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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ レオン ※
43/86

【42】※ Purification of the soul(浄化) ※


「『浄化室』送りは消滅するのか?」



ニモがポツリと呟いた。




あっ!?……確かに『浄化室にて消滅』と書かれている……



『浄化室』?……救助隊が分離した魂を送る部署だ。



……浄化された魂は、元の肉体に戻って、魂の融合を果たすのではないか?

なのに『消滅』?どういう事だ……



「どうした?色男!!」



トーマが声をかけてきた。



「……その呼び方はやめろ……。」



「あら、あら、ユーキくんたら、また反抗期!?」



「……はい、はい、お母さんは悲しいんだろ!!……」



どういう心境の変化かは、わからないが、トーマはあの一件以来、また俺にちょっかいを出すようになった。

だが、トーマが以前通りではない事は、よくわかる。

人目がある時にだけ、俺に拘る。

2人だけの時は、全く無視だ。



……ならば、いつも放っておいて欲しい。……



本心からそう思う。

周りの目を気にして、俺に関わるなら、少しも嬉しくもないし、むしろ煩わしい。



「なぁ、トーマ。『浄化室』とはなんだ?」



「なんだとは?」



「色付き魂から分離させて、持ち帰った魂は『浄化室』へ送る。

その後、その魂はどうなるんだ?」



俺が聞くと



「……それについては、私も知りたいと思っていた。」



前回の研修で『救助隊室』を体験したアンリが言った。



「……残念ながら、俺は知らん。

今迄行った事がないからな。」



「誰か、『浄化室』の経験者はいないのか?」



俺が聞くと



「……ハルは行っている筈だ。……」



トーマは、汚らわしいとでも言わんばかりに、低く、吐き捨てるような言い方で、ハルの名を口にした。



「?」



「ハル、ちょっといいかな?」



アンリがハルの方を振り返り、声をかけると



「私に何か、御用でしょうか?」



ハルは微笑みながらやって来たが、トーマはハルを一瞥すると、不快な顔を隠さず、その場を去った。



……トーマはハルを嫌っている。


俺に対する態度とはまた違い、皆にも明らかにわかる程、態度に出している。……



「ハルは『浄化室』の経験があると、トーマが言っていたが、そこはどんな仕事をする所なのか、ご教授願えないだろうか?」



アンリが問うと、ハルはにこやかに答えた。



「そうですね……。私は以前に1度だけ、『浄化室』での経験がありますが、魂それぞれの行き先によって、分けられているようです。

『返』と『還』と『孵』に。」



「『返』?『還』?『孵』?」



「貴方達が行った『救助隊室』でも『特殊部隊』『救助隊』など、内部で役割が色々分けられていたでしょう?」



「そうね。『案内人室』も、中で細分化されて『本人の過去』とか『異世界』とか他にも色々あったわ。」



ライラックが言った。



……部署=会社だ。

だとしたら、中で会社組織として、色々な部や課があってもおかしくはない。……



「私は、以前『返』で研修を受けましたが、そこは救助隊が持ち帰った、迷える魂の不浄を落とし、元の持ち主の身体に戻す…という作業をする事が主でした。」



「そうか。それで他の『還』や『孵』は、何をする所なんだ?」



アンリが問うと、ハルは首を横に振りながら言った。



「それは……詳しい事は、私にもわかってはいません。」



「……そうか。」



「『還』は、完全に消滅させるんだよ、魂を。……

……あの色ボケ女達が送られた所だ。

それこそ、お前らが一番行きたくない場所だろ?」



薄ら笑いを浮かべ、サミーが話に割り込んできた。



「…あぁ、そうだ。だが、貴様とて同じだろう!?」



アンリが、挑戦的な言い方をした。



「まぁ、そうカリカリしなさんなって!」



そう言うとサミーは言葉を続けた。



「『孵』は浄化し、それまでの記憶を消した魂を世界に放つ。」



「放つ!?」



「そうだ。浄化して、不純物を含まない魂を、新しく生まれる肉体へ送り込むんだ。

赤ん坊は、皆無垢だろう?」



サミーの言葉に、その場にいた俺達は、一瞬呆気にとられた。



「何やら面白い話をしているようだな。我にも聞かせろ。」



ニモ、ライラック、アンリ、俺、ハル、サミーに続き、レオンもやってきた。



「面白い話……とは言い難いが、知識は得られる。サミーがまた嘘を言っていなければ、だが。」



俺はサミーをチラッと横目で見て言った。



「ユーキくん、心外だなぁ。

一度は親友になった仲じゃないか?」



「そんな覚えはない。

あったとしても俺の黒歴史(忘れたい過去)だ。」



「黒歴史?なんだ、それは?……まあ、いい。

お前……何か違和感があるな。少し前よりはマシになった。

今なら、本当の親友になってやってもいいぜ。」



「断る。」



「フンッ、それじゃあ、またその内遊んで(騙して)やるよ。」



サミーは、捨て台詞を吐いて、その場を立ち去った。



……レオン、シン、サミー、そして他でもない俺自身……

『違和感』『雰囲気が変わった』……皆、何かを感じている……


だが、何が変わったのだろう?…



思い返せば、『救助隊室』の研修を終え、部屋に戻る途中、俺は倒れた。

暗闇を落下する途中で、戦時下の日本に暫くいた。

それから更に落下し、男達の会話を聞いた。

その時、異様に胸の奥が痛かったと思う。

そして……そうだ、何かが俺から乖離した覚えがある。

原因は……それなのか?


だが、この世界では、これといった変化はないと思う。………

いや、そういえば……

《お前『俺』は………》といった、心の底の呟きが聞こえなくなった。

以前は頻繁に聞こえていたのに。



「ねぇ、掲示板!」



ライラックの言葉で、ハッとし、掲示板を見ると、先程迄の『拉致事件』の記事は消え、次の指令が浮き出ていた。



【あとがき雑学】



《かえる》:事、物、人などが、元の場所や本来の状態に戻ること。


漢字は幾つもありますが、それぞれ微妙に違うニュアンスや使い方があるようです。


『返る』

・単純に「元に戻る」という意味。

・一度変化したものが以前の状態に戻ること。

・向きや位置が反対になる意味もある。


『帰る』

・人が、家や故郷等、元にいた場所へ戻ること。


『還る』

・多くの地点を経由したり、様々な過程を経て、根源となる所へ戻ること。

(常用漢字表外の漢字。正式な文章では、「ひらがな」か「帰る」を使う)


『孵る』

・卵がひなや子になる、孵化するという意味。



※ 蛇足 ※

・「初心(原点)に帰る」「初心(原点)に返る」どちらも◎

・「トンボ帰り」✕「トンボ返り」◎

・「生き帰る」✕「生き返る」◎

・「生きて帰る」◎「生きて返る」✕



ひらがな、カタカナ、ローマ字……加えて、漢字の使い分け。

こんなに複雑な文字扱える国は他にあるのかな?

    ………以上、蛇足でした。


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