白猫ミーア〜初めての白いしっぽ(最初の100年…『花降りしっぽ・星降りしっぽ』始まりのお話)
昨年書いた2022年なろう童話祭の『花降りしっぽ・星降りしっぽ』番外編で、始まりのお話です。
前回主人公の少女が願いを叶えて欲しくて必死で探していた猫が今回は主人公です。神秘的で完璧に近かったイメージの猫のミーアが実は大器晩成型で100年がかりで成長していきます。辛いばかりはイヤなので、キラキラ場面でコーティングしました!
私が生まれたのは、白い雪がちらちら降る寒い冬だったそうにゃ!
ミーミー鳴くのでミーアと名付けられたのにゃ!!
父も母もレベルの高い星降らししっぽ師で星降りしっぽ族の王と王妃だったのにゃ!
私はミーア姫と呼ばれ、雲の上の天界のお城で大切に大切に育てられたのにゃ~!!
(え? にゃ~にゃ~うるさい? では人間様用標準語でいきますかにゃ……あ、失礼)
……少々ふざけ過ぎてしまった。
こほんっ……。
ここの猫達は雲の上の天界に住み、単独の流れ星や、流星群達をしっぽをフルンっ! と振って地上に降らし、願い星を作る使命が与えられていたの。
やがて真っ白なふさふさしっぽを持つ娘猫にまで成長した私は、王立の星降らせ学校へ通い始めた。
座学の成績はいつも1位で最高レベル!
だけど、どんなに頑張っても実技だけは伴わなかった!!
王と王妃である父母は完璧なしっぽ降り師なのに、私は金平糖サイズのミニ星すら出現させることが出来ない。
まもなく私は地上へ降ろされた。人の気持ちがわかるようになると、願いのしっぽ使いもレベルアップするから修行へ行くようにと…。
辛かったわ~!
地上に降り立った直後から土砂降りには会うし、盛りのついた雄猫同士の争いには巻き込まれるし(危うくどっちかの雄猫の嫁にされるとこだった!)、人間には酷い目にあわされるしで!
何でこんな酷い人間達の為に願いを叶えるなんてしなくてはならないの? と泣きそうになった。
でも、弱って死にかけた私を助けてくれたのも人間だった!!
あの雨の日の優しかったおばあさんの手……忘れられない……。
「大丈夫かい? ひどい目にあったね?」
そう、ひどい目にあった……。
あの目つきの悪い雄猫2匹……そして人間達。
「これは俺のものにゃ!」
(は? 俺のもの?)
「いんにゃ! わいのだ!」
しばらく2匹は傷だらけになるまでケンカを繰り広げていた。が、なかなか勝負はつかなかった。
思えば、この間にさっさと逃げていればよかったのだが、土砂降りで雨に濡れ、疲労しきっていたし、空腹で動けずにいた。
そのうち2匹は妙なことを考え付いた。
2匹の雄猫達はぺろんっ! と舌なめずりをし、私ににじり寄ってきた。
「じゃあ、どっちが上手く舌先を使って土砂降りの毛を綺麗になめてあげられるか、それで決めよう!!」
(何ですとっ?)
「い、いや! 来ないでっ!!」
私は脱兎のごとく(兎ではなく猫だけど……) 逃げた!
「いぃや~っ! た、助けて~! 天界へ帰るぅ~!」
どこをどう逃げたのか、そこいら中の物をなぎ飛ばし、後方で人間達の怒鳴り声が聞こえたかと思うと棒の様なもので叩かれ、雄猫達に加え、大勢で追いかけられた!
(怖いっ! 怖いっ!! 怖いっ!!!)
必死になって逃げた。
やっと雄猫2匹や人間達をまき、ほっ…と気を抜いた瞬間!
バサッ!!
……虫取り網で捕獲された!
