商売編~シスターはジークにみさおを捧げる
精霊教会が介護する病人を治したら、なぜか神様と崇められた。
最初は戸惑ったが、誤解を解くのも面倒だし、この際だ! 利用させてもらう。
「教会に食料と薬を届ける。その代わり、僕が良い人だって広めてくれ」
埃一つない応接室でアレクシアと話す。一時間前までは埃だらけだったのだけど、話がしたいと言ったら一瞬で綺麗にしてくれた。
「もちろんです! 神が降臨し、私たち哀れなる人間に慈悲をくださったと、信徒の力を合わせて広めます!」
キラキラを通り越して、ギラギラと目を光らせる。それすると精霊教会のお偉いさんから睨まれそうだけど……。
まあ、最悪札束で顔面を二発も殴れば分かってくれるだろう。タマモ母さんの幻術やブラッド母さんの催眠術もあるし。
今はこの勢いに乗るべきだ。
「ありがとう。さらに、お願いがある」
「お願いなどとんでもない! ご命令ください! 私たちはあなた様の手となり足となるために生を受けたのです!」
やる気があるのは良いね! この際そう考えよう!
「僕たちがやっている炊き出しをやって欲しい。食器洗いからパン作りにスープ作りまで。材料は渡す。報酬は、自分たちで作ったパンとスープだ」
「なんとありがたい! 信徒にはパン職人やスープ職人に、食事場で働いていた者もおります。すぐにでも取り掛かれます」
「その他にも色々と雑用を頼みたい。報酬は渡す」
「あなた様からの命令! それこそ私たちの最上の報酬でございます」
アレクシアは両手を合わせて、恭しく拝んだ。
とにかく、目的は達成できた。
一週間もすれば噂は広まり、労働組合代表のオードリーを口説き落とせるはず。そうなればいよいよ大詰めだ。
致死率の高い出血熱の感染経路が気がかりだが、今できるのはヴァネッサに調査を依頼することくらい。教会の除染は済んだから、今は安心しよう。
「あの、ジーク様に、お伝えしたいことがあります」
思案していると、アレクシアがもじもじと色っぽい顔で体をくねらせる。
とてもエッチだけど、相手は聖職者だ。手を出すと面倒なことになるから我慢しよう。
とりあえず、お茶を飲んで難しい顔をする。何となく知的に見えてると良いなぁ。
「私のみさおを受け取っていただきたいのです」
みさお? 何それ? 食べ物? お茶を飲む手が止まる。
「処女ですよ、ジーク様」
ボソリと耳打ちするロクサーヌの言葉にお茶を噴き出す。
「だ、大丈夫ですか! ああ! やはり修行の足りない私などの操なんて! 死んでお詫びします!」
「ごほごほ! ぢょっどまっで!」
恥ずかしさからか悲しさからか分からないけど、窓を全開にして飛び降りようとするアレクシアを止める。
ここは一階だから死ぬことはないと思うけど、怪我はさせたくない。
「しょ、処女を捧げるってどういう意味?」
アレクシアのような美人さんを抱けるのは嬉しい! でも理解が追いつかない。
聖職者は神に処女を捧げる。だから性交はご法度のはずだ。
「そ、その……」
アレクシアは顔を真っ赤にもじもじする。勇気を振り絞って言ったのか。
「私が代弁させていただきます」
ロクサーヌが優し気な顔でアレクシアを見る。
「アレクシア様は神に処女を捧げてきた。そして、ジーク様という真の神に出会えた。だからこそ、受け取っていただきたいのです」
つまり、僕は神様だから処女を受け取ってくださいって?
凄く重いんだけど! それに発想が飛躍し過ぎ!
「も、申し訳ございません……あなた様に出会えたことで浮かれてしまいました」
アレクシアは断頭台を前にしたかのように顔を伏せ、ガタガタと震える。
これ、自殺しない?
「ちょっと考えさせて」
足を組んで、お茶を飲む。
発想を変えよう。アレクシアを抱いて不都合はあるか? 特に無い!
勇気を出して言ってくれたのだから、僕も勇気を出そう!
「分かった。ありがたくもらうよ」
スルリとアレクシアの横に座って、唇を奪う。
アレクシアの目からブワッと大量の涙が滝のように落ちる。
「よろしいのですか! 私のような者のみさおで!」
「良いさ。君はよく頑張ってきた。だからこれからも僕のために頑張ってくれ」
「はい! はい! ありがたき幸せです!」
さらに激しくキスをする。アレクシアの体から力が抜ける。顔がうっとりととろけて行く。
「私は席を外させていただきます」
ロクサーヌはアレクシアの頭を撫でると、足音も立てずに出て行った。
「アレクシア、怖くない?」
アレクシアの服を一枚一枚脱がせていく。少しずつ、魅力的な体が現れる。
「はい! 大丈夫です! どうか私をあなた様のお傍に居させてください!」
僕はキスをしながらアレクシアの服を全てむくと、一つとなる。
「ああ! なんと幸せな! この痛み! この体温! この鼓動! 私はあなた様と出会うために生まれた!」
グッと抱きしめていると、アレクシアは涙を流して喜ぶ。
「私、アレクシアはあなた様に永遠の服従を誓います! あなた様の僕となります! どうか、私にご命令を! どうか、私を楽園へ! 何でも致します!」
「なら、僕を永遠に愛せ!」
グッと力を込める。アレクシアは幸せな涙を流す。
「ジーク様! 愛しております! 永遠に」
「ああ! 最高だ! 絶対に離さない!」
僕は飽きるまで、アレクシアを貪った。
頑張ります。




