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第2章ー1 第二次世界大戦における評価

 第2章になります。

 第二次世界大戦中の「雷電」については、敵味方双方から、様々な評価がなされている。

 もっとも味方となる筈の日本空軍の搭乗員の一部からは、酷評されている現状がある。


 日本空軍のトップエースの1人、坂井三郎、

「雷電を操縦して出撃するくらいなら、旧式化した零戦で自分は出撃する方が遥かにマシ」

 西沢広義、

「雷電ね。自分だったら、疾風どころか、零戦に乗った方が生き残れるから、乗りたくないね」

 等々、第二次世界大戦初期の頃からの(主に下士官出身の)戦闘機搭乗員からは、いい評判が無い、と言っても過言ではない有様である。


 これは、「雷電」乗りの場合、地上攻撃任務も必然的にこなすことを要求されるので、(純粋な?)戦闘機乗り程、「雷電」に乗ることを嫌がったのも一因である。


 だが、日本空軍の搭乗員でも、第二次世界大戦の後期、更に士官搭乗員になる程、「雷電」には惚れ込んでいき、「雷電」最高主義者が増えるようになる。


「雷電」での士官搭乗員として、「雷電」での士官撃墜王三羽烏の一人とされる鴛淵孝、

「自分は、「雷電」に乗っている限り、撃墜されることは無い、と信じていたし、実際にそうだった」

 同じく三羽烏の一人、林喜重、

「自分にとって、「疾風」よりも、「雷電」の方が、圧倒的に優秀な戦闘機だった」

 とそれぞれ語っている。


 これは、「雷電」の空戦法が、他の日本空軍の戦闘機、96式戦闘機から「零戦」を経て、「疾風」に至る空戦法の系譜からは外れた空戦法を執っていたことが大きい、と思われる。

 実際、後にサッカー戦争で、大戦果を挙げるホンジュラス空軍を直接指導した菅野直(この人も士官撃墜王三羽烏の一人である。)は、サッカー戦争後の複数のインタビューに対する回答の中で、

「正直に言って、「雷電」は癖のある戦闘機なんです。その癖を存分に活用できるか否か、それにより、無敵にもなるし、ダメにもなる。そういった戦闘機なんです」

 と語っている。


 では、「雷電」が得意とした空戦法は、何だったのか。


 それは、基本的には、できる限り、急上昇して、急降下する一撃離脱に徹した空戦法だった。

 実際、「雷電」に搭載された大馬力エンジンは、その機動を活用するのに最適だった。

 また、「雷電」が、その任務上、爆撃機の護衛任務にほとんど使われなかった(日本空軍の場合、爆撃機の護衛任務は、「零戦」から「疾風」に至る戦闘機が引き受ける任務だった。その護衛任務に当たるのにふさわしい航続距離を、「零戦」や「疾風」も持っていたからである。)ことも、この空戦法を有効に活用できた原因だった。


「零戦」や「疾風」と言えども、後期型になる程、一撃離脱が得意になり、格闘戦を避ける傾向にはなってはいったが、「雷電」程、極端では無かった。

「雷電」と言えど、自動空戦フラップを積む等、格闘戦ができない事は無く、Bf109等の独ソの戦闘機を格闘戦の果てに撃墜した戦例が複数、遺ってはいる。


 だが、やはり、「雷電」にとって、格闘戦は苦手で、菅野に言わせれば、

「縦機動、上昇と下降の組み合わせを余程、巧みに使わないと、「雷電」では敵の戦闘機と格闘戦に入ったら、勝ち目が無かったですね。ともかく、格闘戦になりそうになったら、私は急上昇するなり、急降下するなりして、それを避けることに徹することにしていました。第二次世界大戦当時、「雷電」に慣れた搭乗員程、そうしていました」

 と言うのが実態だった。


 そして、96式戦闘機からの戦闘機に乗り慣れた日本空軍のベテランの搭乗員程、こういった「雷電」の空戦法に馴染めなかったのが、「雷電」に対する不評の最大の要因だったろう。

 彼らにとって格闘戦こそ戦闘機の本懐だった。

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