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労働力確保~50人の奴隷たちに口づけで忠誠を誓って貰います

「こちらです」

 黒服たちに案内された部屋は、大規模な寝室だった。中央に20人は眠れそうな巨大なベッドが1つ。その周りを10個のテーブルが取り囲む。100人くらいは座れそうだ。

 壁紙はピンクと派手で、備え付けの家具は素朴ながらも高級感が漂っている。


「ここは月に一度行われる乱交パーティーのお部屋です。50人と楽しむにはピッタリのお部屋です」

 黒服はテーブルの上にあるメニューを見せる。

「シャンパンやワイン、ビール、果実酒など様々な飲み物とおつまみがあります。飲み物は安いもので一杯10万ゴールドですが、あなた様は無料とさせて頂きます。おつまみももちろん無料です」

「気前がいいね」

「あなた様にはかないません」

 黒服は切れのいい笑みで返す。イケメンだ。ハボックより確実にモテる。


「精力剤やボンテージスーツ、鞭に蝋燭、媚薬、ローション、様々な小道具がございます。すべて差し上げますのでご自由にお使いください。お飲み物の注文など御用がありましたら、ドアの横にあるベルを鳴らしてください」

 黒服は案内を終えると、最後にキビキビとお辞儀をする。

「チェックアウトなどという無粋な物はございません。今日、明日、明後日、明々後日。心行くまで、ごゆっくり、お楽しみください。」

 惚れ惚れするような接客態度で、部屋を出て行った。


「カッコいい」

 サービスの質が今までで一番いい。それは部屋や飲み物だけではない。店員の質だ。

 安酒場や冒険者ギルドの店員は雑だ。その雑さが心地よくもあるが、頭に来ることもある。

 ここの店員はそんなことはしない。常に客が不快にならないように気を付けている。


 一番気に入ったのは、黒服たちがリム母さんの傍に近寄らなかったことだ。

 多分、リム母さんは恋人か婚約者か何かかと思われてる。どちらにせよ、自分の女に男が近寄ってきて、気分の良くなる男は居ない。黒服たちはそれを承知していた。


 ハボックやデリックなど冒険者ならお尻やおっぱいを触ろうとしていただろう。考えるだけで胸糞悪くなる。


「止め止め」

 苦い過去は記憶の彼方へ蹴飛ばして、現実を見る。


「……凄い」

 今まで見ないようにしていた。見てしまったら虜になりそうだったから。我を忘れてしまいそうだったから。


 だがそうはいかない。


「ご主人様。私どもを貰ってくださり、ありがとうございます」

 僕の奴隷たちが一斉に頭を下げる。


 100個の揺れる乳房。頭が煮えたぎりそうだ。


「ああ……どうも」

 自分で買ったくせに凄まじい迫力で声が出ない。


 金と女に狂う権力者たちの気持ちが分かってしまった。


 あいつらにならないためにも、しっかりと自制心を持たないと!


「ふーむ。どうもジークは舐められているようじゃな」

 後ろのリム母さんが眉間にしわを寄せて前に出る。


「ジークは優男に見えるからのう。実際、優しくて良い子でカッコよくて素敵で目に居れても痛くないほど愛らしくて歩けば誰もが見惚れる美男子で女なら誰でも惚れてしまい男は嫉妬に狂うほど凛々しくて可憐で悲しい過去も笑い飛ばすほどの笑顔が魅力的で世界最強の王にしてワシの可愛い可愛い可愛い子じゃから仕方ないが」

 母さん、長い。おかげで落ち着けたけど。


「お前たちはジークを見て、気を抜いた。これはいかん。お前たちはあくまで奴隷じゃ。恋人でも妻でもないんじゃ。それを自覚せい」

「そ、そんな! 私たちはご主人様の奴隷と心得ています!」

 年長者に見える奴隷の子が前に出る。しかし、リム母さんに睨まれると、喉を詰まらせる。


「王は恐ろしさも必要じゃ。そうでなくては舐められる。特に、人間はのう」

 リム母さんは衣服を脱ぎ捨てると、メキメキと大きなオオカミへと変化する。


「ひいいい!」

 奴隷たちは全員腰を抜かす。


「奴隷と心得ている? 心得ているのなら、ワシの姿を見た程度で腰を抜かすか? 命に代えてもジークに寄り添うじゃろ?」

 リム母さんは大きな口を奴隷たちに近づける。ふんふんと鼻を鳴らすと涎が出る。


「こ、殺さないで!」

 全員歯をガチガチ鳴らしている。小水も流れている。


「魔物の王でありお前たちの王であるジークの手に忠誠の口づけをするんじゃ。そしてお前たちの王になってくれたことを心から感謝するんじゃぞ」

「は、はい!」

 奴隷たちが返事をすると、リム母さんは人間の姿に戻った。


 リム母さんの行動を見て、脅すことは無いんじゃないかな? と思った。

 しかし、リム母さんの権幕を見ているうちに、頭が冴えた。

 僕はお友達を作りに来たのでもハーレムを作りに来たのでもない。

 労働力が欲しいだけだ。ならば自分の立場を自覚してもらう必要がある。


「母さん、ありがとう。おかげで立食パーティーなんて馬鹿げたことをやらずに済んだ」

 100個のおっぱいに圧倒されていた。彼女たちのご機嫌を伺おうとした。

 僕は王だ。その自覚が無ければ、皆を惑わせる。忘れないようにしよう。


「僕はジーク。魔物の王にして君たちの主だ。僕の手にキスをして、忠誠を誓って欲しい」

 利き手を彼女たちに差し出す。彼女たちは四つん這いで僕の手に口づけする。


「じ、ジーク様。私を買い取ってくださり感謝します。あなた様を永遠にご奉仕いたします」

 そうやって一人一人がキスをしていく。


「目に毒だ」

 彼女たちを見ないように天井を見つめる。四つん這いで動くとおっぱいやお尻がゆらゆらする。溺れてしまいそうだ。




 とにもかくにも予定通り奴隷を買うことができた。服や農具に食器など雑貨も買った。棚などの家具も買った。後は帰るだけだ。

「また来ることになるな」

 ようやく走り出す準備ができたところだ。そして走り出したら必ず障害にぶつかる。

 それもまた一つの楽しみにしよう。


 まだ始まったばかり。ゆっくり楽しみながら、町作りをしよう。

これで下準備は終わり。

次回から町づくりを甘々しながらやります。


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