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第4章ー2

 俗に「サッカー戦争」と、1969年に起きたホンジュラスとエルサルバドルとの間の戦争は、呼称されることが多い。

 その理由は、直接の開戦のきっかけが、1970年のワールドカップ出場をかけた両国間のサッカーの試合の勝敗にあるからだが、そんなものは単なる口実に過ぎない。

 それ以前から、両国の間には、緊張が高まっていたのである。


 まず、第一に、ホンジュラスとエルサルバドルの人口密度格差からくる不法移民問題である。

 エルサルバドルの方が僅かに人口が多いのに、面積ではホンジュラスの2割以下の面積しかない。

 そして、両国ともに農産物を基本とするモノカルチャー経済が、両国の基本的な経済構造になっていた。

(ちなみに、エルサルバドルはコーヒー、ホンジュラスはバナナ)

 そのために、エルサルバドルからホンジュラスへの不法移民は従前から絶えることがなく、ホンジュラスもある程度は、自国の国内開発のために、それを黙認してきたところがあった。

 だが、ホンジュラス国内の開発が進み、人口が増大してくると、エルサルバドルからの不法移民に対し、ホンジュラス国内では強硬意見が台頭し始め、1969年初めには、エルサルバドル国内への不法移民の半強制帰国が、ホンジュラス政府によって実施されるようになっていた。


 第二に、1960年に結成された中米共同市場結成に伴うホンジュラスの経済発展である。

 相対的にだが、エルサルバドルの方が人口密度から、ホンジュラスよりも工業化が進み、ホンジュラスを自国製品の市場と、中米共同市場結成以前は、エルサルバドルはホンジュラスを見なしていた。

 だが、中米共同市場が結成され、安い労賃を魅力として、主に日本が投資したことから、ホンジュラスの工業化が進むにつれ、エルサルバドルの製品が、ホンジュラス国内で売れなくなり、エルサルバドル国内の失業者が増大するという事態が起こっていた。


 第三に、国境線画定問題である。

 両国の国境は、基本的に河川が基準であったが、雨季と乾季で流路が変わる河川が多く、そのために、長年に亘って、両国間で国境線が未確定の部分が多く、既に何度も小競り合いを起こしていた。


 こういった長年に亘る両国の確執が、ホンジュラス代表とエルサルバドル代表が直接対決したワールドカップの予選をきっかけに、とうとう戦争にまで至ったのが、「サッカー戦争」であった。


 1969年6月8日、同月15日、同月27日と3試合が行われたサッカーの結果だが、最終的にはエルサルバドル代表の2勝1敗という結果に終わり、エルサルバドル代表が勝利した。

 だが、この期間中に、ホンジュラス国内において、興奮したホンジュラス国民に、エルサルバドルからの不法移民が多数、襲撃されるという事態が発生、エルサルバドルへ1万人以上が着の身着のままの状態で帰国するという事態が起こった。


 これを受けて、6月23日、エルサルバドル政府は、国民の声を背景に、予備役軍人を招集した。

 更に同月26日には、ホンジュラスとの国交断絶を発表した。

 それに対抗するように、ホンジュラス政府も、同月27日にエルサルバドルとの国交断絶、予備役軍人の招集を発表した。


 しかし、この時、ホンジュラス政府は、少し緩んでいた。

 6月28日に、米国政府が、直ちに両国間の国交断絶を懸念し、仲介に入ることを発表したからである。

 このために睨み合いで終わるだろう、という希望的観測が、ホンジュラス政府内では強かった。

 だが、エルサルバドル国内の憤激は、高まりきっていた。

 7月14日、エルサルバドルは、動員を完結した陸軍をホンジュラスに侵攻させ、空軍は全力で空爆を開始した。

「サッカー戦争」の開戦だった。 

 活動報告に詳細を書きますが、あくまでも、この世界における「サッカー戦争」です。

 史実の「サッカー戦争」とは、名前は同じでも、内容等はかけ離れた展開になります。

「サムライー日本海兵隊史」の本編(第6部)における「満州事変」と同様ですので、その点はご了承くださるように、平にお願いします。


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