第三幕 初戦の相手は、ゴブリンなようで
3話投稿して、毎日投稿できるか心配。
「やっと着いたぞ、森」
さすがに3時間も草原を歩き続け、何も起きなければ精神的にキツくなってくる。しかし、驚くほど俺の体は息一つ切らしてはいなかった。今までの生活だと1時間も歩けばへとへとで休憩をはさんでいたはずだっただろうが、ステータスアップのおかげかここまで休憩なしでリズムよく歩いてこれたし、まだ余裕があった。
「異世界特典様様ってか。……んっ?」
地図で現在地と森—町までの道を確認していると、森の木陰からこん棒をもった醜悪な顔が出てきた。
「RPGでも見たことあるけど、ぜったいゴブリンだよな。できれば、はじめてはスライムを木の棒でつつきたかったんだが……」
「クケケケケケッ」
そうこう考えながらゴブリンを見てみると気味の悪い声で顔を歪め、俺を襲おうと構えている。
「丸腰だから見逃してくれないか…。なんて聞いてくれないよな」
装備のない俺は、草原で拾った木の枝を構えた。弱弱しい木の枝を構えたからかゴブリンは、迷わず走ってこん棒を振り下ろそうとしてきた。
「おっと、危ない」
今までの俺ならよけられないが、貯金のステータスによって動体視力も上がっていたので、ゴブリンの攻撃がはっきり見えており、こん棒をすんなりよけることが出来た。
「クケケケケッ……グピャッ」
もう一度、こん棒を振り回し殴り返して来たので俺は、こん棒を避けつつ木の枝を目に突き刺した。
「どーだ、エクスカリバーの威力は、失明したか?」
ちょっと余裕過ぎたのでイキり散らさずにはいられなかった。
目の前ではゴブリンが目を抑え、こん棒を乱雑に振り回していた。
チャンスとばかり俺はゴブリンに向かって飛びあがった。
「これで終わりだ。くらえ、スーパーウルトラスペシャル辻堂キーック」
叫びながら木の枝が刺さっている、目を目掛けてヤクザキックをかました。その後、ゴブリンは、のたうちまわっていたが、ピクリとも動かなくなったので俺は、遠くから石を投げて様子を確認した。(つまり、死体蹴りというやつ)
俺は、ゴブリンの絶命を確認し、「お前は、もう死んでいる」と捨て台詞を吐いてやった。
異世界初の魔物狩りを終え、ステータスを確認すると、レベルに変動はないがItem欄というものが追加されていた。
—ゴブリンの死体を収納しますか?
YesorNo
もちろん、Yesを選択した。
選択するとItem欄のなかにゴブリンの死体(24:40:00)×1と書かれており、下4桁の数値がどんどん減り始めた。
「えっ、腐敗速度停止とかないのかよ。異世界の定番だろ?」
不満を吐いていて、ふとステータスの確認をしていたとき、前回のお金によって魔法適正が増えたことを思い出した。
「魔法適正 炎D 水E ってことは、炎と水が今使えるんだよな。念じれば出るんだろうか」
試しに指先に着火するイメージをすると、手に靄のようなものが現れ、炎が噴き出した。
「うおおおおおおおおおお、魔法だああああ」
その叫び声を聞いてか、周りの茂みから、1体のゴブリンがでてきた。
「おっしゃ、実験に付き合ってもらおうか」
「クケケケケッ」
先ほどと同様に、不気味な声を上げながら突ってきたので、俺は指先をゴブリンに向けて—
「いけっ、≪ファイヤー≫」
炎の棘が指先から発射され、ゴブリンの前頭部から後頭部を突き抜けた。結果、ゴブリンは一瞬で絶命した。
「うははははは、魔法サイコー。この調子でどんどん実験していくぞー。ゴブリンはいねぇがあ」
このとき、辻堂が行った魔法は極めて高度な魔法であったことは本人が知る由もない。辻堂は≪ファイヤー≫と言っていたが、実際放たれたのは上位互換≪ファイアランス≫だった。出なければゴブリンの頭は貫通もしないし、絶命もしなかった。
そんなことなど露知らず、辻堂は調子に乗りはじめ、水魔法と炎魔法を試し打ちするために森を駆け回り、その後3時間ゴブリンを狩りまくっていった。
余談だが、辻堂が訪れたのはゴブリンの被害が相次ぐ森だったため、指定区域に指定されていた。数日たちゴブリン狩りを終え辻堂が去った後、一人の冒険者が調査依頼としてゴブリンがいなかったことを報告すると、冒険者内でもっと強い魔物が現れたのではと調査を進めたが森に魔物の姿はなく原因不明の難事件として処理されてしまったらしい。
しかし、辻堂がこのことを知ることは、永遠になかった。
<status>
名前辻堂 晴翔 Lv.1
所持金1000yell
筋力10 (+100)
魔法力10(+100)
防御力10(+100)
魔防力10(+100)
速度10(+100)
運0(+0)
<魔法適正>炎D 水E
<スキル>貯金…所持金が多ければ多いほどステータスに変化が起きる。無一文には使えない
<Item>
ゴブリンの死体 (24:36;45) × 150
こん棒 × 100
木の棒 × 1
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