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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ ライラック ※
61/86

【60】※ Customer support center (お客様対応室) Part③ ※

またまたまたまた…更新が遅くなってしまいましたm(__)m

もう遅更新の常習犯ですね(反省!)

前回本文少なめ、今回は長い…思いつくまま書いているので、区切りが難しい(言い訳)

次回こそは早く更新するぞ!…(と毎回思ってはいるのですが(汗))


「ユーキさん、素晴らしい対応です。ですが…大丈夫ですか?代わりましょうか?」



ジェシーが心配そうに聞いてきたが



「いえ、大丈夫です。」



俺はそう応え、隣のPCに向き直り「転生聖女…新たな妃候補の誕生※初期(第一章)※初期(第二章)※初期(第三章)※聖女マリー※原作と転移後の違い」と素早く打ち込み、 EnterKeyを叩く。



【転移前・原作】

『第一章(転生)

※美しく心清らかな少女マリーは、不慮の事故で死亡する。

しかし、王家の聖女降臨の儀式によって呼び出されたマリーは魔法異世界に転生していた。

戸惑いながらも、王家や国民の為に尽くす事を誓う。

第二章(精霊の祠)

※聖女として降臨したマリーは、精霊の祠で毎日修練に励む。

精霊達の如何なる誘惑にも、過酷な試練にも耐え、回復魔術と精霊召喚を会得し、人々の心を癒やす存在となる。

美しく清らかなマリーは更に輝き、王国の二人の王子達は彼女に恋心を抱くようになる。

第三章(王都)

※王子達には、それぞれ妃候補がいた。しかし二人のマリーへの気持ちは更に深くなり、ついには兄弟の争いが始まる。

その事実と妃候補達の嘆きを知り、心を痛めたマリーは身を隠す事を決意する。』



【転移後】

『第一章(転生)

※美しく心清らかな少女マリーは、不慮の事故で死亡する。

しかし、王家の聖女降臨の儀式によって呼び出されたマリーは魔法異世界に転生していた。

異世界でのステキな出会いを期待し、胸踊らせるマリーだった。

第二章(精霊の祠)

※聖女として降臨したマリーは、精霊の祠で毎日修練に励む筈だったが、精霊達の誘惑に簡単にのり、過酷な試練がある日は修練をサボった。それでも、ショボい回復魔術と低級精霊召喚は会得した。

最初は、美しい聖女マリーに敬意を抱いていた人々も、その振る舞いに呆れ果てた。

王家は再度、聖女降臨の儀式を執り行ない、美しく心清らかな本物の聖女エレンを得た。

エレンは修練を見事に乗り越え、王国の二人の王子達は彼女に恋心を抱くようになる。

第三章(王都)

