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迷宮ホワイトカンパニー  作者: 桜雪風月
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太らないポーションありませんか


 当店の売れ筋に特製アップルジュースがあります。冷えていて飲んで美味しい、回復効果も普通のポーションより高い、さらにポーションよりも安いという3拍子なのに、新商品を開発することになりそうです。その理由が太るというものです。


 そう普通のポーションは青汁みたいなものなんですが、当社のアップルジュースは普通のポーションよりもカロリーがあるのです。まぁ、はちみつなんかや味を調えるものも入ってますしね。顧客は冒険者のかたが大半なので体を動かす方ばかりでたいていは大丈夫なのですが、どの世界でも女性は体型を気にするものなのです。


 アルケミストなのでポーション作成なんてお手のものだが、ぶっちゃけ特製アップルジュースが有能すぎた。こんな金蔓があるんだから無視してもいいのだが、お菓子系にも今後力を入れていきたい。ぶっちゃけ、料理は趣味なのでやめたくない。だから、太りやすいというイメージはつけたくないのだ。


 となるとメイン素材は薬草系になる。薬効を高める方法も色々あるがコストが高くなる。よい素材を使う、魔力を込めるなどがそれにあたるだろう。でも、薬草をメイン素材にするにも限度がある。となれば、アレしかない。そう、ダンジョンである。


 私はプライベートダンジョンを持っている。その名も『マテリアルダンジョン』。ダンジョンの性質はわからないが、いえることは今のところ無限に素材を採取ができているというものである。なによりも、特製アップルジュースのメイン素材こそダンジョンで採取したものである。ダンジョンで薬草が採取できなければ、栽培などを考えなくてはいけないだろう。


 私のプライベートダンジョンにはモンスターがいる。そこにいるアップルスライムを倒すとりんごをドロップする。しかし、100%りんごを手に入れれるわけではない。運が悪ければドロップなし、大半がぷちりんご、そして当たりがりんごである。そして大当たりつまりはレアが蜜りんごである。この蜜りんごこそ特製アップルジュースのメイン素材になる。


 しかし、レアだけあってなかなかでない。なのでふつうのアップルジュースで現役を薄めているのである。蜜りんご100%のアップルジュースは下手なハイポーションよりも回復量が勝る。


 どうしてりんごがスライムからというのは、ファンタジーとしかいいようがない。まぁ、無理やり考えるならアダムとイヴにも登場する果物だし、そこらへんからこじつけるといいかもしれない。ちなみにB1がアップルスライム、B2がポイズンアップルスライムである。ちなみにドロップは青りんごで、軽い毒消しの効果がある。ポイズンアップルスライムは軽い毒草を食べるのでそれに抗体でも出来ているのかもしれない。ちなみにB2にもアップルスライムは出現する。


 B3にはハニービーがいるので、そこからハチミツが手に入れることができる。飛行系モンスターなだけあって、そこそこ優秀なゴブスケを配置している。スケルトンだから、蜂に刺される心配はない。こういうのがスケルトンの強みである。面白いことに、ゴブスケは進化するのである。ゴブリンがホブゴブリンに進化するように、ゴブリンスケルトンもホブゴブリンスケルトンへと進化できるのである。かといってゴブリンスケルトンもホブゴブリンスケルトンだけではなく、ファイターゴブリンスケルトンなど多彩な進化候補がある。


 B4にはバッタとキリギリスを掛け合わせたような、グラスロックスターというモンスターが登場する。ロックスターというだけあって、楽器を弾いて歌っている。脚は昆虫食が可能ならば、美味しいかもしれない。ドロップするので、有用なアイテムであることには違いないとは思うのだが。酒の肴とかにできるのかしら。


 B5には野菜系モンスターが登場する。動く人参のキャロットマン、空飛ぶトマト蝙蝠のバットマト、空に浮くかぼちゃのパンプキンヘッドなどである。あれ、これでいいんんじゃね。というわけで、ポーション作成をやめにして、野菜ジュースを造ることにした。


 私の目論見は成功した。私はドロドロタイプの野菜ジュースが苦手なので、ドロドロしてないタイプを作った。搾りかすはクッキーにするなり、ダンジョンに還元してもいいかもしれない。ちなみに、このダンジョンにアイテムを捨てておくと1日たてばダンジョンに吸収される。といっても、人やスケルトンが1日いてもダンジョンに吸収されることはない。




 「露店のホワイトカンパニーで、特製野菜ジュースを飲んだら痩せた。」


 「三日ぶりに、お通じがでた。」


 「肌艶がよくなった。」


 そんな、評判がながれると購入者がどっとあらわれた。保存方法があれば、転売者などもでてくるのだろうが、今のところは難しいので大丈夫である。方法はあるが、コストがかかるのである。そんなことするのは物好きだけであろう。


 ファンタジーの世界なのに、ポーションを作らない不思議。是非、当社で働いてみませんか。


 




 


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