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天令戦上のエクストラ  作者: 不知火 山都
第一章 終焉を告げる者
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1話 真夜中の迷い人 

久々の投稿になります。不知火 山都DITH !


自分の作品はノクターンでも投稿していたものです。

良かったらそちらのほうも閲覧していただけると嬉しいです。

もしかしたら、ノクターンで途中になった作品の続編を書くかもしれないし、書かないかもしれないです。


これからもよろしくお願いしますっ!!

真夜中の森の中。二人の兄妹は、腰よりも少し長い草むらを両手で掻き分け進んでいる。彼らは森の奥地に一軒だけ建てられている。屋敷を目指して歩いていた。


「いつまで経っても目的地の屋敷が見えないじゃない!アンタ、本当にこっちの道であっているの?」

妹の問いかけに俺は背後を振り返る。


「ああ、地図を見る限りこの道で間違えないさっ、妹よ、兄の言うことが信じれないのか?」


森の中に入ってから約一時間。俺らは休むことなく歩き続けたが、未だに屋敷らしい建物を見つけることが出来ずにいた。背後をついて来ているエレナは、疑うような視線で俺の方を見ていた。


「こんなに歩いても先が見ないんだもん。アンタの言うことなんて信じられないわ。アンタが持っている地図を貸しなさい!」

「おい、おい、少しは兄の事を信用してくれたって良いじゃないか!」

「貸してって!」


 俺が手に持っていた一枚の地図を強引に引っ張ろうと、エレナは腕に力を入れる。すると目的地まで書かれた一枚の紙が引き千切れてしまった。


「ああ、如何すんのよ。此れじゃ何が書かれているか分かんないじゃない!」


 エレナは鋭い目で睨みつけてくる。妹は不機嫌な態度を見せていた。


「気晴らしに俺の事をお兄ちゃんって、可愛らしい声で喋ってくれない?もしかしたら気分転換になるかも知んないしさ」

「げほっ、げほっ・・・・・・そんな気色悪いこと出来るわけ無いじゃん。そんなを事して気分が晴れる訳ないでしょ。アンタ、バカじゃないの。アンタは私の奴隷なのよ!アンタは私の指示に従っていればこんな事にならなかったのに・・・・・・。次からは私の意見を素直に受け入れる事、分かった?返事は」

「はい」

「はい、じゃないでしょ!」


エレナが求めているような発言をしなかったため俺は足蹴りされてしまう。妹の足蹴りはスピードが速く普通の人であれば足の骨を折ってしまう可能性がある程。


「ありがとうございます!」

何故、妹のエレナに足蹴りをされたのにお礼を告げたのか。察しがついた方は分かったかもしれないが、俺は真正のドMなのだ。


簡単に説明すると妹のエレナ=フルシャンテがドS、そして兄である俺、ラウル=フルシャンテがドMと言うわけだ。


元々、気が弱かった妹を改善させるために苛めていたら、次第に好戦的な性格になり。気がついたらこんな兄妹関係になっていた。


「蹴られてお礼言うなんて、マジでキモッ、こんなのが兄だ何て信じらんない!大金持ちになったら絶対に絶縁して良い所のお嫁に行くんだからね」

「ちょっと待てよ。エレナが嫁に行ったら俺は誰から調教されれば良いんだよ!」


可愛い妹が居なくなってしまう事を考えると急に寂しい気持ちになり俺は後ろにいるエレナに抱きつこうとした。


「ちょっ、きもっ・・・・・・いやっこっちに来ないで」

「何が嫌なんだよ、素晴らしい兄妹間の触れないじゃないか」


両手を広げながら近づいていくと妹はゴキブリを見るような目で俺を見ながら避けた。俺の容姿は至って普通だ、やはりドMな性格が一番ネックになっている部分なのだろうか?