※王子達には、それぞれ妃候補がいた。しかし二人のエレンへの気持ちは更に深くなり、ついには兄弟の争いが始まるかと思われた。

しかし兄弟、妃候補達には共通の厄介者がいた。

どちらの王子にも色目を使い、妃候補達に対しては露骨に敵意を向けるマリーという存在。

特に聖女エレンに対する殺意ともいえる敵意は、凄まじかった。

自分の身を案じてくれる王子や妃候補達の気遣いや、マリーの乱心は自分の存在による物ではないかと、心を痛めたエレンは身を隠す事を決意する。』



画面に映し出された『原作と転移後』の違いを見て


……そりゃ、そうなるよね……



俺は呆れた気持ちでそう思った。

一緒に画面を見ていたジェシーの溜め息が聞こえた気がする。

ライラックの怒りの波動も肌で感じた。



「……監督官、どうしましょう?」



「…そうですね…。」



「行いを悔い改める方向で話しをした方がいいですか?更に怒りを買いそうですが…。」



「……そうですね……。いえ、それはやめておきましょう。」



「……では、どのようなアドバイスをしたら良いですか?」



「……もう一度、祠での修練を奨めてみてください。本人にやる気があれば、事態は好転すると思います。」



「……もしやる気がなかった場合は、後日更に酷いクレームが来ると思いますが、それでもよろしいのでしょうか?」



不意にジェシーの表情が変わった。

不敵な微笑み……瞬間、背筋がゾクッとした。



「……その場合でも、おそらくクレームは来ないでしょう。」



「……では、そのようにアドバイスしてみます。」



俺は嫌な気分を悟られないように、そう言ってから保留を解除した。



「マリー様、お待たせして大変申し訳ございません。」



「………遅すぎるわよっ!!」



「誠に申し訳ございません。」



俺は深々と頭を下げて謝罪した。



「それで!?何かわかったの!?あのニセ聖女を排除する方法!!」



……邪魔者は消す!って勢いだな……



不穏な空気を感じたが、俺は通常通りのトーンで話しを続けた。



「排除のお話しではございませんが、マリー様にとって有益なお話しがございます。」



「何よ!あのエレンとかいう余分な聖女を消してくれるんじゃないの!?」



「申し訳ございませんが、マリー様が転移された世界に、こちらから干渉する事は不可能でございますので、そのような事は出来かねます。」



「何よ!!役立たず!!転移後のフォローはしてくれる筈でしょ!」



「勿論フォローはさせて頂きますが、転移された以上、マリー様の本当の人生でございます。あくまでもご自身で切り拓いて頂かねばなりません。」



「切り拓くも何も…最初から小説とは違っていたわ!!」



「お言葉を返すようで、申し訳ありませんが、最初は同じでございます。

前回もお話しさせて頂きました通り、マリー様のその後の生き方が、現在の状況に繋がっているのでございます。」



「何よっ!!私が悪いって言いたいのっ!?」



「いいえ、そうは申し上げておりません。ただ現在が、満足頂けない状況なのであれば、少しアドバイスをさせて頂きたいと愚考した次第です。

お聞き頂けませんか?」



「……わかったわよ。……聞かせて頂戴……。」



だいぶ落ち着いたようだ。しかし声に元気がない。



……自分の行動に思い当たる節があり反省しているならいいが…それとも直接の手助けが期待出来ないからか…それも約款に記載があっただろうに…



「畏まりました。マリー様には、精霊の祠での再度の修練を提案させて頂きます。」



「…それが有益な話?…意味がわからない…」



「あくまでも提案でございます。修練を積むも積まないも、マリー様のお気持ち次第でございます。…ですが……。」



「……ですが……何よ?」



「現状を変えたいと切に願われるのであれば、ご自身が変わられる事が不可欠ではないかと……失礼ながら進言させて頂きます。」



「……わかったわよ。……」



「ご理解頂き、ありがとうございます。」



「……色々……その……悪かったわ。」



「いいえ、こちらこそあまりお役に立てず申し訳ございません。」



「……また何かあったら、相談に乗ってね。」



「畏まりました。どうか、良い人生をご自分の手で切り拓いて下さいませ。」



「……ありがとう。またね。」



「はい。お電話ありがとうございました。クリスティが承りました。失礼致します。」



電話が切れた。終了キーを押し、今回の問い合わせ内容と対応を打ち込み終え、顔を上げるとジェシーと目が合った。



「今回の対応の入力文章は、これでよろしいでしょうか?」



「はい、結構です。それにしても、ユーキさんのクレーム対応はお見事でした。社員でもなかなかここまでは出来ません。」



終了キーを叩き初期画面に戻した。



「お褒めに預かり、ありがとうございます。」



微笑みながら、礼を述べたが、頭の中では別の事を考えていた。



……マリーは「またね。」と言っていたが、多分『また』はないのだろう。ジェシーの先程の言葉「おそらくクレームは来ないでしょう。」

