帝国設立編~勝ちは時間の問題
国家を設立して1か月が経った。
「他国の状況はどう?」
国内の情勢が安定してきたので、そろそろ他国の動きを確認する。
「隣国は今もなお国交断絶状態です。150の属国のうち半数が離反の意を示しています」
ゴルドーが状況を説明する。
アトランティス皇帝が言った通り、戦乱が今にも起きようとしている。
「ですが半数の属国はシギュン国の保護を求めています。さらに大飢饉の影響で、他国もいまだに大規模な軍事行動がとれない状況です」
ゴルドーがほくそ笑むと、僕もつられてほくそ笑む。
「保護を求める国を助けたら、他国はどうするかな?」
「属国はシギュン国が得体の知れない国だから敵対しているようなものです。半年もせずに保護を求めるでしょう」
「隣国はどうするかな?」
「大陸のNo.2であるベリト国は大陸の覇者となるため敵対します。おそらく他国もベリト国につられて参戦するでしょう。しかし、ベリト国以外は、一度大打撃を受ければ、すぐに和平を求めます」
「最終的に敵対するのはベリト国だけか」
「そのベリト国も大飢饉で、あと1年は動けません。国内を纏めるなら今がチャンスかと」
方針は決まった。
「まずは保護を求める属国を支援しよう。欲しがる物はタダで届ける。救護班も送って病人もけが人も治してやれ」
「国内は現状のままでよろしいですか?」
「国内はゴルドーたちに任せる。僕は他国を纏めることに集中する」
「分かりました」
こうして特に脅威も無く会議は終わった。
「久しぶりに、母さんの墓参りをしよう」
方針決めの会議が終わると、今度はどのような支援を行うか、具体的に決める会議が始まる。
事が始まるととても忙しくなり、もしかすると大陸中を駆け回ることになるかもしれない。
そう思うと、子供のころに死んでしまった、生みの親である名も知らない母さんの墓参りがしたくなった。
「ちょっと席を外すよ。お昼過ぎの会議には戻ってくるから」
「一人でどこへ?」
コーネリアが質問する。万が一のことを考えてだろう。
「内緒。心配しないで」
笑って誤魔化す。
墓参りをすると、どうしても涙が出る。
そんな姿を見られたくなかった。
名も知らない母さんのお墓は、古の森の奥深くにある。
さすがに皇都から歩いて行ける距離ではないので、ジル母さんに送ってもらう。
「今日は一人で母さんに会いたいから、ジル母さんはここで待ってて」
「分かった。愛しているぞ、ジーク」
ジル母さんは優しく僕の頬にキスをしてくれた。
「ありがとう」
僕もジル母さんの頬にキスをして、母さんのところへ行った。
「ロキさん」
母さんの墓の前に行くと、なぜかロキさんが佇んでいた。
「やあ」
ロキさんは僕を見ず、じっとお墓を見つめる。お墓には一本の薔薇が供えてあった。
「ロキさんが薔薇を?」
「仮にも僕に助けを求めた女性だからね」
ロキさんの口数は少ない。とても寂しそうだ。
「母さんはどんな人だったんですか?」
「彼女は異世界人だ。君もね」
「……え!」
耳を疑う! 僕はこの世界の住人じゃないのか! なら僕は誰だ!
「時期が来たら、君の疑問に答えるよ」
ロキさんはサクサクとお墓から離れる。
「頑張れよ、ジーク」
ロキさんは微笑むと、姿を消してしまった。
「……僕は、一人ぼっちだったの?」
母さんの墓を撫でる。冷たくて涙が出る。
「一人じゃない。私が居る」
振り向くと、ジル母さんが立っていた。
「来ちゃったの?」
「ロキの声が聞こえたからな」
ジル母さんがギュッと抱きしめる。
「ジーク……私はお前の本当の母親ではない。でも、本当の母親のつもりで育ててきた。今もそうだ。ずっと傍に居る」
頭を撫でられると、涙がにじむ。
「しばらくこうしてて」
「ああ」
僕はジル母さんの胸の中で、たくさん泣いた。
ジル母さんはとても優しく受け止めてくれた。
1か月後:半数の属国がシギュン国に従属を表明。
3か月後:残りの属国がシギュン国の保護下に入る。
1年後:隣国が連合軍を結成し、一斉にシギュン国へ宣戦布告。
同日:シギュン国は圧倒的な力で連合軍を壊滅させる。
翌月:ベリト国以外の隣国がシギュン国の属国となる。
ここでお詫びを。
モチベなどの関係で物語を巻かせていただきます。元々この章で終わりの予定だったのですが、一気にラスト付近まで物語を進めさせて貰いました。
この作品はエタるには惜しい作品のため、完結だけは絶対にさせるための処置です。もしも途中の話が書きたくなったら番外編として投稿すれば良いので。
ご承知ください。




