表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い少女  作者: ツヨシ
2/2

雪は入口のひざ下くらいまで積もっていた。

やはり男のいう通り、そのうちにやんだのだろう。

一晩中ふっていたら、こんなものではすまない。

これから下山だ。

その時、聞こえてきた。

幼い女の子の笑い声が。

思わず目をやると、そこにいた。

一人の少女が。

――まさか!

少女は雪山の中だというのに、白い袖なしのワンピースを着ていた。

そしてその顔も腕も足も、やけに白かった。

おまけに雪の上を笑いながら走り回っているのだ。

足元の雪は新雪。

いくら少女の体が軽いといっても、その足が雪にうまらないわけがない。

しかし少女は雪に一切足跡をつけることなく、走り回っているのだ。

まるで固い床の上を走っているかのように。

気が付くと、男が俺の横に立っていた。

とてつもなく険しい顔で少女を見ている。

少女は小屋の前をぐるぐる回っていたが、やがて森に向かって走り出し、その姿を消した。

しばらく唖然としていたが、正気に戻った。

俺は言った。

「見たでしょう。こんなところに小さな女の子のが」

「えっ、なんだって。俺はそんなものは見てないが」

「いやだって、さっきあんなに……」

「いいか。おれはこんな雪山で、小さな女の子なんか見なかった」

「ええ」

「そして、あんたも見なかったんだ」

「ええっ?」

「いいか。もう一度言う。あんたも何も見なかったんだ」

すごい威圧感だ。

俺は思わず言った。

「はい」

「話は決まったな」

男はそう言うと、雪山を歩きだした。



       終

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