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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ ライラック ※
72/86

【71】※ conversation with~(会話)  ライラック②  ※


「 …………fin(終)…………って……映画の終幕じゃないかっ!!」



自分の発する大声で、意識を取り戻した。



「ユーキさん、大丈夫ですか?」



「ユーキ!いい加減に手を離しなさいよ!!」



「ここは……。」



「意識が戻りましたか……。安心しました。」



「本当に寝惚けないでよね!?」



「ライラック……?」



何故か俺は、ライラックの手を強く握っていた。



「ご、ごめん!」



慌てて手を離す。



「…………。」



ライラックは顔を赤くし、プイッと横を向き、何も言わない。

……かなり怒っているな……



そうだ、俺は……研修途中にまた意識を失ったんだ。

長い映画に出演していた……いや、あれは確実にいつもの感じ、俺は間違いなく、ユーゴ・マテューだった。



「すみません!!……俺、いえ、私はどれ位意識を失っていたのでしょうか?」



「ユーキさんは、ライラックさんの研修途中、突然椅子から崩れ落ちたのです。時間にして…10分位でしょうか。」



……10分で2年間……



「……それで、ライラックの研修は大丈夫だったのでしょうか?」



「予想外…は失礼になりますね…。

検索PCは、私が補助致しましたが、ライラックさんも完璧に研修を終わられました。」



「えっ!?」



ライラックの方を見ると、相変わらず顔を赤くして、こちらを睨んでいる。



……間違いなく、リラ・ルグランだ。俺と彼女は、あの晩……



俺は思わず赤面した。



「ほ、本当にごめん!サポートするとか言っておいて、俺が意識失っていたら世話ないな。」



「……いいわよ。ユーキがわかりやすいように準備してくれたから、なんとか出来たんだから。」



……相変わらず顔は赤いが、怒ってはいない?…のか?……



「そう言ってくれると救われるよ。」



「……別に。」



またプイッと横を向いた。



「……やはり減点ですよね……研修途中で意識を失うなんて。」



「いえ、(むし)ろ加点を差し上げたい位です。」



「えっ!?」



俺は驚いてジェシーの顔を見た。



「ユーキさんに作って頂いたマニュアルや付箋、『あの』ライラックさんにも、わかりやすい物でした。」



……『あの』って……



「当社の研修の一助として使わせて頂けるなら、加点を致します。」



「加点ですか?それはありがたいですが、私に断らずとも、使う事は可能でしたでしょうに。」



「そのような訳にはいきません。使わせて頂いてもよろしいですか?」



俺の作った物など、後で勝手に使う事が出来る。

ジェシーは公明正大な女性なのだろう。



「勿論です。ジェシーさんは、研修生を思いやる事の出来る、本当に素敵な女性なのですね。」



……何を言っているんだ、俺は……



今度はジェシー迄赤面している。



「いえ……そんな事は……。」



ジェシーは顔色を隠す為か、下を向いてそう言った。



ライラックは膨れ面だ。



……怒っている!今度は確実に……



……何か変だ。つい口をついて出た自分の言葉……普段の俺なら、あんな言い方はしないだろう。……



「使って頂けるなら、私も作った甲斐があります。」



「ご厚意ありがとうございます。

それでは、研修はこれで終了となります。

研修後、当社に来て頂けるのなら、先程のご質問の解答を得る事も可能になるかもしれません。

ユーキさん、是非御検討くださいね。

お二人とも、お疲れ様でした。」



ジェシーは既に監督官モードに戻ったようだ。



「はい。消滅を免れましたら、検討させて頂きます。」



「……消滅?……ですか?」



反応は疑問形だ。



「いえ、なんでもありません。ご指導ありがとうございました。」

「あ、ありがとうございました。」






俺とライラックは『お客様対応室』を後にした。

ライラックは一言も喋らない。

俺はまともにライラックの顔を見られず、下を向いて歩いている。



「……本当にごめんな。」



「……何に対して謝っているのよ。

ちゃんとコールセンター風に言いなさいよ。」



「その…途中で意識失ったり、……手を握ってたり……。」



「……そんな事はいいわよ。」



「……怒っているよね?」



ライラックが立ち止まった。

俺も立ち止まり、顔を上げる。



「……ユーキが、あんな女ったらしだったとは思わなかったから…よ。」



「……?」



「本当にわかってないのね!

