ありきたりなプロローグ①
初投稿です。
俺はゆっくりと目を開ける。
ぼーっとする頭を揺りながら体を起こす。
そして、周りを見回すと、見知らぬ景色に、これまた見知らぬ人々が大勢いた。
「ぉうぇ?」
うわなんか変な声でた。
キョロキョロしながら状況把握に努めていると、ひときわ目立つ煌びやかなドレスに身を包んだ美女が、一歩前へ進みでると、こう告げた。
「勇者様!この世界をお救いください!」
そして俺は…
「テンプレか!」
…ツッコミを入れた。
◆◇◆
(さて、これは一体どういう状況だ?)
周りで『成功だ!』とか騒いでる魔法使いっぽいおっさん達は放置しながら考える。
よく見たら騎士っぽい人達も混ざってるな。
それぞれ10人づつの集団で、魔法使い達は、俺の乗っている台座的な何かの周りを囲んでおり、騎士達は、さっきの美女(多分、王女様か何かだと思う)の左右に5人づつ控えている。
俯きながら考えていた俺を心配したのか、王女様(仮)が顔を覗き込み声をかけてきた。
「勇者様、どうされましたか?」
顔が近い。しかもそれが美人なんだからちょっと照れちゃうね。俺も健全な男子高校生だし。
「あぁ、いえ大丈夫ですよ」
若干どもりながら答える。
「ていうか、状況を説明して貰ってもいいですかね?」
すると、王女様(仮)は笑顔で答える。
「ええ、それはもちろん。勇者様は記憶を失い、さぞ混乱しておられるでしょうから、この私フェアウスト王国の第二王女、アリーディアが説明いたしましょう」
(…え?)
王女様の言葉が衝撃的過ぎて、説明がさっぱり頭に入ってこない。
(いま、『記憶を失い』って言ったよな?)
確かにさっき王女様はそう言った。それに今も、俺が記憶を失っている前提で話している。だがそれはおかしい。だって俺はしっかり記憶があるのだから。
俺は高校2年生の神野 真。今日は、部活を終えてから家に帰り、意味不明な数式が並ぶ数学の宿題を早々に放り捨てて、ベッドの上でマンガやらラノベやらを読んだり、パ○ドラやったりしてたはずだ。あーそういや石結構貯めてたのになー。ガチャっとけばよかったなー…。
うん、やっぱり覚えてる。そんでそのまま寝ちゃって、目が覚めたらここにいたと。
(ん?)
今日の事を思い出しながら、頭の中を探っていると、なんだか妙な感覚を覚えた。頭の中に、何か別のものがあるような感覚。
(なんだ?これ)
俺はその頭の中の『何か』に手を伸ばす。まぁ、手を伸ばす、といっても感覚的なモノなんだけどね。そして、その『何か』に触れた瞬間————
─────『俺』の意識は消失した。
ありがとうございました。