10歳位の人間の男の子2人がにたぁ~と嫌な笑いを浮かべながら、上から私を覗いていた。
逃げたくてもちょっと動いただけで網が絡まり、恐怖で身体が動かなかった。
2人がかりで前後両足全てに布袋のようなものをかぶせられ、紐で落ちないように括られた。
「わぁ~変な恰好!! 面白~い!」
恐怖と屈辱感を味合いながら、何とかしなきゃ、こんなことでおたおたするなんて私らしくもない! とまとまらない頭を回転させようとしたその時……。
「こらぁ~!! お前達、人の家の猫に何てことしてるの~!!」
そう怒鳴りちらし、私を助けてくれた上、本当に自分家の猫にしてくれたのが1回目のおばあさんだった。
おばあさんには縁があり、その後、数人のおばあさんと縁を結ぶことになるのだけれど。
おばあさん方には大切にされ、恩返しをし、周りに困った人や動物達がいれば助けてきた。
最初は出来ることが少なかったから、出来ることから始めて徐々に……。
そうして長い年月頑張って、やっと、やっと! 50年を過ぎる頃には、白いしっぽから金平糖サイズのきらきらを出現させることが出来るようになった! まだまだ星降らせのレベルまでにはいかず、量も少ないけれど。
雨と雪も降らせられるようになったわ。
猫の顔洗いポーズをして、しっぽを振ると簡単に降らせられる様になった。日照りで苦しむ人々や、沢山の農家を救ってこられたわ。恋人達の為に雪を降らせたり、雪のお祭り等のイベントにも一役買うことが出来た。
後は花も降らせて、流れ星を呼べる様にして、2本目のしっぽと3本目のしっぽを生えさせなくてはならない。他の仲間達は1本でもいいけれど、王族の私はそういうわけにはいかない。3本以上揃った時、天界の仲間たちの流れ星をも引き寄せられるようになる!!
ここの猫達とは寿命が違うようなので、一所にはいられず、あちこち転々としたわ。
更に50年近く頑張り、もうじき最初の100年が終わる。さぁ、あとひと頑張り!
だけど、こんな時に限って助けを呼ぶ人に出会えない、困ったな……て思っていたら天界より連絡が入った。私の首に巻いてあるピンクの花のチャームつき首輪の鈴がチリンチリンっ! と鳴った!
「はい、こちら人間界のミーア…お父様? お久しぶりです…え? お母様が倒れられた?」
私は急遽、天界へ一時帰国した。
雲の上にふわりと降り立つとしっぽをフルンッと振り、ピンク色のドレスをまとって、直立二足歩行の体制に入った。ここに住む猫達は皆んな衣服を纏い、二本足で歩くのだ。
久しぶりに帰ったお城はシーンと静まり返っていた。
「お母様……ミーアです」
天蓋付きの王妃用ベッドに母は横たわっていた。
「ミー…ア?」
弱々しい母の声にぎゅっと胸が詰まる思いがする……。
「お加減は如何ですか?」
「貴女の顔を見たら、少し元気になったわ…修行中なのに、私の為にごめんね、ミーア…あら? 貴女のしっぽ…」
何だろうか? 嬉しそうに見ている母の視線の先、ドレスのしっぽ通し穴から覗く自分のしっぽを見ると……金平糖の様なカラフルなミニ星達がキラキラと溢れ、しっぽの周りを取り囲んでいた。
今までには見たこともない位、大量に! しっぽをフルンッとしてもいないのに? 母を心配するあまり、無意識のうちに星魔力が出現していたのだという。そばに控えていた侍女が、喜びの声を上げた。
「おめでとうごさいます、王妃ルナ様! ミーア姫様!」
王妃付き侍女が透き通った何かを手に、私のしっぽに近づいて来た。香水瓶? と思ったが、お洒落なそれはティーポットの様なものだった。
「失礼致します、ミーア様」
しっぽ周辺を飛び回っている小さな星達に狙いを定めて細い注ぎ口から余すことなく吸い取らせる。
この世界の王家専門の水のみだ。
背中の金色の蓋を取り、聖水を注ぎ再び蓋をしてシェイクすると、中からキランキラン! とかチリンチリン! とか綺麗な音が鳴り、美しいピンク色の液体に染まった!
