第6話 ありきたりな本日の出来事
…よし、神名使うか。ある意味こっちが本名と言えなくも無いから、これでいこう。
【ゼタ】っと…厨二っぽいが、別にオレが自分でつけた訳でも無いので問題無い。てかこれ蔑称だし。
ランクは…Bで…。
いやだって、Fから上げるの面倒くさいし…"良い"って言われてるから多少の横着くらいなら"良い"よね。
因みに、この世界のギルドのランクは、F〜SSとなっていて、Aまで行くと一流冒険者、Sは英雄、SSは生ける伝説みたいな扱いになる。
魔物も同じように分類されているが、SSの上に不可能級が存在する。これは、7体の魔王と6体の龍王のみ。たまーに、SS級の魔物が進化して昇格する事もあるようだが、あんまり無い。
この〈ランク〉というものは、あくまでパーティーで同格になるという意味なので、A級ならA級を単騎討伐出来ると言う意味ではない。A級を5人くらい集めて、やっと魔物のA級と同格になる。
単独なら、一つ下のランクと同格といったところだろうか。
冒険者登録も終わったので、この何も無い場所から去ろうと思う。
でもその前に、ちょっと服を変えよう。何気にずっと制服だったし。
オレのイメージカラーは灰色なので、灰色のズボン、灰色のシャツ、灰色の手袋、灰色のブーツを履いて、その上からこれまた灰色のロングコートを着て、ついでに髪も根元から先端にかけて黒から白のグラデーションをかける。因みに灰色と言っても、使い古したぼろ雑巾のような、黒と白が混ざったような混ざりきってないような、微妙にマーブルがかった汚ねぇ灰色である。…これがイメージカラーというのはなんとも言えない気分だ。
…あとはせっかくだし仮面も考えたが、俺にそこまでの勇気は無かった。
得物が無いのも不自然なので、黒と白の模様を入れた魔剣的な何かを作り出す。これは、鞘から抜くと、黒いオーラが出るようになっているが、やっぱりそれに意味は無い。ただの目くらましにしかならない。というか、なんだったらこの剣を抜く機会が多分無い。
キャラメイキングのノリで、外見を変える。へんしーん。
自分の外見を魔法で俯瞰しながら、満ち溢れる厨二感にニヤニヤする。身長は変え忘れたが、それはまあいい。
変装(?)もできた事だし、隣の国にでも行こうかな。
そう決めたので魔法で空を飛ぶ。ふわりと浮き上がった俺を見て、ゴードルが声を上げる。
「あ!おい!おまえぇ!!」
「それでは、俺はこれで。機会があれば、また会いましょう!」
呼び止めるのを無視して飛び去る。転移してもいいんだが、旅の趣きってヤツだね。
…平らな大地を音速飛行するののどこに趣きがあるのかとも思うが、細かい事は気にしない。
ふと、今日のことを思い返していると、衝撃の事実に気づいた。
召喚される
↓
ギルドで絡まれる
↓
おっさんをシバく
↓
ギルマスに呼び出される
↓
チート使う
↓
ドヤッ
↓
FをとばしてB級冒険者に成りました。
……テンプレじゃねーか!!!!
…
……
………ショックだ。
テンプレクラッシュ成功したと思ってたのに、テンプレ手強過ぎるだろ。やはりノリと勢いだけで超えられる相手ではなかったか。
つぎに現れたテンプレは、絶対粉砕してやる!
と、決意を新たにして、俺は隣国〈セントタキア王国〉に向かうのだった。
ありがとうございました。