あとがき
最後までこの作品を読んでくださってありがとうございます。
あとがきとしまして、本編では語れなかった部分、それと次回作「大好きな義妹が他人になった」について少々お話ししたいと思います。
推しの“ご報告”をこれまでたくさん見てきました。
相手はだいたい「一般男性」です。振り返ってみると、私の推しは不思議とタレントではなく一般男性と結婚するケースが多い気がします。
じゃあ、一般男性とは一体どのような人なのだろう?
推しが選んだ人なのだから、さぞ立派な人に違いない。
うちの推しを任せたぞ――。
ということを何度も繰り返し、出来上がったのが藤城火花という人物であり、第一章になります。
いわば藤城火花とは、私の考える「理想の一般男性」と言ってもいいかもしれません。
自分の理想を追い求め続ける意識の高いアイドルを傍で見守り続け、自分の恋心よりも相手の夢を応援する人物――というコンセプトで書き始めました。
最初は特にプロット等も作らず、見切り発車で書き始めました。
当初はネットで公開するかどうかも考えておらず、とりあえず書いてみた、という感じでした。
ネット投稿の形式を意識して書いていなかったため、第一話がいきなり六千字あったりします。
その他、ひとつのエピソードが一万字を超えていて上中下で分けたり……と反省点がいろいろある一章です。
ただ「変わらないからこそ良い関係」をちゃんと描けたのではないかな? とは思っています。
初瀬はひとつのことにすべてのエネルギーを集中することができる人間なので、藤城を自分の将来のパートナーと(勝手に)決めた以上はてこでも考えを変えないはずです。
彼の献身はいつかきっと最高の形で報われることでしょう。
一章の正月の話まで書いた段階では、この物語を投稿するかどうかはまだ決めていませんでした。
そして、そこから先の話も考えていませんでした。このままふたりの日常を描くのか、それともなにか変化を作ろうか――。
いろいろ考えても結論は出ず、一度書くのをやめました。
数か月放置して、ふとしたきっかけで読み返してみました。
半分くらい忘れていたんですが、思ったよりおもしろい気がしたので続きを書いてみたくなりました。
放置していた期間に頭がリセットされ、第二の主人公くらいのつもりで新キャラを出そうと思いました。そして生まれたのが黒川百合です。
プロ意識の塊で、アイドルとしてハイスペックな初瀬とは真逆の人物。
意識は低く、スペックが低い新人アイドルが現実を知り挫折し、そこから立ち直る話にしよう……というラインができあがると、あっという間に二章ができあがりました。
半月ほどで二章を一気に書き上げました。
二章は短期間で欠けましたが、一方で細部にかなり気を遣いもしました。
黒川が挫折することを決定した上で書いていたため、彼女の前半の好調な部分はすべて落差を作るためのふりになります。
黒川が挫折した時に、読者の方々から「ざまぁ」と思われては二章は失敗です。「がんばれ」と思ってもらわなければいけないのです。苦しい時にファンから声援を送ってもらえるのが、私の思う“アイドル”なのです。
黒川が調子に乗っているパートであっても、言いすぎた言動がないように、誰かを傷つけるようなことをしないようにラインを引くのを心掛けました。
結果として、未熟だけどファンに喜んでもらうためにやってる、という範囲に収められたと思います。
作者としては、全体を通して二章が特に気に入っています。
二章を書くことができたので、「よし、これをネットに出してみるか」となりました。
ですので、この物語を皆さんにお届けできたのはひとえに黒川のおかげです。
黒川に振り回された初瀬にとっては、二章はちょっと災難なパートだったかもしれませんけどね。
ですが、黒川にストレスを感じるたびに、ちょっとずつ藤城に対する依存を高めていく初瀬は結構お気に入りです。大きくは変わらない中で、それでも少しずつ変化していく様子をモノローグから感じ取ってニヤニヤして頂けたのなら嬉しいです。
黒川が初瀬の逆だったのに対し、三章の主人公ノノカは、黒川の反対側というコンセプトです。
初期の黒川が「プロの皮を被った自信満々の素人」だったので、ノノカは「自分のことを素人だと思っているプロ」というイメージです。
迷い続け、悩み続け、ようやく見つけた地下という居場所は自分が本当に望んでいる場所ではない。本当は一番明るい場所――ガデフラのセンターで輝きたいはずなのに、最初から自分にはムリだと無意識に決めつけて、センターに立ちたいとさえ思いもしなかった。
けれど、最後の覆面ライブで、自分にもちゃんと誰かを楽しませる力があるんだと理解し、目を逸らしていた本当の夢に正面から見つめる――。
三章のタイトルの「地上の月と地下の太陽」はどちらもノノカのことですが、本編終了後は地上の太陽を目指して進んで行くことでしょう。
本当にそれになれるかはどうかは、誰にもわかりません。
なれなくてもいいのです。