その中で小さな7色の星粒達がきらきらと輝いている。
やがて、さらさら~とか、とろとろ~とか飲みやすそうな音になり、お母様の元へ運ばれた。
「王妃様、どうぞお飲み下さい」
お母様は注ぎ口から、少しずつ、飲み始めた。
途端に、お母様の真っ白で長い毛並みが一瞬ぶわっ! と広がり、ふあさぁ~っ! と落ち着くと、艶が出てほんのりピンク色になった。青い瞳に輝きが戻り、明らかに元気を取り戻したことがわかった。
「これは…どういう、事?」
唖然として私は驚く。もちろん嬉しい。嬉しいが疑問だ。
「ミーア姫様の母上様を助けたい、という真心から生まれた星粒ポーションが、王妃様を救ったのです」
「そうだよ、ミーア、あれだけ悩んでいたお前のしっぽのコンプレックスも、少しは薄れただろう?」
急いで公務を終わらせた王である父が入室してきた。
「お父様……ただいま戻りました」
「おかえり、ミーア」
懐かしいお父様……少し痩せられた?
ロングのブルーグレーの毛並みは相変わらず素敵だけれど……。お父様は私を抱きしめ、
「今日は久しぶりに自室でゆっくり休みなさい」
とねぎらってくれた。
ばっふんッ!
久々に自分のベッドへダイビングした私はふかふかした寝具を体中で味合った。
「柔らかーい! 気持ちいい~!!」
その時、トントンっ! ノック音とその直後に懐かしい声がした。
「ミーア様、お世話係のミネットです」
入室してきたミネットは黒光りの短毛が美しい雌猫だ。
「ミネット?」
驚きと歓喜に溢れ、私は彼女目掛けて飛びついた!
「ミネット? 本当にミネット?! 会いたかった!!」
大親友であり、同じ学校を卒業した懐かしのミネットが、私を受け止めた。
「ミーア様! 私も会いたかったです」
お互い、ギュッと抱きしめ合い、
「え、でも、どうして、ミネットがお世話係に? 本来のお世話係の貴女のおばあちゃん、ボニーさんは? それに様とか敬語はやめてよ~昔みたいにミーアって呼んで!」
「でも……」
「いーの! まだ修行途中だし、卒業時のしっぽ降りランクは貴女が最上位で、私は最下位だったんだから、貴女の方が上! 私なんて王家に生まれただけなんだから……それに何か寂しいよ~せめて2人でいる時位は……」
「わかった……ミーアにはかなわないわ」
ミネットは苦笑しながら、話を続ける。
「おばあちゃんは、貴女が帰るのをそれは楽しみにしていたわ、でも先程、張り切り過ぎて腰をやってしまい、入院してしまった……で、母が看病に行き、私が、代わりを名乗り出てここにいるってわけ……でも、ベッドメイキング他、殆どはおばあちゃんがやった後だったから、私のやることはあまりなかったわ」
「そうだったの~?! ボニーのお見舞いに行きたいわ」
「私もあの後のおばあちゃん、気になるし、明日一緒に行ってみましょう!」
翌日、私とミネットは護衛を伴い雲の上病院へ向かった。
久々に羽の生えた空飛ぶ馬車に乗った。
検査が長引いたとかで、面会時間がすっかり夕方近くになってしまっていた。
入院病棟である6階へは透き通った球体のエレベーターを使って上がる。一見すると、まるで大きいシャボン玉の中に入って運ばれているかのようだ。
「わぁ~、ミネット、見て! 夕焼け綿雲が綺麗なピンクだわ~」
外の様子がよく見える箇所にあるエレベーター……美しい外の様子がわかる。
「いつもは下から見る美しさだったけど、久々、上から見るのも綺麗ね~」
「そうか~、ミーアはいつもは地上から見てるんだものね」
きららんっ!
エレベーター到着音がして、私達6人は6階に降りた。
前後に護衛が2人ずつ、私達を挟んで歩いている。
ナースステーションで部屋番号を聞き、ボニーの病室前まで辿り着いた。
「おばあちゃん、ミーア姫様が、お見舞いに来てくれたよ」
ボニーは王室御用達の立派な一人部屋にいた。
「まぁ、まぁ、ミーア姫様…ボニーは、ボニー……は」
感極まったボニーは涙をぶわっと噴き出し、なかなか言葉にならない。ボニーはミネットと同じ黒光りの美しい短毛種だ。横に立つ娘でありミネットの母でもあるアンネットは黒と白が混ざっている短毛種。ミーア一家は長毛種なので、真逆の一家だ。
「お久しぶり、ボニー、腰の具合はどう? お部屋を完璧に整えてくれていてありがとう!」
「ミーア様~!! 本来なら、お城でお出迎えし、久々にお帰りになったミーア様のお世話をする筈だったのに、面目ありません!!」
「気にしないで! ボニーもいつまでも若い時と同じく身体を酷使してはダメよ?! 今回は、ミネットがいてくれたし、大丈夫だから……それより、これ、お母様にも飲んでもらったものだけど、ボニーも飲んで」
「アンネットも、お久しぶり! これ、ボニーに」
私は大切に握りしめていた小瓶をアンネットに渡した。
「姫様、母の為にありがとうございます」
お母様は、1/3をボニーの為に残しておいてくれたのだった。それを先程侍女から渡され、王家より病院へは連絡が行っているので、安心して飲ませることが出来た。
飲んだ途端、不思議な回復力でボニーは完治し、何と帰りは一緒に帰っても良いことになった!
