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三題噺

作者: ゆみかん

お題→保健室、告白、そよ風



***********************

キーンコーンカーンコーン……


チャイムが鳴ったのと同時に教室を飛び出し、あの人が待つあの場所へ行く。


ガラガラッ!勢い良く扉を開けて辺りを見回してみると、あの人はいた。


「あれ?また来たの?今度はどーしたの?」


そんな質問に俺は息を切らしながら答える。


「また、練習に付き合ってもらえませんか?」


俺は最近この場所、保健室によく入り浸っている。


理由は単純だ。保健室の先生に恋したから。


転勤してきた保健室の先生は、一見大人しそうに見えるのだが、中々茶目っ気があり可愛くて一目惚れした。


「また~?(笑)もう、今日はこれで最後よ?」


そう言いつつも、俺が来たらちゃんと相手をしてくれる。


「ありがと!先生。」


練習と言うのは他でもない。告白の練習だ。


何故こんなことをしているのかというと、俺は告白なんてしたことなくて緊張して思わず『告白の練習に付き合ってくれませんか?』と聞いてしまったのだ。


以来、先生(好きな人)を目の前に練習しているというわけだ。


「好きです、付き合ってください!」


「お?今回はストレートに言ったね(笑)女の子は案外ストレートな告白はぐっとくるから、好印象だよ!(笑)」


可愛らしく笑いながらアドバイスをくれる。


「へぇー……」


つい興味なさげな態度をとってしまった。


「こーら(笑)君の大事な告白なんだからもっとしゃっきりしなさい(笑)」


笑いながら小突かれる。この空間が1番好きだ。


俺はなんとなく先生の手をぐいっと引っ張り、顔を近づけて言ってみた。


「先生、俺、ずっと前から先生が好きだ。頼りないかもしれないけど、付き合ってくれ。」


一瞬の沈黙が流れた。


「…………、も、もう、不意打ちはずるい!(笑)先生不覚にもドキッとしちゃったじゃない。」


「…………そっか」


俺はこんなにも本気にされてないんだなと肩を落とした。


そして、一時して…


「…まぁ、今のが本気だったら少しは考えてあげるよ?」


俺は顔をあげた。目の前には、そよ風に髪を揺らされ微笑んでいる先生がいた。

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