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第4話 ありきたりなチート勇者な俺

ブックマークありがとうございます。

 そろそろギルド内も落ち着いてきたようなので、受付の人に声を掛ける。


「すみませーん。登録お願いできますか?」


「あっはい、冒険者登録ですね」


 そう言うと、先ほど使っていた機械だか魔道具だかを持って来た。


「まずはこちらに触れて下さい。これは、触れた者に〈鑑定〉スキルの効果を及ぼすものでして、本名をこちらのデータベースで照合して、犯罪歴などの確認をさせていただきます」


 確かに指名手配犯を冒険者にするわけにはいけないしね、案外ちゃんとしてるんだなぁ、と思いながら手を触れようとして、面白いことを思い付いた。


神野(じんの) まこと】LV1 人族ヒューマン

HP 600

MP 600

攻撃力 600

防御力 600

精神力 600

魔法抵抗 600

俊敏 600


〈スキル〉

矛盾の売人(Yes or Yes)・ステータス閲覧・異世界言語翻訳・成長補正(極大)・氷結魔法LV10・極光魔法LV5・聖魔法LV5

〈称号〉

勇者・異世界人



 うーむ、流石勇者。ユニークスキルに強力な魔法、レベルに似合わないステータスに成長補正。チートだな。

 このステータスは、氷結魔法を足した以外はいじっていない。召喚された瞬間からこのスペックだ。今更の話だが、オレの要素はステータスには表示されない。所謂いわゆる不具合バクみたいなものである。因みに、氷結魔法を足した理由は…


「ゆ、勇者ぁぁ!?それに、氷結魔法⁈」


「「なんだと!!」ォォ⁈」


 さっきから犯人が分からず、うんうん唸っていた二人がやって来た。


「キミは…勇者だったのか?それに、氷結魔法?…そういえば、先ほどガイルと何か話していたな?一体どういうことだ?」


「いや、そんないっぺんに聞かれても答えられませんよ」


 詰め寄って来た二人に答える。


「ていうか、先に登録してはくれませんかね?」


 一応、聞くだけ聞いてみた。


「…いや、先ほどの事件の犯人の可能性が有るなら、登録を許す事は出来ん。すまんが付いて来てくれるか?……逃げようなどと考えないでくれよ、これでもS級冒険者(スカーレット)の師匠だったんだ。いくら勇者とはいえ、今のキミには遅れはとらんぞ…」


 可能性とか言いつつ、半ば断定した様な感じで軽く脅しをかけてくる。犯人不明で終わる訳にはいかんだろうし、せっかく犯人を提供してあげたんだから感謝してくれてもいいのになぁ。

 てか、この人普通の音量でも話せるんだな。うるさくなくていいな。


「あぁ、殺ったのは俺ですよ。それにここから逃げるのなんて簡単なんで、さっさと登録してくれませんかね?」


 いきなりの暴露にこの物言いである。啞然としている二人。正にあいた口が塞がらない、という感じだ。


「な…なん…」


「あー、そういえば彼は罪人だったんで裁いただけですし、全く問題無いですよ?」


 一体何が問題無いのか。

 自分で言っててもひどい理屈だと思うが、実際俺的には問題無いので、このまま押し通すことにする。大事なのは勢いである。


「…何故、彼が罪人だと思ったんだ?それに、例え罪人だったとしても、衛兵に言うなりギルドに通報するなり、方法はあった筈だが?いくら罪人とはいえ、一個人が独断で人を裁く権利などは、ありはしないぞ」


 ゆっくりと筋肉ゴードルが話しかけてくる。幼い子供に教える様に、諭すように。

 切り替えが早くていいね。そういうやつは嫌いじゃないぞ。

 彼が言っていることは、とてもまともだ。一般的には正しいんだろうが、オレにとっては間違いだ。

 ……いや、間違いというより、ズレているのだ。オレにとっては、人も、法も、国も、世界も、全て、総て、統べて、すべからくオレより下だ。オレの道を阻む権利も力もない。


まぁ、ここはテキトーに誤魔化そう。


「あーあれですよ。勇者の特殊スキル的な何かで分かるんですよ。それに、こちらに来る時に神様から、裁く権利的な何かも貰ったんで大丈夫ですよ」


 真っ赤な嘘である。的な何かってなんだと思わなくもないが、この言葉を否定出来る人はここにはいない。

 だがまぁ、面倒くさくて誤魔化しが適当になっていることは認める。


「いや、だが…しかし…」


 悩んでるねぇ。この世界では、神様は結構絶対的なものだ。本当にいることが確定しているし、わりと御告げだなんだで人間に関わっている。

『神様が』と言われては、下手に否定も出来ないだろう。それにあながち嘘でもない。だって許可したのオレだし。


「…そうですね、なら、オレの力をお見せしましょうか」


 心から信じて貰うべく、ちょっとだけ力を使うことにした。


 …まぁ、若干脅されたっていう事への仕返しという意味の方が大きいのではと言われれば、否定はできないが。

ありがとうございました。

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