第3話:魔力水脈の激流と予期せぬ真実 -3
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「アキラ、急げ!
奴が完全に回復する前に、この装置を何とかしないと!」
カイトがアキラを急かす。
アキラは、自律型ガーディアンの攻撃が止んだ隙に、装置の核心にアクセスを試みていた。
彼のサイボーグの指先が、高速でキーボードの上を動き続ける。
汗が額を伝い、眼鏡のレンズに張り付く。
「このシステムは……王都全体の魔力を、特定のパターンに『調律』するためのシステムのようだ!
この魔力炉は、ただのエネルギー源じゃない。
人々の意識に干渉し、何かを誘導しようとしている……」
アキラは、興奮気味に説明する。
彼の額には、脂汗が滲んでいた。
彼の言葉に、全員が息を呑んだ。
セレフィアは、エリナの腕を強く握りしめ、不安げな瞳でアキラを見つめている。
「王都の住民の意識…?!」
エリナは、信じられないという表情でアキラを見つめる。
「ああ。このシステムは、王都の魔力を、ある特定の周波数に強制的に同調させようとしている。
それが成功すれば、王都の住民の思考や感情が、何者かの意図するままにコントロールされるようになる。
街のあの不自然な静けさは、その予兆だったんだ!」
アキラは、興奮気味に説明する。
「まさか…そんなことが…」
リーラは、青ざめた表情で呟いた。
カイトは、静かにアキラの言葉を聞き、その内容を自身の情報と照合していた。
「…やはり、そうか。
『調律者』の目的は、人類をコントロールし、世界の歴史を『調律』し続けるための永遠のループを確立すること。
この装置は、その初期段階なんだ」
「じゃあ、この装置を止めれば、王都の人々は元に戻るのですか?」
エリナが、希望を込めて問う。
「理論上はな。だが、止め方も一筋縄ではいかない。
このシステムは、自己修復機能を持っている上に、停止しようとすると、その反動で王都全体に甚大な被害が出る可能性がある」
アキラは、顔をしかめて言った。
「何だと!?」
リョウが驚愕の声を上げた。
「どうすればいいのです!?」
エリナが焦る。
その時、カイトが冷静な声で言った。
「停止させる必要はない。
システムを混乱させろ。
一時的に機能を麻痺させるんだ」
アキラは、カイトの言葉に目を見開いた。
「…なるほど!一時的な混乱で、『調律』の波形を乱す!
そうすれば、王都への干渉を止められる!」
アキラは、すぐにその戦略を実行に移した。
彼は、自律型ガーディアンのコアに、意図的に破損したデータを送り込み、その思考回路を混乱させようとする。
自律型ガーディアンの動きが、完全に停止した。
その全身から、不規則な電子音が漏れ出し、青白い魔力光が乱れる。
「成功したの!?」
リーラが息を呑む。
「一時的にな。
完全に破壊したわけじゃない。
だが、これで王都への干渉は止まったはずだ」
アキラは、汗を拭いながら言った。
自律型ガーディアンの身体から、漆黒の装甲が剥がれ落ち、中から小さな、ひび割れた水晶のようなものが現れた。
それは、自律型ガーディアンの真のコアだった。
アキラは、その水晶に触れようとするが、カイトが制止した。
「触れるな、アキラ。
それは、この世界の根源たる魔力そのものだ。
そして、おそらく『調律者』の一部でもある」
カイトは、水晶を見つめ、静かに言った。
王都の地下全体に張り巡らされていた、不自然な青白い魔力回路が、ゆっくりと、しかし確実に消え去っていくのが、リーラの感覚でも感じられた。
中央魔力炉の巨大な装置も、その不気味な唸り声を止め、静かに佇んでいた。
「王都の魔力は、元に戻りつつあるわ…!」
リーラは、喜びの声を上げた。
エージェントたちは、勝利の安堵に包まれたが、カイトの表情は曇ったままだった。
「まだだ。これは、ほんの一時的な勝利に過ぎない。『調律者』は、必ず別の手を打ってくるだろう。
そして、このコアは…」
カイトは、ひび割れた水晶を見つめ、深いため息をついた。
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