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天令戦上のエクストラ  作者: 不知火 山都
第一章 終焉を告げる者
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2話 エクス召還!


     2話 エクス召還!

「おおっ、都市伝説になっていた屋敷ってこの建物で間違えないんだよな?」


 一応、月の光で照らされていたが、はっきりとした大きさは分からない。大体、四階建てくらいの屋敷だろうか?


その建物の存在に興奮を隠しきれない俺は急いで扉がある所まで走った。森の中に一軒だけ建物があると不思議な感覚を覚えそうだった。


だが不自然に一軒だけ建てられているからこそ聖書がありそうな雰囲気を感じたのかもしれない。

建物に近づいた俺は屋敷の扉に手の平を当てながら押すもののかなり頑丈に作られている扉らしく中々開けることが出来なかった。


「はぁ・・・・・・漸くここまで辿り着いたのに何で開かないんだよ」


怒り任せに片足で扉を蹴ったが足の裏に激痛が走るだけで屋敷の扉はびくともしなかった。


「此処まで来たのに何もせず帰るのも面白くないし別の方法を考えるか」


 俺は屋敷周辺を回り歩きながら考えていると妹の姿が屋敷の中にあった。


「どこに言ったのかと思ったら、エレナは屋敷の中に居たのか」


見つけやすい場所にいてくれて気が楽になった。


早く妹に接触を図ろうと、地面に落ちていた石を片手で掴める分だけ掴み、一階部分の窓ガラスにそれを投げつけた。


耳に響くほどの音をたてながら窓ガラスは砕け散る。


壊した窓ガラスから侵入すると、破片で怪我をする可能性があるため、窓ガラスの内鍵を解除してから屋敷内部に進入した。


蛍光灯が壊れている屋敷の中は月の光で照らされ森の中よりも少しは周囲を見渡しやすかった。


屋敷の中で突然何が起こるか分からない、念のため懐中電灯で身の回りを照らす。


光で照らされた屋敷内は廃校になった木造式学校のような感じに思える。


何百年も前に建てられた屋敷の床は歩くたびにギシギシと壊れそうな音を響かせていた。


勢い良く走ってしまったらいとも簡単に床が抜けてしまいそうだ。


懐中電灯で遠くの方まで照らすとエレナが横に曲がって行くのが見えた。


「エレナ・・・・・・やけに歩くの早いな」


ラウルが外に居るときエレナは先ほど壊した窓ガラスから大体五メートルのところを歩いていたのだが。

彼女は既に五十メートル先の場所まで移動していたのだ。


俺は彼女を追いかけるように足元を、懐中電灯で照らしながら道なりに真っ直ぐと歩いていく。


すると、正面の壁に天空を舞う二体の龍の絵が飾られていた。


壁に飾られている二体の龍は何かと戦っている感じにも見える。懐中電灯の光を絵に当てた。


よく見ると一部の絵だけが黒く塗り潰されおり誰と戦っているのか良く分からない。


しかし、描かれた龍は必死で何かを助けようとしている。そんな雰囲気を感じさせる絵だった。


「あっ・・・・・・何で俺はこんな絵を見て足を止めてんだ?絵を見るより、さっさとエレナを探しに行かないと」


ボーッとしていた気分を解消させるため手の平で頬を叩いた後、近くに見えた階段を上り二階へと進んだ。


二階は全体が部屋になっており一〇〇〇人くらい人が集まってもパーティが出来そうなくらい広い空間。


懐中電灯で照らしながら辺りを見渡すと数メートル先の床に書籍のようなものが落ちていた。


世界の終焉を予言した聖書かもしれないと思い、駆け足でそれが落ちている場所へと近づいて行く。


実際その場所に落ちていた物は聖書ではなくただの古びた本だった。


捜し求めていた物と全くの別物で一気に身体から力が抜け落ちた。


「はぁ・・・・・・所詮噂は噂か、どうせ未来を予言する聖書なんて存在する訳ないよな。あっ、それより妹は・・・・・・」


妹が横に曲がるところ遠くから見た。エレナが曲がった方向には二階へと上る階段しか存在しなかった。


しかも三階へ上る階段は木製で出来ており腐っていた。結果、上に行くことが出来ない。


だとすると確実にこの二階にいるはず。と思ったその直後・・・・・・。


「たす・・・・・・た、助けて・・・・・・」


耳を澄ますと、かすかにエレナの声が聞えてきた。しかし、妙に弱弱しく、苦しんでいるようにも思える声だった。