転移後初期のフォローはするが、ある程度経てば回線は繋がらなくなる。あるいは魂の同化が進み、この会社の事も忘れるのか。……



……まぁ、自分の人生だから当然と言えば当然か…

だが、多分マリーは大丈夫だろう。なんか歪みまくっていたけど、元々『聖女』の転移者に選ばれた魂なんだから……



あの最後のやり取りを思い出し、そう思った。



「ねぇ!」



今迄おとなしかったライラックの声がした。



……ヤバい!まだ怒っているのか!?……



「何?」



恐る恐るライラックを見上げると、表情は普通だった。



「聞いてもいい?」



「勿論、俺にわかる事なら、構わないよ。一応、簡単なマニュアル的な物は作ったし、必要なキー…いやボタンには付箋貼ったし…。」



「そんな事じゃないの。」



「?」



……仕事の質問じゃないのか?……



「ユーキはデンワで謝る時、なんでキカイに向かってペコペコ頭を下げてたの?」



「………。」



「なんか見てて、笑いを堪えるのに必死で、怒りが何処かに行っちゃったわ。」



「……そうか。なら結果的に良かった。」



「何よ、答えになっていないわ。」



「そうだね、俺のいた国では、謝罪する時頭を下げる。」



「でもお客様は目の前にはいなかったわ。ユーキの姿は見えない筈でしょ?」



「癖かもね。でも見える見えないじゃなく、謝罪の時頭を下げた方が、こちらの気持ちが相手に伝わりそうな気がするし……ふんぞり返った姿勢で謝罪しても誠意が伝わらない気がする。」



「ふーん、変なの。」



「変ではありませんよ、ライラックさん。」



それ迄黙って俺達のやり取りを聞いていたジェシーが言った。



「顔が見えないからこそ、声は大事なんです。姿勢が声に反映される事もあります。誠意を持って話せば、自然相手にも伝わりやすいものです。」



「……わかりました、私もペコペコやってみます。」



……いや、それはやらなくてもいいと思うが……



「頭を下げる事を意識してやる必要はありません。

要するに気持ちの問題ですから。」



「……はい、すみません。」



「それではライラックさんの実施研修を始めましょう。途中何かあれば、私が代わります。」



「……よろしくお願いします。」



「ユーキさん、検索のサポートをお願い致します。」



「了解致しました。」



一応簡単なトークスクリプトと画面の情報の見方、各キーの位置用途等々書いておいた。使うキーにも付箋を貼った。

ジェシーがフォローしてくれるから、大丈夫だろう。



……いや…一番の危惧は、ライラックの感情か……



『トンデモないお客様』からの電話だと、また感情を爆発させかねない。

そもそも敬語を使えるのだろうか?



……いや、今更何を心配しても仕方ない。なるようになる!だ……



「ライラック、感情的になるなよ。冷静にな。」



「わかってるわ。」





ジェシーがライラックの隣に座り、俺は検索端末の前に座った。

ライラックが頭にインカムをつけ、準備万端整った。



……自分の時より緊張する……



ライラックがコントロールキーを押し、着信音が流れた。

画面が切り替わり、顧客の情報画面が出た。



『名前:マックス(商人)

スキル・アビリティ:鑑定、強化魔法

転移先:【異世界最強武具伝説(女性騎士シンシア)】(小説)

現在の状況:初期(首都カイザー)

前回の内容:「女主人公じゃなく何故男なのよ!何故武器商人なのよ!話が違う!なんとかして頂戴!」と大変お怒りのご様子でした。

『希望される転移先で必ずしも主人公になれるとは限らない』

契約書の約款にも記載されており、転移前の説明会でもご説明させて頂いた旨、お話しさせて頂きました。


担当者名:ナカニシ』



………かなり厄介な案件だ……



画面上の情報をパッと見て俺は思った。



……それにしても、希望した転移先で希望する人物になれない事もあるのか?…そういえば、異世界レセプションでは転移先の倍率を提示していたが、その倍率は主人公になる倍率だと明言はしていなかった……



「ライラックさん、少し難しい案件です。私が代わります。」



「いえ、私にやらせてください。」



「ライラック、本当に大丈夫なのか?」



俺が声をかけると、ライラックは一瞬俺の方を見て、ニッと笑った。その笑みの意味は……なんだ?

……不安だ。



ライラックは、EnterKeyを指で押し即座に言葉を発した。



「お待たせ致しました。異世界コンツェルンお客様対応室、ナカニシが承ります。」



意外な事に、ライラックは流暢に話せている。



……感情の起伏の激しさばかりに気を取られていたが、実は頭が良い女性なのかもしれないな……



不意に目の前が暗くなり、心音だけが耳に響いた。



……マズい!こんな時に……



〜〜〜〜〜〜〜〜


『なぁ、お前、人魂って見た事あるか?』


〜~~~~~~~



……なんだ!?誰だ!?……



俺の意識はまた暗い闇の中に吸い込まれていった。

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