何これ、すごーい! 私のしっぽから生まれた星粒ポーション!!
病院でも大騒ぎで、ミラクル起こした本人が実は100年ぶり(といっても人間界とは違い、流れる時間が違うので、こちらにして1年位だが)に帰国している私、ミーア姫だとわかると、こぞって押しかけてきそうになった……のをすり抜け、ボニーを抱えて馬車に飛び乗り、さっさと城まで連れ帰った。
「おかえりなさいま…せ…え? ボ、ボニー?」
侍女達がたまげていた!
「良かったわね~」
すっかり調子が良くなり、でも念の為に、まだゆったりしたラフな室内着の王妃…お母様がにっこり微笑んだ。
それから数日間は父母やボニー、ミネットと楽しく過ごし、明日はまた人間界に帰るという前日の昼下がり…
私はミネットとよく語り合った雲の上公園のブランコに乗っていた。もちろん、ミネットと一緒に。ブランコはふわふわした雲で出来ていて温かい。持ち手がカラフルな花や蔦で出来ていて、とても優雅なブランコだ。久しぶりに食べる公園名物ピンクの綿あめもふわりとしていて美味しかった。
私とミネットはいろいろな話をした。
「ミーア、ここと下界で時間の流れが違うでしょ? 体感100年だなんて辛くない? 途方もなく長いわ……ここにいる私達は1年しか感じてない時間を100年も味合っているだなんて……王妃様もそれを思って心労の余り…て、ごめん」
「うん……考えないようにしてる…楽しいこともあるし……一応身体だけは、半肉半霊体だからここと同じ年の分だけしか年取らないし、ここの猫達は下界の生き物の何倍も生きるしね」
「ミーア」
……心配そうなミネットの顔。
「大丈夫! 私は割と楽天家だから!」
「そうか~短気な猫なら、気狂ってるかもね」
「やっぱり、お母様にも心配かけていたのね…お母様も通った道だものね…歴代の王と王妃はみんな世継ぎになる前にこんな長い修行に出ていたなんて、昨日の晩餐会で初めて聞かされたわ」
「ねぇ、ミーア、この国の猫達がどうして王や王妃を尊敬し、決してクーデター等を起こさないか知ってる? 自分達には出来ない300年の修行の大変さを知っているからなのよ……常にビデオ報告されているの…みんな涙を流しながら応援しているのよ」
「えぇぇ!? たまに送信させられている報告書、みんなにも見られてるの? 恥ずかしいわ~」
(因みに首に巻いてるピンクのお花のチャームが通信装置…通話の他、空中に動画画面や文字盤等が浮かび、操作して報告書を作成したり、送信したりする)
「ミーア、気付いてる? 貴女の白いしっぽ、白を基調としたまんま、光の加減で虹色に輝くしっぽに進化していることを!」
「え? 知らなかった!」
私がしっぽを自分の見える位置までゆったりと動かしていると、何やら恍惚なミネットの視線を感じた。
「な、何?」
「しっぽをふわふわゆらりと優雅に動かす様が、さすがはお姫様猫って思ったの!」
「な、何を言ってるの? ただ、しっぽ動かして見てみただけじゃない……突然、照れるわ」
「そうかと思ったら、猫も木から落ちる的に、急にいなくなったと思ったら木の下でこけてたり……ホント、可愛いんだから、ミーアって!」
「もう! ミネットたら誉めてるの? けなしてるの?」
「もちろん、褒めてるの! 優雅で親しみやすい王族だなんて理想的でしょ?」
それは…そうなの、か? も? しれないけど…と苦笑いをしていると、
「ミーア、久しぶりに占ってあげる」
少し薄目を開けて私のしっぽを見始めた……ミネットの占いはよく当たる。
やがて……
「あ、貴女のしっぽ……3本見えるわ! すごい! 王も王妃も3本共全部同じ色のしっぽだけど、貴女のは3色!!」
「え? 3色?! 何色?」
「それは生えてからのお楽しみ」
その時だった。
ガサッ…!
