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町作りは意外と順調です~50人の女の子とキスをします

 奴隷の子たちがジークの町に住み始めて二週間が経った。

 皆、元気に小麦畑で小麦を刈っている。

 収穫は上々だ。品質も良い。植物の女王であるラファエルが特別に作った小麦畑だから当たり前のことだが、人間からすると奇跡のような畑である。

「皆、お昼だよ!」

 地主の娘であったメリムが作業中の子に声をかける。


 メリムは女の子の中で一番農作業に慣れていた。彼女の実家は小麦栽培を生業としていて、どのように育てれば良いのか、何が必要なのか、知識だけでなく、目で知っていた。

 結果、メリムは農作業の中心人物となっていた。


「お腹空いた~」

 皆、球粒の汗を流している。お腹もくうくう鳴っている。

「私は畑の様子を見て来るから、皆は先にお昼食べちゃって!」

 メリムは皆に指示すると、ウキウキと畑を見て回る。


「凄い!」

 メリムは畑を見て舌を巻く。


「刈り取り作業が済んだのに、もう生えてきてる!」

 メリムは刈り取った小麦を見る。

 小麦は刈り取ったばかりだというのに、まるで再生するかのように再び実を付ける。たった数十分で、立派な小麦畑へ再生した。


「これがラファエル様の作った小麦の力」

 ゾクリとメリムの背筋が震える。


 ラファエルはアトランティス国で信仰される宗教の一つ、精霊教会で最高神と位置付けられる。彼女は大地の女神で作物の神とされている。

 彼女が作った小麦や野菜は人知を超えていた。


 何せ、とってもとってもすぐに生えて来るのだ。枯れることなく、すぐに実を付けるのだ。


 農家にとって夢のような畑だ。

 たとえ100億ゴールド積まれても売らない! そんな端金で売れる訳がない!

 メリムは畑の価値に圧倒されていた。


「これだけで戦争になっちゃう」

 メリムは突如、背筋が寒くなる。


 農家は不作との戦いだ。どのように注意していても、天気や害虫、災害で台無しになる。メリムが売られた理由もそれだ。

 この畑はそれが無い。永遠に、安定して、たくさんの作物が手に入る。

 飢えから解放される。


 これを世界に発表すれば、あらゆる国が欲しがる。数千の死者を出しても欲しがる。


 ここは神が作った楽園だ。外の人間はどんなことをしても奪いに来る。


「そんなことさせない!」

 メリムは硬く拳を握る。

 この畑は私たちの物だ! ジーク様の物だ! 誰にも渡さない!

 自分を売った家族が泣きついて来ても! 絶対に触らせない!


