第二話 洗脳の影
志の回想がふと切れ、目の前に広がる光景が一変する。彼は目流と対峙していた。目流は薄暗い森の中で、ひときわ際立つ存在感を放ちながら、じっと志を見据えていた。
「貴様が噂の赤船志か?」目流の声は低く、冷たい響きを持っていた。「今からお前を叩きのめして、名を知らしめてやる。」
志は内心の動揺を抑え、構えを取る。心の中で自分に言い聞かせた。「負けられない。仲間のために。」
目流の攻撃が始まった。彼女の動きは素早く、志の予想を超える。刃のような速さで斬りかかってくる。その圧倒的な力に、志は防戦一方にならざるを得なかった。
「これが私の力だ!」目流は叫ぶ。その瞬間、志の視界がかすみ、次の瞬間、彼は地面に倒れた。焦燥感が心をかきむしる。
「そんなに弱いのか、赤船志?」目流は冷ややかな笑みを浮かべる。
しかし、志は屈しなかった。「絶対に負けない!」と、自らを奮い立たせ、力を込めた。すると、突如として戦場に新たな影が現れる。
「やめろ、目流!」命良が駆けつけた。彼女の姿を見た瞬間、志は希望の光を感じた。
「命良…!」志は思わず声を上げた。
命良は目流に近づくと、毅然とした態度で宣言する。「貴様のような者に、志を傷つける権利はない!」
目流は一瞬驚いたように目を見開くが、すぐに攻撃の手を緩めない。「何をしに来た?貴様も私の敵になるのか?」
命良は微笑み、手をかざす。「いいえ、私はあなたを救いに来たのです。」
その言葉と共に、命良は目流をじっと見つめ、彼女の心に潜り込むように意識を広げた。目流の目が不安定に揺れ、彼女の中で何かが揺らぐ。
「このままじゃ、君自身を失ってしまうよ。目流、目を覚ませ!」命良の言葉は、まるで彼女の心の奥深くに響いた。
目流の表情が変わる。苦悩の色が浮かび上がり、彼女はその場で膝をついた。「な…何が起こっているんだ…?」
「お前は、自由だ。洗脳から解き放たれろ。」命良の言葉は、目流の心に火を灯した。
その瞬間、目流の意識が明晰になる。彼女は自らの行動を思い出し、怒りと恐怖に打ちひしがれる。「私は…何をしていた?」
「お前は戻った。これからの戦いには、私たちが必要だ。」命良は優しく目流を見つめる。
目流はその言葉を噛み締め、志を振り返った。志は静かに頷く。「君も仲間になろう。共に戦おう。」
目流は力強く立ち上がり、決意の表情を浮かべる。「ああ、私はお前たちと共に戦う!」
戦闘は終わり、洗脳から解かれた目流は志と命良と共に新たな仲間としての第一歩を踏み出した。次なる敵、次なる戦いが待ち受けている。