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「それでね、足が速いんだから駆逐艦になれば高速船になれるじゃないかって思ったの
よ」
「へぇ」
「でも、結局は適正検査で事務に適正と言われちゃって、軍の事務になったわけよ。
「後悔は、してないの?」
「最初は後悔はしたわ。
悔しかった、泣きたかった。
でも、この職に付いた事で、お父さんに出会えた。
そして、牧恵…あなたが生まれた」
「のろけ話?」
「ふふ…、うらやましいか」
「うらやましい…。
そういえば、お父さんって今何処にいるの?」
「あ~、それは軍事機密だわね。
お父さんて機密事項の塊の戦艦だからね」
「お父さんもなりたかったモノに生れたのかな?」
「お父さんのお父さん、あなたのおじいちゃんは戦艦だったし、ひぃおじちゃんも軍艦だったし、従兄のけいちゃんは貨物船だからね。
宇宙線一家だったみたいね」
「何かすごいな」
「もしかしたら、あんたにもその血が流れているのかもしれないわね」
「そうかな…」
「あんたの適正なら、何にでも生れわよ」
「随分、無責任な言い方だな。
こんなに悩んでいるのに」
「そうだそうだ、大いに悩め。
そして、後悔のない人生を歩んでいきなさい」
「うん…」




