三題噺
お題→保健室、告白、そよ風
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キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴ったのと同時に教室を飛び出し、あの人が待つあの場所へ行く。
ガラガラッ!勢い良く扉を開けて辺りを見回してみると、あの人はいた。
「あれ?また来たの?今度はどーしたの?」
そんな質問に俺は息を切らしながら答える。
「また、練習に付き合ってもらえませんか?」
俺は最近この場所、保健室によく入り浸っている。
理由は単純だ。保健室の先生に恋したから。
転勤してきた保健室の先生は、一見大人しそうに見えるのだが、中々茶目っ気があり可愛くて一目惚れした。
「また~?(笑)もう、今日はこれで最後よ?」
そう言いつつも、俺が来たらちゃんと相手をしてくれる。
「ありがと!先生。」
練習と言うのは他でもない。告白の練習だ。
何故こんなことをしているのかというと、俺は告白なんてしたことなくて緊張して思わず『告白の練習に付き合ってくれませんか?』と聞いてしまったのだ。
以来、先生(好きな人)を目の前に練習しているというわけだ。
「好きです、付き合ってください!」
「お?今回はストレートに言ったね(笑)女の子は案外ストレートな告白はぐっとくるから、好印象だよ!(笑)」
可愛らしく笑いながらアドバイスをくれる。
「へぇー……」
つい興味なさげな態度をとってしまった。
「こーら(笑)君の大事な告白なんだからもっとしゃっきりしなさい(笑)」
笑いながら小突かれる。この空間が1番好きだ。
俺はなんとなく先生の手をぐいっと引っ張り、顔を近づけて言ってみた。
「先生、俺、ずっと前から先生が好きだ。頼りないかもしれないけど、付き合ってくれ。」
一瞬の沈黙が流れた。
「…………、も、もう、不意打ちはずるい!(笑)先生不覚にもドキッとしちゃったじゃない。」
「…………そっか」
俺はこんなにも本気にされてないんだなと肩を落とした。
そして、一時して…
「…まぁ、今のが本気だったら少しは考えてあげるよ?」
俺は顔をあげた。目の前には、そよ風に髪を揺らされ微笑んでいる先生がいた。