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間章 第二次世界大戦後の「雷電」の輸出

 第二次世界大戦終結後、戦勝国の米英日は、大幅な軍縮を行わざるを得なかった。

 幾ら第二次世界大戦に勝利を収めたとはいえ、第二次世界大戦の戦費負担は極めて重いものであり、軍縮により戦費の償還を図らざるを得ない状態に、米国でさえなってしまったのだ。

 4番目の戦勝国の筈の仏に至っては、第一次世界大戦に引き続き、第二次世界大戦でも国土の一部が、直接の戦火にさらされてしまったこともあり、にっちもさっちもいかない状況だった。


(このような状況から、アジア、アフリカにおいて、英仏等の植民地では、急激な独立運動が起こることになる。更にこの独立運動に、第二次世界大戦の経験により、戦争にある意味、倦んでいた日米が、積極的に介入しようとしなかったこともあり、1950年代から1960年代にかけて、英仏等の植民地は相次いで独立を達成していくことにもなるのだが、それは、ここでは語られない話になる。)


 更に軍用機の分野においては、ジェット化が急激に進んだこともあり、それもあって、米英日の各国政府は、第二次世界大戦の際に、大量に調達したものの、今や旧式化したレシプロ軍用機を、他の国々に売却するなり、廃棄せざるを得なくなった。

 とはいえ、軍用機の売り込みを図るにしても、買い取り先の国にも事情がある。

 米英日の各国政府は、買い取り先の国の事情に合わせたレシプロ軍用機を売却していくことになった。


 そうした中、日本の軍用機の中で、もっとも売れたのは、「雷電」だった。

 アジアでは、韓国や台湾、満州から中国を事実上統一した蒋介石率いる、いわゆる中国新政府、タイ等が、「雷電」を採用した。

 また、欧州方面では、トルコやスペイン、フィンランド等々が、「雷電」を採用している。

 それから、米国の裏庭ともいえる中南米諸国の空軍でも、米国から、ある程度は距離をおきたいという政治的な思惑から、幾つかの空軍が、「雷電」を採用している。

 例えば、アルゼンチンやペルー、そして、この後に主に語られるホンジュラス等々である。

 これは、「雷電」の特性にも一因がある。


 第二次世界大戦直後のこの時期、日本製の軍用機の購入を検討した場合、「零戦」以前の戦闘(爆撃)機は、既に完全に旧式化したといってもよい存在だった。

 そして、「零戦」より後に開発された日本製の戦闘(爆撃)機で、第二次世界大戦の戦場で実績を上げた存在の単発機となると、3種類が挙げられた。

「雷電」、それに陸上戦闘機の「疾風」、艦上戦闘機の「烈風」である。

 だが、「疾風」や「烈風」には、中小国で採用する場合、微妙な欠点が付きまとった。


 まず、「烈風」だが、艦上戦闘機として見る限り、米国のF8Fと並び称されるレシプロ戦闘機史上、究極の艦上戦闘機と言えたが、いかんせん、艦上戦闘機である。

 我が国の空軍に、わざわざ艦上戦闘機を採用する必要があるのか、という疑問が相手国からは、どうしても出ることになった。


「疾風」は、その点では、「烈風」より有利だったが、爆弾搭載量が無理をしても500キロというのが、「雷電」より見劣りする点として指摘された(更に、主翼下にロケット弾等を搭載する場合、別途、改造して搭載する必要があった。)。

 日本の場合、制空戦闘機と戦闘爆撃機を別途、調達する余裕があったが、中小国としては1種類で統一したかった。


 そうした点からみると、「雷電」は1種類で統一するならば、正に最適の単発戦闘(爆撃)機といえた。

 制空戦闘機としての能力は、「疾風」より見劣りするが、ともかく頑丈で落とされにくく、戦闘機としての実力は、そう見劣りしないのが実証された存在だからである。

 かくして「雷電」は、各国で採用された。

 これで、前半部分は終わりです。

 次から、第3章、後半部分で、ホンジュラスの話に、いよいよ入ります。

 なお、この世界のホンジュラスですので、史実と虚構が入り混じりますが、ご宥恕ください。

(満鉄が日米共同経営になった影響が、中南米にも及んだバタフライ効果と御理解ください。)


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