不安になった俺は声がする方へ近づいていくと予想だにしない光景が瞳に映りこんでくる。


何とそこには黒い霧に身体を包み込まれたエレナが苦しそうに佇んでいたのだ。


しかも、その隣には黒いローブを身につけた正体不明の男性の姿があった。


「誰だ、お前!俺の妹に何してんだよ!」


男性は黒いローブで顔が隠れておりはっきりとした表情が見えない。が、俺の肌を凍らせるような怖い雰囲気を漂わせていた。


「この女を助けたければこの俺と戦え・・・・・・腰につけているデッキケースを見る限り貴様、レジェンダリストだろ?」


レジェンダリスト。それは四十枚以上のカードで構築したデッキを所有している者をそう呼んでいる。


元々この世界で行われていた戦いはカードでの対戦ではなく、様々な異能を駆使して戦う戦争のようなものだったらしい。


しかし、突如として現れた魔物によってその戦争は一時休戦になってしまったのだ。


迫り来る魔物との戦いは人間同士の争いとは比較にならず太刀打ちできない状態。


その時、空が光出し二体の龍を従えた天使達が天空に姿を現した。天使達は戦争を行っていた者、世界を侵略しようとしていた魔物、全ての肉体をカードに封じ込め戦争を終焉に向かわせたらしい。


それから何百年か後に、天使によって封印されたカードを人間達が見つけ出した。天使達が残した聖書には戦争の無意味さが記されており。


今、この世界で生きている人間が他人と争う場合、レジェンダリーレコードTCGで対戦しなければ恐ろしいことになるとの事。


多分、聖書さえ見つかればそこらへんの詳しい事情が分かるはずだ。もし聖書があればの話だが・・・・・・。


「貴様、俺様と戦う意志があるならばあの言葉を宣言せよ!」


今居る空間が非常に暗く彼の口から発せられる言葉が悪魔の囀りのように聞えてくる。


どんなに恐怖心が襲い掛かってきたとしても俺の可愛いエレナを置き去りにして帰るわけにはいかない。


黒いローブに包み込まれた人物に問われ俺は潔くあの言葉を告げる。


「Taking the field」


その言葉こそがバトル開始の合図であり戦場に身を委ねる戦士の決意表明でもある。


対戦開始の決意表明で床から黒色に染まったテーブルが互いの前に出現。


俺は腰につけていたデッキケースからデッキを取り出し黒いテーブルの上に置く。しかし、デッキを机の上に置くだけではゲームを開始できない。


デッキの上から五枚をマテリアゾーンと呼ばれる場所に裏側状態で置き、更にデッキからゲームを進行する為の手札として扱う五枚のカードをドロー。


戦う両者はアニマゲージと呼ばれる生命の数値五〇〇〇を得て此処から本格的にレジェンダリーコードTCGのゲームがスタートになる。


「くっ、くく・・・・・・先攻は貴様に譲ってやる」

「ならば俺から行かせて貰うぜ!俺のターンドロー」


ドローフェイズはデッキからカードを一枚ドローできるフェイズ。順番的に次はライクロスフェイズだが自分の戦場にエクスと呼ばれるカードが無いためこのフェイズは自動的にスキップされる。


因みにエクスとは戦場で敵軍と戦うカードのこと。次、行う行動はレユニオンフェイズ。レユニオンフェイズはエクスカードを召還及びあらゆるカード効果の使用ができる。


「俺は手札に存在するロードオブブレモアを召還!」


《【ロードオブブレモア】【フェイバルス:一四〇〇】【召還条件:マテリアゾーンのカードが四枚以上ある場合召還できる】》


エクスカードを黒いテーブルの上に置くと俺の目の前に鎧を身に着け右手に剣を所持している戦士が召還される。


見た目的はRPGに登場しそうな感じの低級戦士だ。エクスカードにはそれぞれ異なる召還条件がありその条件を満たさなければ召還できない。


そしてフェイバルスはカードが縦表示状態時のパワー値を示している。


レユニオンフェイズの次はウォーフェイズと言って自軍と敵軍のエクスが戦うタイミング。


しかし、先攻のターンではルール上そのフェイズを行うことができず今はエンドフェイズを宣言するしかない。


「俺はロードオブブレモアを召還してターンエンドだ!」


次は黒いローブを身に着けた男性のターンに移る。目の前に佇んでいる意味不明なローブ野郎をぶっ潰して俺の妹、エレナを救出しなければならない。



     3話に続く・・・・・・。

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