の返答にyesを押してしまった。
しかし、このスキルツリーには落とし穴があった。ステータスを確認するとすぐにわかった。
<status>
名前辻堂 晴翔 Lv.2
所持金8000yell
筋力10 (+800)
魔法力10(+800)
防御力10(+800)
魔防力10(+800
速度10(+800)
運0(+100)
<魔法適正>炎D 水D 風C 光F
<スキル>貯金…所持金が多ければ多いほどステータスに変化が起きる。無一文には使えない
<天恵スキル>
エリアヒールLV0…半径1m以内の味方の傷を癒す
隠密LV0…15秒間姿を消す。(クールタイム5:00)
LUK向上LV0…自分の運×100
<Item>
ゴブリンの死体 (24 : 20 : 45) × 150
オオカミ男の焼死体(灰) (12 : 10 :11) × 1
オオカミ男の死体 (24 : 23 :50) × 2
錆びたナイフ × 4
こん棒 × 100
折れた木の棒 × 1
「ふぁっ!? 俺のお金減りすぎだって、なんで?」
スキルの項目を見直すと、次のスキル開放の金額が2000yellと書かれていた。
つまり、スキル1つ開放ごとに500yellずつあがるってことね…
がっくし……
しかもスキル見ても隠密は覗きには使えなそうだし、ヒールエフェクトは微妙、なぜかLUK向上だけいいという結果。これは辛い。
そんなこんなで、スキルについて云々うなっていると、商人の娘さんのフェイさんが呼びに来た。
「どうしました」
「いえ……なんでもないです。ちょっと考え事をしていたもので」
スキルの事をバカ正直に言うこともできないので、とりあえずごまかしておく。
「……ふーん、そうですか。なにかありましたら言ってください。あっ、そうそう準備が出来ましたので出発しましょうというのでした」
意味深に納得されたきがするがまあ気のせいということにした。
いつまでもスキルの事でうんうん言ってられないので、とりあえずフェイと一緒に馬車の下へと向かった。
馬車には貴族の荷物であろうものが積まれていた。
「お待たせしました、ハルトさん。今積み荷を終えましたので王都へ向かいましょうか」
馬車の先頭には商人のレオンさんが馬の手綱を持ちながら座っていた。
「ハルトさん、乗ってください」
……ちょっと待て、えっと何処にだろう。
目の前には荷物が乗っている馬車と二人分座れるだけのスペースが開いていた。
そこには、フェイさんが座ってしまった。しかし、フェイさんは座っているところの空いたスペースをポンポン手でたたいていた。
なんということだ、女子とすらまともに会話をしたことがないのに隣に…
しかも密着して座るだと…なんて試練をあたえるんだ神よ
だ、だが、いつまでも座らないと変に思われてしまう…
そ、そうだ、こんなときこそ落ち着いて、冷静に、coolにだ。紳士的行動をすればいいんだ。
「はやく座ってください」
フェイの声に、驚いてとっさに出た声は……
「お、お、お、お、おじゃばじばず」
上ずっていた。
(やっちまったー)
「あははははは、なにそれ? ハルトさんってもしかして女性慣れしてないんですか?」
ああああああ、〇学生のトラウマがよみがえる。
俺は、フェイさんにからかわれながら王都へ向かう羽目になった。
なんだかんだで、街に到着した。
道中に魔物は、現れなく不自由なく来れた。あとで話を聞いたところ街ではなく王都ということで近辺には魔物がほぼいないんだそうだ。
いたところでスライムかホーンラビットと呼ばれる魔物で子供でも倒せる魔物らしい。
「ハルトさん、身分証はお持ちでしょうか?」
「実は、持ってないんですよね…(異世界出身者な者で)」
一応、異世界出身者ということは隠し、二人に俺は東邦の国から来たことにしてある。
「身分証がないと街……いや王都に入れないんでしょうか」
「いえ、ハインブルグでは身分なしでも入れますよ。冒険者や商人ギルドに登録すれば身分証も発行できます。ただ検問で審査がありますので…。検問では…いえ…何も…」
よかったー。身分証なくて入れないことはないのか。
しかし、なんで歯切れが悪いんだろ?
検問前には屈強な男が甲冑を着て、並んでいる人たちの審査を行っていた。
「次の人は、ポレンタン商会のお二方ですね。そちらの方、身分証はありますでしょうか」
「いえ、ありません」
「そうですか。では、別室に来てください」
「ハルトさん、門をくぐったところでお待ちしております」
別室に向かうと、屈強な男性二人がいた。
テーブルの上に占いで使う水晶玉のようなものが置いてある。
「ではまず、犯罪歴がないかをこのオーブで調べますので軽く触ってください」
言われた通り、オーブに触れると、オーブは青く光りを放った。
「はい、問題ありません。では次に身体チェックをいたしますので、万歳をしてください」
言われた通り、万歳をすると屈強な男二人が狩りで体をまさぐり始めた。
というかなんか手つきがおかしい……
「すみませんが動かないでください。触りに…調べにくいです」
「いま触りにくいって言おうとしませんでしたか!?」
「勘違いです。我々の目的はボディチェックであります。」
そういいながら、股間当たりをチェックしているのは気のせいだろうか…
怖いよ……絶対気のせいじゃないよ。
このあと、すぐに終わったが俺は盗賊と戦うことよりも疲れていた。
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