「メリム?」

「ひゃあ!」

 メリムはジークに後ろから声をかけられると、心臓が縮み上がるほど飛び上がった。


「ジーク様! な、何か御用ですか!」

 メリムはバクバクする胸を押さえる。

「い、いつも通り様子を見に来たんだよ」

 ジークもバクバクする心臓を押さえる。メリムの悲鳴に鼓膜が破れそうだった。


「そ、そうでしたか!」

「そ、そうだよ! それで、何か問題はある?」

「問題ですか……」

 メリムは問題ないと言いたかった。だがそれはジークに止められていた。些細なことでもいいから報告して欲しい。それがジークの願いだった。


「刈り取りに使う鎌の切れ味が悪くなってきました。小麦が凄く元気だから、鎌が耐えられないみたいで」

「鎌は買い直すしかないか。この後買い物に行こう」

「あと、脱穀の手間がとても大きいです。収穫は十分ですが食べられるようにする手間のせいで食料は増えていません」

「そっちのほうが大問題だ! この後皆で確認会を開こう!」

 ジークは難しい顔で考える。メリムはその姿に見惚れる。


「ジーク様は、世界を支配しないのですか?」

 メリムは疑問だった。ジークは簡単に世界を支配できる。最強の魔物を従え、永遠に飢えない畑を作ることができる。

 ジークの手にかかれば、世界など安い物だ。


「僕は世界征服したい訳じゃない」

 二へッと砕けたように笑う。メリムの胸がドキンとする。


「僕はただ単に、育ての親に恩返しがしたいだけ。世界なんてでっかいの僕には扱いきれない」

 ドキンドキンとメリムの胸が高鳴る。


「私はそうは思いません! ジーク様はラファエル様に気に居られております! 永遠に飢えることのない畑を作ることができます! ジーク様は神様に認められています!」

 メリムは口を止められなかった。謙遜して欲しくなかった。威張って欲しかった。世界を取って欲しかった。

 なぜか? 分からない。だけど、ジークが世界の王となった姿を想像すると、とても素敵だった。


「ありがとう。でも僕はまだ経験がない。だから遠慮しておくよ」

 ジークがサラリと言うと、メリムは我慢できなくなった。




「ジーク様、その、手を、握ってよいでしょうか?」

 ドキドキと頭が沸騰する。ジークが驚いた顔をすると、嫌われたのかと思って泣きそうになる。


「い、いいよ!」

 ジークは顔をほんのり赤くして、メリムの手を握る。


「へへ! ドキドキしちゃうね!」

 ジークは気まずそうに笑う。ジークは男の子だ。魅力的な女の子と手を握れば、ドキドキしてしまう。


 メリムは心臓が破裂しそうだった。


「き、キスをしても、よろしいですか?」

 メリムは自分が何を言っているのか分からなかった。理性は焼き切れていた。


「い、いいの?」

 ジークは戸惑いつつも、メリムから目が離せなかった。

 ジークだって可愛い女の子とチュウがしたい。


「ジーク様がよろしいのでしたら」

 少しだけ、甘酸っぱい沈黙が訪れる。


 そして、チュッと、唇が合わさった。


「ジーク様!」

 メリムはジークに抱き着く。もう、離れられない。


「め、メリム!」

 ジークは固まってしまった。これ以上は不味いと思った。


「メリム! 僕だって男だ! これ以上は不味いよ!」

「ジーク様は私を買ってくださいました! なら構いません! 私を抱いてください!」

 ドッキンドッキンと頭が沸騰する。


「メリム! ズルい!」

 そんな二人の間に休憩を終えたスーやアンナなど、女の子たちが割って入る。


「私だってジーク様とキスがしたいの!」

 スーはジークの顔を掴んで、唇を奪う。


「私だって!」

 アンナもチュッとジークに抱き着く。


「皆! 落ち着いて!」

 ジークは慌てて女の子たちを止める。

 女の子はそれに従う。

 自分たちは奴隷であると身分をわきまえている。


「これ以上は不味いよ! 僕だって男だ! 間違いが起きちゃう!」

 ジークはじっとりと体中に感じる女の子の体温に震える。

 理性など簡単に消し飛ばす魔力があった。


「私たちはジーク様の性奴隷だよ?」

「間違いも何も無いと思うけど?」

 スーとアンナは顔を見合わせて首を傾げる。


「いやいや! 確かにそうだけど違うよ! 皆だってそんなの嫌でしょ!」

「ジーク様なら良いよね~」

「優しいしカッコいいもんね~」

 ジークは大慌てだが、スーとアンナはニコニコする。


「えっと、その……」

 ジークはタジタジだ。もしも味わってしまうと、町を作るという目標を忘れてしまう。女の子に溺れてしまう。

 それが怖かった。


「皆さん! ジーク様を困らせてはいけません!」

 リーダー格のロクサーヌがピシャリと叱る。


「ジーク様、申し訳ありません」

「い、いや良いよ! 気にしてないから!」

 ジークは頭を下げるロクサーヌの胸元から目が離せない。


「それとその……私も、キスをしてよろしいでしょうか?」

 ロクサーヌは濡れた目でジークを見つめる。

 グラグラとジークの頭が煮える。


「……キスだけなら良いよね!」

 ついにジークは女の子に溺れた。最もまだ浅瀬だが。


「行くよ、ロクサーヌ」

「はい……」

 ロクサーヌが目を瞑る。ジークは赤い唇に唇を重ねる。


「私もお願いします!」

「ジーク様!」

 次々と女の子がジークに殺到する。


「ああ! もう我慢できないよ!」

 ジークは今日、50人の女の子の唇を味わった。

甘々イチャイチャ


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