「全く、アンタと一緒にいたら身の危険を感じちゃうわ。いつも言ってるけど、アンタは私の奴隷なんだから返事は全て馬語。分かった」

「ヒヒーン!」

「アンタは私の馬なんだから、私から三メートル離れて懐中電灯で周りを照らしなさい」

「妹よ、例え俺が馬だったとしても、もう少し近づいても良くないか?」

「奴隷が口答えしない!さっさと歩く、返事は馬語!」


妹と触れ合えない事に不満を隠せずエレナに近づいていく。するとエレナは背中に背負っていたリュックサックから鞭を取り出し俺の身体をビシビシと叩く。


「キモっ、ドMは近づいてくんな!」

「ありがとうございます!真剣にエレナ様から三メートル離れて馬役をやらせて頂きます。ヒヒーンッ」

「きしょいけど・・・・・・まあ、真剣にやってくれるなら文句はないわ」


 懐中電灯で周辺を照らしながら、再び目的地である屋敷へと進んで行く。因み俺達が目指している場所には、この世界の終焉が予言された聖書が眠っているらしい。


だが聖書の存在はあくまで、街中で通りすがりに聞いた単なる都市伝説みたいなものだ。だから本当に聖書が隠されている屋敷があるかは不明であった。


「ねぇ、馬!目的地まではまだぁ?早く屋敷に辿り着きたいんだけど」


 いつまで経っても目につくのは草や木ばかりで、前へ進んでいるような気分になれずエレナは退屈している様子。


「ねぇ、馬!さっきよりも歩くのが遅くなっている、もたもたしてないでさっさと歩け!」


エレナは片手で握っている鞭で俺の背中を何度もビシバシと叩き続ける。


「ヒヒーンッ」


 可愛い妹のエレナに叩かれ俺は再び気合を入れ直す。懐中電灯の光があるものの辺り一体が暗い闇に包まれている。こんな薄暗い森の中、鞭で叩かれているとドMの俺は何かが疼きそうになった。


「そう言えばエレナに言い忘れていた事があったよ」

「はぁ?馬の分際でこの私に隠し事なんて許さないんだからね!さっさと教えなさいよ」

「遥か昔、王宮に仕えていた戦士の隠れ家がこの森の中にあったらしいんだ。もしかするとその場所こそ俺達が目指している場所だったりしてな」

「違うでしょ?」

「違う?なんでそう断言できるさ」

「俺達じゃなくて、女の子一人と馬一頭でしょ。アンタは表現の仕方が間違っているのよ」


間違った表現をしてしまった事で再び鞭で叩かれる。先ほどから身体に程よい痛みを与えてくる鞭は俺の気分を最大限まで高まらせてくれたが。気分が高まりすぎた俺は涎を垂らしながらその場に倒れ込んでしまった。


「はぁー、もう倒れたのかよ。使えない馬ね。アンタが動けないなら私一人で先に行くから。アンタの手は触りたくないけど懐中電灯くらいは借りていくわ」


エレナは指先を使い、俺が握っていた懐中電灯を取り上げる。


「屋敷の場所知っているのアンタだけなのに・・・・・・さっきから馬はこっちへ向かって歩いていたしこのまま真っ直ぐ進めば問題無さそうね」


頭の中で勝手に思い込むと兄であるラウルを置き去りにしてその場から姿を消した。


「う・・・・・・ぅっん、俺は何でこんな場所で寝ているんだ?」


 妹が姿を消してから数分後。腰の高さまである草むらに埋もれながら倒れていた俺は、漸く目を覚ましその場に立ち上がった。


「あれ、エレナ?」

 懐中電灯の明かりが無く辺りが真っ暗闇。何も見えず不安な気持ちに陥りそうだが、ドMな俺にとっては興奮してしまうシチュネーションだった。


でも今は暗闇で興奮している場合じゃない、大切な妹を探すほうが先だ。


「おおーい、エレナッ!おおーい、居るなら返事しろよ」

 大声で叫ぶが妹の返事が返ってくることは無かった。そのとき、野生の動物に襲われている可能性があるかもしれないと、そんな考えが脳裏に思い浮かぶ。


俺は手探りで肩にかけていたショルダーバッグのチャックを開けると、念のために入れていた懐中電灯を取り出した。


「暗いと興奮する気持ちが掻き立てられるけど、エレナを探すためには一応懐中電灯は必要だよな」


 準備が整った俺は、辺りを照らしながら必死に草を掻き分け歩くこと数分。


漸く草むらから抜け出すことができ、安心しながら正面に明かりを向けると。目の前には噂で聞いていた屋敷がどっしりと身構えていたのだ。



   不知火 山都です!


 2話は数時間後に投稿致します!

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