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商売編最終話~ジーク、ゴルドー国を支配する

「ゴルドー国の王に会おう」

 久しぶりにロクサーヌたちと夜を過ごす。50人にジェーン、アレクシア、ヴァネッサを加えた総勢53人とやるのは最高に気持ちいい。


「どうしてでしょうか?」

 ロクサーヌが冷たい水を持ってきたので一口頂く。美味しい。


「ゴルドー国にジーク商会を運営させる。これ以上書類整理をやりたくない」

 ジーク商会は確かに僕たちに多大な利益をもたらした。だが一方で多大な負担にもなっている。

 なんでロクサーヌたちとイチャイチャする時間を削ってまで書類と格闘しなくちゃいけないんだ?

 下半身が寂しくて仕方ない。


「ならばいっそのことゴルドー国を支配してしまえばよろしいのでは?」

 エミリアが股の間に顔を埋める。良い感じ。頭を撫でるとさらに気持ちよくなる。


「支配ねぇ」

「難しく考える必要はありません。王と民にジーク様に忠誠を誓うように求めれば良いのです。国の運営などは今まで通り王にやらせればよいのです。商会も代理の者に任せればいい。もちろん、利益は渡してもらいます」

 ロクサーヌに頭を撫でられるとウトウトする。まだ眠ってはいけない。


「町に来る人々を審査するのも疲れた。いっそのこと全部ゴルドー国にやらせよう」

 僕の町はたくさんの人が住むようになった。商売の利益も多大になった。

 もはや町を通り越して国家規模だ。僕やロクサーヌたちだけで対処できる仕事量をはるかに超えている。


「このままじゃ過労死寸前だ。ゴルドー国の皆様には気の毒だが、僕の傘下に入ってもらおう」

 もちろん、その分利益は与える。絶対に飢えることが無いように食料は無料で与える。これだけでも最高の待遇だ。


「話は決まった! 一夜限りの侵略戦争! 目標はゴルドー国の城! 一晩で制圧する!」

 母さんたちを呼び寄せる。圧倒的過ぎるけど、そのほうが逆らう気力を無くすことができる。


 一夜限りの大暴れだ!




 ジークたちはゴルドー国の大通りを闊歩する。メンツは、ジル、ブラッド、ベル、ラファエル、タマモ、リム、バトル、青子。全員、幻術などで姿を誤魔化していない。だからこそ、人々は戦慄する。

「あれは、魔王ジル!」

「吸血鬼だ! なんでこんなところに!」

「ジーク様がどうして!」

 ゴルドー国は騒然となった。当然だ。死が歩いているのに冷静で居られる人間など居ない。


「騒がしいな」

 ジルはうっとおし気に人々を睨む。それだけで一般人は気絶する。


「ワシらは久々の悲鳴で楽しいがのぅ!」

「最近はイライラしとったからの! プチプチッと潰すのも悪くはない!」

 タマモとリムは狐とオオカミの髭を丸くさせて笑う。それだけで気温が数度下がる。


「殺しちゃダメだよ? 今日は僕たちが悪者なんだから」

 ジークは変なことを笑って言う。圧倒的な力でいきなり宣戦布告する。戦争のルールを破っているのは自分たちだからこそ、むやみに殺してはダメ。そんな理屈だった。


「人間の世界を散歩するのも久々だ。血を嗜むのも悪くはない」

 ブラッドは楽し気に町並みを舌なめずりして眺める。人々は背筋を凍らせる。


「俺は勇者って奴と戦いてえな! つええんだろ! ワクワクするぜ!」

 バトルはゴキゴキと拳を鳴らす。雷鳴のように響き、それだけで子供が泣き出す。


「あなたたち、遊びに来たのではありませんよ? もっと真面目になりなさい」

「さっさと終わらせよう。今日はせっかくジークと一緒に寝られる日なんだ」

「ね、ねむい……」

 ラファエルは慇懃な表情で、ベルはソワソワした態度で、青子は眠い目を擦って歩く。


「と、止まれ!」

 ついに異常を察知した騎士たちが立ちはだかる。


 しかし、それは一瞬にして無駄となった。ジルが指をクイッと上げると、騎士たちの武器は全部宙へ浮かぶこととなった。そしてジルがクシクシと指先を捏ねると、武器は無残にも、空中でくちゃくちゃに丸められてしまった。


「退け。邪魔だ」

 ジルの冷たい一言で、騎士たちは何も言わず、本能的に、黙って道を開ける。彼らは一瞬にして、心が折れてしまった。


 一同はさらに進み、ついに城の門までたどり着く。城は頑丈な鉄柵で固められていた。


「邪魔するぜ」

 バトルが鉄門を引っ張ると、鉄門はあっけなく、ベキンとへし折れてしまった。


 一同はさらに進む。すると潜んでいた上級魔術師が呪文で奇襲をかける。


「今だ! 獄炎の光(ファイヤーレーザー)!」

 数十の熱線が一同を襲う。


 しかし、悪夢が起きた。

 熱線は一同に直撃する寸前で、はじかれてしまった。


 ジルが展開する無敵結界の効果だった。


「死にたくなければおとなしくしていろ」

 魔術師たちはジルの一睨みで、格の違いを思い知り、膝をついた。


 一同は城の扉にたどり着く。これもまた頑丈な鉄扉だった。


「眠い」

 青子は指先から極細の糸を作り出す。そして少しだけ、指先を振ると、糸は光速の刃となって鉄門をチーズのように引き裂いた。


「止まれ!」

 護衛の騎士たちが通路を塞ぐ。


「退け」

 タマモが一睨みすると、幻術をかけられた騎士たちは整列し、ジークたちに道を開ける。


「お邪魔します」

 ついにジークたちは玉座にたどり着いた。そこにはゴルドー国の王、ゴルドーと王妃たちが震えていた。


「お、お前たちの狙いは何だ!」

 ゴルドーは勇敢にも剣を構える。


「失礼ながら、この国を征服させていただきます。良いですね?」

 ジークは魔物の王として、冷徹な表情で告げる。


「せ、征服だと!」

 ゴルドーは震える剣を必死に押さえる。立っているのもやっとだ。


「ゴルドーさん。この国を終わらせたくないでしょう?」

 ジークはゴルドーの前に立つ。

 ゴルドーはジルやブラッドに目を移す。


 そして、剣を放した。


「頼む……娘たちの命だけでも助けてくれ」

 降伏宣言だった。


 ゴルドー国は一夜にして、ジークたちに征服された。


「……あれま」

「ジーク様!」

 そしてジークは第三王女ユーフェミアと出会う。


「……悪いようにはしないよ」

 ジークは笑顔でユーフェミアの頬を撫でる。


「ジーク様……私に会いに来てくれたのですね」

 ユーフェミアは一人、うっとりとジークに微笑んだ。

ちょいと本気出したら国取りなんて楽勝。

次回は国家設立編を予定。

魔物の国を世界に認めさせます。

戦争あるかも知れないけど、他国が滅ばない程度に舐めプしてもらいたいなぁ。

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