「それは楽しみじゃな」
長いひげを垂らした威厳たっぷりの灰色猫、アルタイル校長が立っていた。
「「アルタイル校長先生?!」」
二人一緒に驚きの声を上げてしまった!
「これより、ミーア姫の雨雪降らせ試験を行う」
そうか…とうとうこの日が来たんだ。私が卒業式の時に頂いたのは仮の卒業証書…いつか、本当の卒業証書をもらう試験をすると言われていた。
私は公園の中央に立ち、スゥーッと息を吸い込み、ゆっくりと吐いた。
「よろしくお願い致します」
気合を入れて挨拶をし、ぺこりとお辞儀をした。
猫の顔洗いポーズを始める……出来るだけ優雅に(王族らしく)そして可愛らしく(猫らしく)…顔周辺で猫の手手首をしなやかに動かす…ピンクの肉球がちら見え…目の周辺を行き来した時、一粒の涙がぽろりと落ちた…今だ!! 即座にしっぽを思いっきりフルンッと振った!!
『ふさっ!!』
毛足が長い白いしっぽが揺れる。
その直後、ぱらぱらと雨が降り出した。
小降りから中降り、大雨まで降らし、雨が止むころ、二重三重の虹までおまけにつけた。
雪降らせも同様、少し難儀だが、優雅な顔洗いポーズに涙を2粒以上増やし、心も凍る悲しかったことを思い起こす…しっぽをフルンッと振ると、ふわふわと美しい雪が舞い降りた。猛吹雪はやめておこう。でも、一部に湿った雪をかためて降らせ、猫だるまになるように形作った!
昔は大変だったが、今では余裕で出来る。成功したとは思うけど、校長先生、黙ったまま動かない? え? 大丈夫かな…息を飲んで判定を待つ。
「素晴らしい!! 完璧な雨降らしで、重なる虹は見惚れる程の美しさだった! 雪の舞い落ち方はふわふわで美しく、しかも猫だるま付き…そちらの方は固まりやすいように湿った雪にまでの分け具合! 良く頑張った! ミーア姫!!」
しばしの静寂を破って、アルタイル校長は感動の合格発表をしてくれた。
「やったー!!」
「おめでとう、ミーア!」
私はミネットと抱き合い喜んだ。
と思ったのと同時に大勢の歓声と猫達がわらわらと飛び出してきた!
「「「おめでとう、ミーア姫!!!」」」
ワーワーと歓声が上がる中、お世話になってる城の方々、懐かしい同級生達、父母やボニーやアンネットまで所狭しと集まってくれていて、驚いたのと同時に幸せな気持ちで一杯になった。
みんなが見守る中卒業証書授与を受けた後、私はドレスの裾をつまみ深々とお辞儀した。でも! これだけでは感謝の気持ちは収まらない!! 私はしっぽをフルンッと振った!
最大限の気持ちを込めて!
「ありがとう! みんなに祝福を!!」
集まっていた全ての猫達の頭上にキラキラの星屑が降り注いだ…たまには良いんじゃない?
だって、いつも人間達の為に願い星を降らせているんだもの、与えてばかりじゃなく、逆に与えられたって、ね?
翌日、幸せな気分で、でも新たな気分で200年目突入の為、人間界へ舞い降りた。
〜1本目のしっぽのお話終わり
2本目のしっぽのお話へ続く〜
この後200年目の2本目のしっぽのお話に続き(取り掛かかり始めました)、300年目の3本目のお話(最初に書いた小説家になろう 2022年童話祭に発表した『花降りしっぽ・星降りしっぽ』)に繋がって行きます(1本目のしっぽのお話は番外編的始まりのお話、2本目の番外編はミーアの恋愛編です)