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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ ハル ※
48/86

【47】※ Different world Reception desk(異世界レセプション) ②※


『ピンポーン!番号札30770番のお客様、カウンター迄お越し下さい!』



「お待たせ致しました。」

「お待たせ致しました。」



(((ハル様、もう少し頭を下げて下さい。)))



……ハルは、お辞儀が苦手なのか?いや、慣れていないのか。……



「申込み用紙、記入終わったんですけど。」



「お預かり致します。」



俺は、二十代らしき女性から、パンフレットと申込み用紙を受け取った。



「『転生巫女の成り下がり〜普通のおばさんに戻ります』の世界って、倍率高いの?」



(((倍率はパンフレットの左下に、タイムリーに表示されます。

合格は、申込み用紙の内容、適性等によって決まる事を、ご説明下さい。)))



「お客様、こちらの世界の倍率は現在3.8倍となっております。」



「ライバル多いわね。」



「倍率はあくまでも目安とお考え下さい。

合否につきましては、ご記入頂いた申込み用紙の内容、適性等で決まります。」



「ふ〜ん、そうなのね。」



「よろしければ、ご一緒に、お申込み内容の確認をさせて頂きますが、如何なさいますか?」



「じゃあ、お願い。」



「畏まりました。」



……にしても、変なタイトルだ。

小説、いや、ゲームの世界か?……3.8倍!?

そんなに、おばさんに戻りたい……いや、面白い世界なのか?……



「『希望理由』欄ですが、もう少し、具体的にお書き頂く事は可能でしょうか?」



「じゃ、こんなのどうよ?」



彼女はその場で『理由欄』を書き直した。



((記入された文章が『ナイスミドルでモテモテになってみたい』ですが、何か他に良い言い方はありませんか?))



俺はガスパーに助けを求めた。



(((『心も身体も成熟した、素敵な女性に憧れています。』等、如何でしょうか?少なくとも、その方が印象がよろしいかと思われます。)))



「お客様、このような文言を書かれては如何でしょう?」



俺はガスパーが言った通りの文章をメモした物を、女性に見せた。



「……でも、書き直すのは面倒だし、これでいいわ。

言いたい事は同じだし。」



……同じといえば、似ているかもしれないが……まぁ、いいか。本人がそれでいいと言うのなら。……



彼女の不合格は確定のように思えた。



……しかし、この考え方はマニュアルの『お客様に寄り添う』からは外れているな。

だが、これ以上突っ込むのも、怒りを買いそうだし。それに……



「『備考』欄は、空白でございますね。可能でしたら、ご記入頂いた方が、よろしいかと思われますが。」



「だって、特に特技とかないし……。大体スキルって何よ。」



「スキルとは、努力して身につけた『技能』や『技術』の事でございます。

特に、お持ちでないのであれば、異世界転生の際に欲しい『スキル』…いえ『アビリティ』、つまり潜在能力をご記入下さいませ。」



「能力?……そんな物なくても大丈夫でしょう?

どうせ結末はわかっているんだから。」



……『結末はわかっている』?

彼女は小説なり、ゲームなりの世界で、自分が疑似体験した通りの人生を、送れるつもりでいるのだろうか?……



何か違う気がする。



「……異世界転生の合否判定には、少なからず関係してくる物と思われますが。よろしいでしょうか?」



「わかったわよ!書けばいいんでしょ!?」



彼女は、申込み用紙に雑な文字で『モテる!アビリティ』と書いた。



……余程、モテたいんだな。……



「ありがとうございます。」



彼女はやはり機嫌を損ねたのか、返事もしない。



(わたくし)の至らぬ対応に、お怒りでしたら、大変申し訳ございませんでした。」



俺は、そう言いながら、謝罪の意思を示す為に、最敬礼(90度)をした。

ハルも一緒に頭を下げているが、最敬礼にはなっていない。



「そ、そんな謝らなくていいわよ。……前にも申し込んだのに、落とされたから、少しイラついていたのよ。

私の方こそゴメンね。あなた、いい人ね。」



「ありがとうございます。

(わたくし)には、勿体ないお言葉でございます。

それでは、お申込みを受け付けさせて頂きます。

ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」


俺は、今度は30度のお辞儀とともにそう言った。



(((ユーキ様、素晴らしいご対応でございます。先程は大変失礼致しました。

良い意味で、(わたくし)の見込み違いでございました。深謝致します。)))



((お誉め頂き、ありがとうございます。))



(((いえ、いえ。

それでは、ハル様と交代して下さい。)))



(((承知致しました。

ユーキ、本当に貴方は凄い人ですね。)))



ガスパーはともかく、ハルにそう言われると、素直に嬉しい。



((ありがとう、ハル。))



ハルは俺に微笑みながら、俺のいた場所に移った。

俺もハルのいた場所へ移動した。



……今度は補助的な役割だ。少しホッとするな。

ハルなら、俺以上に巧くやるだろう。お辞儀以外は。……





『ピンポーン!番号札30771番のお客様、カウンター迄お越し下さい!』



「お待たせ致しました。」

「お待たせ致しました。」



(((……ハル様、もう少し頭を下げて………)))



ガスパーの心の声が聞こえた。



……ハルは、やはり苦手なのか?やはり、公僕とはいえ、貴族だったから、お辞儀をした事がないのか。………



30°に身体を傾けながら、そんな事を思った。

すると、身体がグラッと揺れ、眼前が真っ暗になった。

段々、周りの音も聞こえなくなる。

……貧血!……ではない。またあの『落ちる浮遊感』に襲われた。



……今、気を失ってはまずい!研修の最中だ。チームの点数が…。……



そう思ったのが最後、再び俺の意識は暗闇に沈んだ。



【あとがき雑学】


『SKILL』(スキル)


※「技能」「技量」「能力」


スキルは「獲得可能な技能」というニュアンスがあります。

生まれつきの先天的な能力は、スキルとは呼ばれにくく、獲得可能な能力(経験、知識など本人の努力によって得られる能力)はスキルと呼ばれやすい傾向があります。

特に、訓練して身につけた特殊技能や高度な技術を指すことが多く、ビジネスではこの意味で使われています


この両者をあわせもった能力を表す場合は、ABILITY(アビリティー)です。

「能力」を意味する点で「スキル」と共通点があります。

しかし、「アビリティ」とは生まれ持った「能力」(その人が持っている特性や性質)を指す場合が多いそうです。


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