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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ ハル ※
46/86

【45】※ Practical training(実技研修) part8 ※


《異世界レセプション》マニュアル


[心構え]


※ 訪れる魂は、皆等しく『大切なお客様』である事を意識する事。


※ 転生転移の不安を和らげる為、『お客様』に寄り添う対応を心掛ける事。


※ 社員同士の会話でも、日頃から敬語を使う事。


※ 身だしなみは常にチェックする事。


※ 社内では常に『ホウレンソウ』を徹底させる事。



[仕事について]


魂を合法的に『異世界』へ送り、フォローする受付窓口の役割を果たす。


① 『異世界』転生転移希望魂の適合チェック、スキルチェック、及び必要な手続きを行う。


② 『異世界』へ転生転移後のフォローを行う。(クレームについては『お客様対応室』へ取次ぐ)


③ 『異世界』からのオファーは、『第3営業部』へ連絡。必要な魂材を選定し、手続きを進める。





意外に簡単な説明だった。

……が、よくわからない。

適合チェック?スキルチェック?『異世界』からのオファー?……

ここでの『異世界』の定義は、通常とは違う気がする。……


そして、それ迄の事例に目を通すと……

『勇者』とか『魔法』とか、まるでゲームか、アニメのような文言が出てくる。



「ハル……わかったか?」



「……仕事内容は単純に思えますが、私達が知る『異世界』とは、また違う世界の事が書かれているようですね。」



「だよな……。俺もそう思った。」



会話中に、ガスパーが現れ、一礼をした。



「失礼致します。お話声が聞こえましたので…。お二人とも、マニュアルは読み終わられましたか?」



「はい。」

「読了致しました。」



「それでは、今回の研修内容について、ご説明させて頂きます。」



ガスパーは、そう言って微笑んだ。



「その前に……マニュアルについてですが、少々難解だったと推測致しますが、如何でしたでしょうか?」



ガスパーは座りもせず、直立不動でそう言った。



「はい、正直、少し我々には難しかったです。」



「やはり……大変申し訳ございません。……

実は『異世界レセプション』は、まだ歴史が浅く、マニュアルも完璧とは言い難い物となっております。」



「……その……ガスパールさんは、座られないのですか?」



ハルと俺は座っている。

背の高い監督官のガスパーだけが、近くで立っているのは、なんとも居心地が悪かったので、そう言った。



「……これは、失礼致しました。

この体勢では、お二人を見下ろすようで、失礼でしたね。

申し訳ございません。」



「はっ?…いえ、そういう意味では……。」



ガスパーは、近くにあった椅子を引き寄せ、ハルと俺の前に座った。



「これで宜しいでしょうか?」



「ありがとうございます。

ユーキも私も、監督官である貴方だけが、立たれている状況が、大変心苦しかったものですから。」



……ナイスフォロー!ハル!……



「お気遣い、痛み入ります。」



「いえ。……

それで、こちらの『異世界レセプション』の歴史が浅いとのお話でしたが、会社として設立されたのは、最近なのでしょうか?」



「はい。左様でございます。

事例をご覧頂いたと思いますが、まだ然程の事例がございません。」



「それに、この会社での『異世界』についてですが、私達が知る今迄の異世界とは、違う物のように思えましたが。」



「はい。仰る通りでございます。

こちらで言う『異世界』とは、ハル様、ユーキ様が生存されていた世界とは、全く違う物でございます。」



「やはり、そうでしたか。

『ゆーしゃ』『まほー』等、私には馴染みがない言葉も記載されていましたので。」



……確かに、ハルが知らない単語ばかりだろう。……



「ユーキ様は、ご存知ではありませんか?」



急に振られ、焦る。

2人の敬語付きの会話を、ただ傍聴していたからだ。



「えっ?…はい、ご存知……いえ、ご存じておりました。」



「…プッ!」



ガスパーは、失笑した。

しかし、すぐに元の顔に戻り、頭を下げて言った。



「大変失礼致しました。

ユーキ様、今は無理に敬語を使われなくても、問題ございません。」



「いえ、マニュアルにも記載がありましたので、練習の意味でも、怪しい言葉使いになるかもしれませんが、努力したいと思います。」



「ユーキ様は、努力家でいらっしゃいますね。」



ガスパーは、俺に微笑むと、言葉を続けた。



「我社で扱う『異世界』は、多岐に渡ります。

遥か昔に分岐し、独自の進化を遂げた世界、あるいは人の想像によって生み出された世界等、今迄コンツェルンでは、扱わなかった世界を対象としております。」



「……俺、いえ、私は……魂の融合には、親和性が大切だと聞きました。

しかも、親和性があっても、己の肉体ではない以上、長居は危険だとも……。

それが、そんな全く関わりようもない世界へ転移転生して、大丈夫なのでしょうか?」



「……通常は、仰る通りでございます。

しかし、転移転生する世界に存在する魂との同調訓練をすれば、融合は可能となります。」



「!?」

「……同調訓練とは、どのような物なのでしょうか?ご教授願えますか?」



「大変申し訳ございません。

そのご質問には、お答え出来かねます。」



ガスパーはハルの質問に対して、そう答えた。



……知らないから、答えられないのか、知っていても守秘義務で答えられないのか。……



「承知致しました。

では、具体的に私達が行う研修内容について、お教え頂けますでしょうか?」



ハルは即座に質問を変えた。

すると、ガスパーは一瞬ホッとした表情を見せたが、すぐにいつもの顔に戻った。



「ハル様は聡明でいらっしゃいます。」



……聡明……その言葉に込められた意味は?……



「それでは改めまして、研修内容についてお話しさせて頂きます。」



「宜しくお願い致します。」

「よろしくお願いします。」



「今回の研修では、『申込受付』を担当して頂きます。

まだ『異世界』へ転生転移を果たした件数は、多くはないのですが、希望される魂はかなりの数、おられます。

その方々のご希望をお聞きする仕事となります。」



「……具体的には?」



「まず、受付窓口で申込み用紙をお渡しします。

『希望する転移転生先』『希望の理由』『異世界で何を成し遂げるつもりなのか』『備考欄』用紙は、その4点が記入出来る仕様になっております。

『備考欄』は、何かしらのスキル(特技)をお持ちならば、その事をご記入頂く、あるいは、その世界へ転移転生した際に、欲しいスキルがあれば、具体的にご記入頂く。

そして、申込み用紙を提出されたお客様への、簡単な聞き取りも行います。

不明な点は、口頭で聞き取った内容を、用紙に書き加える。

そのような作業となります。」



「承知致しました。」

「わかりました。」



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