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きょうもたのしくまりょくでんち!

転生、チート、剣、魔法。


これらの単語に一度も憧れなかった人はなかなか居ないだろう。自分に無いものに憧れるのは自然なことだし、とても夢がある。

俺自身、口では「テンプレ乙」とか「厨二乙」とか言いながらもその手合いの小説を読み漁った時期があった。


そのせいだろうか、なんやかんやテンプレ的出来事あって死んだとき神様に願いを聞かれた。

億万長者でも平凡な幸せでもどん底な人生でも何でもできると言われた瞬間、頭を過ったのは夢は所詮夢と諦めていたファンタジーだった。












俺こと、クルツ・ゴードンの人生は順風満帆だった。


意識が安定し出したのが三歳頃だったため、両親以外印象に残っていないのが難点だがまだ小さいし、学校もまだだ。

これから新たな人間関係を作ればいい。

それになにより、俺には神様から約束された魔法の才能がある。

といっても無限の魔力と成長限界無しの二つなので自分で努力しなければならないが。

ゴードン家は魔力のある子供が生まれやすいらしく、つい最近もいとこが魔力を認められ、国立機関に入ったそうだ。

つまり俺もエリート人生が約束されたも同然である。


母さんことルクツィア・ゴードンはどこか影のある美人だが優しくて歌の上手い素敵な人だ。

父さんことゴールド・ゴードンはそのゴージャスな名前に違わず軍の上層部の人間らしい。

メイドの噂によると政略結婚だったようだがお互いに愛し合っているようだ。


ついに五歳誕生日の今日、魔力検査がある。

この魔力検査で今後の人生が決まると思うと、ついそわそわしてしまった。

それがばれたのか、ここ最近少し体調を崩していた母さんが柔らかい笑顔で言った。


「そんなにそわそわしなくていいのよ、クルツ」

「お母さま……」

「クルツに魔力が無くたってお母さまは悲しまないわ」

「でも、魔力があった方がいいんでしょう?」

「クルツ……」


夜、俺を寝かしつけた後二人が話しているのを聞いてしまったのだ。

二人目がどうの、深刻そうに話していたから途中で戻ってしまったが。


「ねぇ、クルツ。お母さまは貴方を心から愛しているの。例え始まりがどうであれ、貴方という命を授かった時本当に嬉しかったわ……」


何やら感動的な話になりそうになった瞬間、ノックの音が響いた。

時間だ。


「時間だ。測定式に移るぞ」

「あぁあなた、どうしてもしなくてはならないのですか…?」

「……決まりなのだ。後は神に祈るしかない」

「いきましょう、お母さま」

「えぇ……」


不安げな母さんの手をつかんで先導した。


測定式をする場所は近所の研究所だった。病院の役割も兼ねているのか定期検査で何度か来たことがある。



「手を置くだけでいいのですか?」

「あぁ、そうだ」


いつ来ても愛想の悪い研究員にげんなりしながらも測定器を見る。

一見、ボウリングのボールくらいのガラス玉にしか見えない。

身長が低いので、特別に踏み台があった。

恐る恐る手をのせた途端、身体から力が抜けるような感覚がしてガラス玉が虹色に輝きだした。


はっと息を飲むような音がしたので後ろの両親に振り返ろうとした。

神様に無限の魔力を約束されていたので大丈夫だとは思っていたが、万が一があるかもしれないと内心びくびくしていたのだ。

振り替えると、何故か肩を震わせ涙を流す母さんと青白い顔で母さんを支える父さんが居た。


何かおかしい。

そう思った瞬間、いきなり腕を捕まれた。


「素晴らしい!七色の魔力は想定外です!やはり魔力保持者同士で配合した方がより高い魔力を持つ子供が生まれるのは確かです!」

「これだけ大きい魔力を持つ場合、万が一暴走した時の被害が計り知れない為魔力封じを着けます」

「えっ……?」


がしゃんと金属質な音を立てて首に枷がはめられた。

その瞬間全身から力が抜けて、膝から崩れ落ちた。


「クルツ!やめてください!その子はまだ五歳なのですよ!?」

「魔力の制御できない子供は魔物と同等の扱いをするように国の法律で決まっています」

「その子は魔物なんかじゃない!魔力を暴走させたことなんて一度もないぞ!」

「規則ですので」


訳がわからなかった。

力の入らない身体は床から伝わる冷たさ以外、フィルターがかかったようにぼんやりとしか認識できなかった。

ただ、両親が何か悲しんでいることは伝わってきたので慰めようとした。


「おとう、さま…おかあさま……げんき、だして」


俺の言葉に二人がどういう反応をしたのか、次の瞬間頭から袋に入れられてしまった俺には解らなかった。




この後魔力電池にされて、同じ魔力電池達と反乱を起こすみたいな話になるはずだった

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