さっき、監督官に言ったでしょ?……なんか、いつものユーキらしくなかったわ。」



まともにライラックの顔が見られない。



「……いや、俺自身も戸惑ってるよ。」



あれは、貴族であるユーゴ・マテューが言いそうなセリフだ。

あの映画……いや体験は、やはりライラックの過去を体験したものなのか?



……リラ・ルグランは『強い女性になる』と言っていたが……確かにライラックは強い…というか、キツイ性格をしている……



しかし、途中でナレーションみたいな物も入っていたし、何かいつもとは違う感じもする。



「……ライラックは、過去を覚えていないと言っていたね。」



俺は下を向いたまま、言った。



「何よ!急に……。」



「転生したい本ってaventure de la sainte fille(聖少女の冒険)』なのかな?」



「!!……なんでわかるのよ!?」



「で、ジャンヌのように生きたかった。」



「……そうよ。」



……『ジャンヌ・ダルク』が空想小説の主人公だったのはどういう事だろう?内容は史実通りだったと思うが……



そう思いながら、顔を上げた。

ライラックは警戒するような眼差しを俺に向けている。

俺は再び目を逸らして言った。



「『ユーゴ・マテュー』という名前に心当たりはないか?」



「!!」



「あるんだね。」



「……ないわ。だけど……。」



「だけど?」



「何故かしら?……凄く胸が熱くなる……。」



やはり………



「『リラ・ルグラン』は?」



「……私の……昔の名前よ。」



「……やっぱりそうか……。」



「何よ!?ユーキは何を知ってるの!?」



意識を失っていた10分間に2年、別の人生を送っていた………なんて言える訳もない。



「……知っているというか……夢を見たんだよ。」



「はぁ!?魂は夢なんか見ないでしょ!?」



「……俺にもよくわからないんだけど、今迄も俺は意識なくした事あっただろう?」



「……そうね……。」



「俺は皆と違い、『oblivion』だから、もしかすると夢見る事もあるのかもしれない。」



「そんな事、関係あるのかしら?」



「俺にもわからない。

だけど……誰にも言っていないけど、今迄も意識失った時は夢らしき物を見ていた。」



「……そうなの?」



「ライラックは、自分の記憶を取り戻したい?」



「……それは勿論よ。」



「だったら、俺の見た夢は役に立つかもしれない。」



……ユーゴ・マテューが俺だった事は伏せておこう……気まずいし……



「……記憶は取り戻したいけど……なんだろう?とても悲しい思いをしそうで怖い気もする……。」



「悲しい思い?」



……少なくとも俺の体験では悲劇ではなく、ハッピーエンドだったと思うが……



「そうか……。」



「……でも、やっぱり教えて頂戴。

何か大切な事を忘れている気がする。悲しくても、思い出したい。」



「わかった。でも、俺は夢を見ただけだから、実際のライラックの過去とは違うと思うよ。」



「いいわ。何か思い出せるのなら…。」



俺は夢の話……いや体験した事を、()(つま)んでライラックに話した。

……勿論、ユーキという名は伏せ、あの晩の出来事はサラッと流した。





【あとがき雑学】


掻い摘んで(かいつまんで)


意味:

事の次第など、要点を抜き出す事。

『※あらまし』を簡略に述べることを「かいつまんで説明する」などと表現します。


※あらまし

意味:

・出来事の大まかな展開のこと

・大体のストーリー

・あらすじ

・話の概略

・話の概要


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