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吹雪の中、轢かれた貴女を待つ

掲載日:2026/01/21

先輩を待つ少年の話。

「待ち合わせしない?」

「待ち合わせ、ですか?」


高校受験の近い1月21日。

先輩は急に言ってきた。

今は昼休み、まだ放課後とかあるのに。

待ち合わせ?


「うーん、いつがいいかな?」

「いつでも大丈夫です」

「そう? じゃあ、今夜6時。スマホで見たら7時から雪がひどくなるらしいから、早目にね。いつもの公園に」

「早目に、ですか」

何だろう?

もしかして、それは。


「お楽しみっ」

笑顔で言ってきた。


だが、先輩は死んだ。

帰り道、車に轢かれて死んでしまった。

異世界に行った、とか、そういうのはどうでもいい。

どちらにしても、この世界から席を外したことに変わらないから。強制的に、押し退けられるように。理不尽に。


そして、僕は。




―夜7時


「本当だ、先輩の言った通り、吹雪になった。7時ぴったりに」

笑いが出る。


制服姿、ウィンドブレーカーは着ていない。

それは、僕も死にたいから、なんだろう。

凍死したら、再会できるかもしれないから。


でも、僕は期待している。

この世界で先輩に再会することを。

夜の7時、この公園で。

先輩は、笑顔で来るはずなんだ。

きっと、僕に、言うために。

淡い希望。


8時になっても、日にちが変わってしまっても、僕は先輩を待っていた。

笑顔で来てくれる、そう信じて。

死んだ人を待つのはおかしい、自分でもそう思う。でも、希望を、これだけは失いたくないから。これがなかったら、僕に生きる勇気がなくなってしまうから。


吹雪は止まず、むしろ強くなり。

通行人はいない、雪がひどいから。




そして、僕の意識は、だんだん薄れていく。


先輩との思い出が次々と浮かんでくる。


『あの、あのさっ。趣味とか、ない?』

陰キャで、ぼっちだった新入生の僕に、苦笑いをしながら、声をかけてきてくれた。

それが、はじまりだった。


『はい、修学旅行のお土産。八ツ橋っ』

微笑んで、僕に京都で買った八ツ橋の箱をくれ。


『ど、どこか出かけたり、しませんか?』

『おっ、いいね、どこ行く?』

僕の提案を受け入れてくれて。


『待ち合わせしない?』

そして、今朝、言ってきた。


「ああ」

薄れていく意識、その中で僕は考える。


「だから、僕は期待をしたくて仕方ないんだ」

これが走馬灯でありますように、そしたら、今度こそ、先輩と再会を。

ありがとうございました。

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