ノノカに少しでも上の順位に行ってほしいと思うファンと一緒に同じ夢を追いかける時間、その過程――一緒に戦い、一緒に勝ったり負けたりする――こそが大事なのです。
三章は反省点が多いです。
全体的な流れは二章と同じ「挫折からの復活」なのですが、二章と比べて暗い雰囲気が漂っている気がします。
原因としては、物語の谷の部分が長すぎたことだと分析しています。
また、ノノカの良い部分をあまり描写できなかったかな? とも思います。
二章では、黒川視点では調子に乗らせるだけ乗らせて陽キャアピールし、「そううまくは行かないぞ?」という伏線は初瀬視点で展開することでメリハリをつけるよう心掛けていました。
三章の大半はノノカ視点で動かしたため、しかも最初から悩んでいたため、全体的に暗くなってしまったかもしれません。次回作ではこの辺を意識し、明るさを絶やさないように気を付けることにしました。
ノノカせっかく藤城と同じ大学という設定にしたので、それを活かすべきだったかもしれません。黒川の時のように、ノノカが藤城に悩みを話す展開にしていれば、同じストーリーラインでも雰囲気が違っていたでしょう。
最初にそのパターンも考えたんですけど――相談するうちにノノカは藤城のことが好きになるはず。けど、初瀬一筋で黒川からのアピールを断りまくった藤城がノノカになびくわけないよな、負け試合確定だからわざわざやらなくていいか……ということで、ふたりが直接会って話をする展開はなくなりました。
それにしても三章を通して一度も藤城とノノカが顔を合わせていないのは、少しやりすぎだったかもしれません。
この“アイドルは今日もうちに来る〜あなたの前ではアイドルじゃない〜”が私の初めてのネット投稿作品になります。
最初はなかなか読んでもらえず、投稿から二週間ほどは100PV/dayもいきませんでした。ブクマはずっと一桁でした。
こんなに読んでもらえないならやめようかな……とも考えたのですが、ある日12ポイントくださった方が現れました。
その後急激に読んでもらえるようになり、恋愛/現実ジャンルで週間ランキングで一桁まで行くことができました。そして、より多くの方に読んでいただけました。
これを書いている時点ではPVは14万を超えていますが、12ポイントを頂く前は1000さえ超えていなかったはずです。
きっかけになった最初のポイントをくださったあなたに、ぜひお礼を言いたいです。
ありがとうございます。あなたがポイントを入れてくださらなければ、三章は書きさえしなかったでしょう。
もちろん、その後ブクマしてくださった方、評価をしてくださった方もありがとうございます。
感想もたくさんいただきました。
感想を書くのが簡単なことでないことは、よくわかっています。短いものであっても、結構な負担であることは重々承知しています。ですので、感想を書いてくださったということは、それだけ私の物語が読者の心を動かすことができたということなのでしょう。
何度も感想をくださる方もいらっしゃいました。それだけ楽しんで頂いたのでしょう、とても嬉しく、励みになりました。
書く限りはなるべく多くの方に読んでもらいたいですが、そのためにはランキングに載らなければいけません。
すでに完結した本作ではありますが、評価をいただければ幸いです。
まだもっと多くの方に読んでいただきたいと思っていますので。
そして、ここまで読んでくださった方に大事なお報せがあります。
この作品のエピローグとあとがきと同じ時刻に、次の作品を投稿しています。
“大好きな義妹が他人になった”というタイトルで、ラブコメ作品になります。本作よりコメディ色が強くなるよう意識しています。
以下、少し宣伝をさせてください。
――親の再婚で幼少期に兄妹になった兄の星宮涙衣と妹の飾。
同じ年ということもあり、兄妹でありながら親友のように育ってきたが、ある日親の離婚によって他人になってしまう。家族として好きだったはずだが、一緒に暮らせなくなったことで互いを想う気持ちに少しずつ変化が現れるようになる。
飾は新しい環境に馴染めず、親の離婚から一年後、高校入学のタイミングで再び涙衣のところに戻って来る。その頃には、涙衣は飾のことを異性として好きだと認識していて――。
義理の兄妹から他人になったふたりは、これからどのような形で“家族”になっていくのか?
というものになります。
ぜひ読んでいただければ幸いです。
藤城と初瀬は家の外で会うことが難しかったのに対し、涙衣と飾は結構頻繁に一緒に出掛けます。この辺の違いは書いていておもしろいです。
作者ページから、あるいは“大好きな義妹が他人になった”で検索して頂けると嬉しいです。
すでに二話まで投稿しています。
今までと同じく毎日21時に投稿していきます。
それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次の作品でまたお会いできれば幸いです。




