職業別取材レポート企画:転生科
あ、取材のかたですか?いつもお世話になっています。つまらない職場ですがゆっくり見ていってください。
では第一行程の選別場から案内しますね。
選別場ではその名の通り魂の選別を行っています。
下界から回収されたばかりの魂はピンキリですからね。中には傷が付きすぎて修繕が必要な魂があったり、使用期限を過ぎて擦り切れてしまった魂などもありますから。
汚れの濃さや傾向、形に合わせて第二行程の洗浄場に振り分けています。ここで一部の魂は修繕を受け持っている創造科に発送されます。最近は天地創造なんて滅多にないせいでほとんど雑用係になってますよね創造科。黎明期はエリートの代名詞だったはずなんですが……あ、先日は創造科を取材してきたんですか。それなら私より内部事情も詳しいですよね失敬失敬。
転成科は黙々と作業する事が多いのでついおしゃべりになりがちで。あはは。
さて、気を取り直して洗浄場にご案内します。
洗浄場では下界で魂にこびりついた汚れを落とします。比較的軽度のものは洗浄液にちょっと漬けておけばすぐ綺麗になりますが、頑固な汚れの場合は手作業です。
え、まぁ確かに大変ですよ。ですがやりがいはありますね。
やればやるだけ、成果として魂がきれいになりますからね。
基本的にこの転成科は地味ですし、下界調査科のように変化はあまりありません。成果もなかなか自分の目で確かめることは出来ないので、こういった作業のがモチベーションは高いですよ。
あぁ、そうだ言い忘れてました。この洗浄場で落とされた汚れはあちらの装置でろ過され凝縮されます。凝縮されて生まれたのは俗に言う魔物とか悪魔とかそういったものの種になります。
以前は魂の汚れもそんなにひどくなかったんですが、最近高齢化のせいか汚れが増えていまして。
魔物の種の生産量は年々増加傾向にあります。
私共からしたらばこの種も収入の一部になりますが、あまり種が増えすぎると汚れも更にひどくなることが予想されます。手作業で汚れを落とさなくてはならない魂があまりに増えると作業効率が著しく下がり、転成可能魂が減少し少子化が進む可能性があります。下界調査科の皆様そこらへんのパワーバランスの監視をお願いします。
あ、すみません取材に関係ないことばかりべらべらと。
生放送と聞いたので、いつもは聞く耳持たない奴らも動かざるを得ないかなと思いましてつい。
さて、気を取り直して第三行程の出荷場に行きましょうか。
出荷場では、洗浄され、修繕された魂達をどこに転成させるかの振り分けを行っています。
ご存知だとは思いますが魂はランクがあります。あまりランクの偏った配置を行うと下界に争いの火種を呼ぶことになりかねません。ええ、先代工場長の時代の悲劇は忘れませんとも。
あ、またまた脱線してすみません。
責任の大きい仕事なので、この工程はベテランの職員が担当しています。
とくに、あそこの彼。わかります?そうですあの頑固そうな彼です。
彼はもう三個の世界が生まれて滅ぶ程の間この工程を担当していますが、彼の担当した地域はいつも繁栄しまして。
荒れ果てた世界を復活させたりと、かなりの功労者でもあります。
そうなんです、画期的な未洗浄の魂を送るという発想も彼のアイデアなんです。
私たちが汚れと呼んでいるものは汚れであると同時に力ですからね。
最初から汚れがある魂はそれだけ打たれ強く、また砕けにくいですから。時代の転換期などに高ランクのを送ったりすると大体において歴史を変える逸材になりますからね。
……まぁたまに失敗して滅ぼす方向に頑張っちゃう魂も居ますが、ごくごく稀です。
なあに、そんな不安そうにしなくても干渉科の方にある程度お膳立てしていただければ往々にしてうまく行きますよ。
コツはいかに運命の出会いを演出するか、らしいですよ。なんでも、近頃は奇をてらって片方が上空から落下してくるとか、いきなり命の危機に遭遇させたりするのが流行らしくて。
え?……すみません干渉科は来週取材するんですか?ネタバレけっこうしちゃいましたねすみません。
えーと、聞かなかったことにしておいてください。
えーと、以上三行程で転成科の大まかな仕事は終わりです。
次回は干渉科なんですよね?神さまスタイルでのお告げとか、私がネタバレしちゃったもの以外にも沢山面白い作業があるので是非見てください。
ここだけの話し、私は当初干渉科志望でしたのですごく楽しみにしています。
以上、職業別取材レポート企画転成科でした。
次回は花形職の干渉科へ取材に行きます。