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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ レオン ※
37/86

【36】※ information exchange (情報交換会) part4 ※


サミーやトーマの顰め面を無視し、マイケルは言葉を続けた。



「バディー毎に、今回の研修内容の簡単な説明を頼む。」



マイケルは、アンリに視線を投げかけた。



「私達は、各部署の悩み相談を引き受ける『コンサルファーム』なる部署に行った。

それで、初めて理解したのだが、異世界コンツェルンにおける部署とは……。」



「理解?…今更だろうが。」



サミーが、アンリの説明中、話の腰を折った。



アンリは怒りの形相でサミーを睨みつけた。



「貴様は、黙っていろ!」



「チッ!」



「……『部署』とは、それぞれ別の会社だそうだ。」



……部署がそれぞれ別の会社?……確かに、コンツェルンは、複合企業体を意味する言葉だったが……



「…それが、どうした?」



トーマがアンリに言った。



「どう、と言われても……ただ、私のような初めての者にとっては、知らない事であったから…。」



「会社の形態がどのような物であっても、俺らのやる事は変わらんだろうが。」



「……いや、そうなんだが……。」



「…アンリは、仕えるべき『王様』が多数いる事に戸惑ったんだろうよ。

コイツは、律儀な馬鹿だからな。」



サミーがアンリをフォローした?……のか?……



「ならば、『異世界コンツェルン』とは、様々な国を束ねる同盟の盟主、我のような存在なのだな。」



「………。」



アンリは、レオンに露骨に不快といった顔を向けた。



「すまない。この世界の経験者である我々には、それは了解済みの事であった。

それほどアンリにとって、重要な事だとは思わなかったので、特段、言う必要のない事だと勝手に判断していた。」



マイケルはアンリに頭を下げた。



「……いや、私が勝手に動揺しただけだ。

確かにトーマの言う通り、研修生である我々のやる事に変わりはないな…。」



「魂の消滅。それは本当にあるのか?」



突然、ニモが口を開いた。



「……それは、我々にもわからない。

何度かここに来たが、幸いその憂き目にはあっていないからな…。」



「……他にも、お前達経験者は、何か隠しているのではないか?」



「隠す?…そんなつもりはない。」



「まぁ、いい。」



ニモは不機嫌そうに、そう言うと黙った。



……この異世界コンツェルンでは、社是、社訓、その他諸々、本来開示すべき事柄が、社員に全く告げられない。


『習うより慣れろ』を地で行く会社群なのだ。


こんな杜撰な管理体制だが、社員も研修生も、必死で働く。


目の前に『転生、転移』という美味しい人参をぶら下げられて、走る馬のように。

『消滅』という虎に喰われないように。…



改めて沸々と怒りが湧き上る。



……『お前が、やれ』……

……『終わらせて…やってくれ…』……



暗闇の中で聞いたあの言葉が、頭の中に甦った。

すると、不思議な事に、怒りの炎は鎮火した。



「今、行っている研修部署が、それぞれ違う会社だという事はわかった。

無事研修をクリアして、社員になる際、配属部署が違えば、それぞれ違う会社の社員になる、そういう事だな。」



「…それで間違いない。」



「だが、同じコンツェルンにある会社である以上、相互に協力し合う、そういう事だろう。」



……『探索室』と『救助隊室』は少なくとも協力していたようだし……



「その通りだ。」



「ならば、確かに今迄と何も変わりはないと思うよ、アンリ。」



……だが、本当にそうなのか?……



おれはアンリにそう言いながらも、少しの疑問を抱いた。



「そうだな。ありがとう、ユーキ。」





「……あの……すみません……。」



部屋の入口付近で、微かな声が聞こえた。



皆が振り返った先にいたのは、アイラだった。



「誰だ?」



「他のチームの者か?」



「敵状視察……という感じでもないわね。」



「おぉ、アイラではないか!」



レオンが大声で言うと、アイラは少しホッとした表情で言った。



「すみません…。お邪魔してしまって……。」



「……レオン、知り合いなのか?」



マイケルが聞くと、レオンは答えた。



「うむ。前回の救助隊で、同じ任務を遂行した者だ。」



……しかし、何故このチームの部屋に来たんだ?……



「……その……監督官のシンさんから言われまして……お二人を呼びに来たんです。」



「シンからか!?」



「……はい……。」



……シンが、俺達を呼び出す……

それは、あのオレンジ色の件に違いない。

何かわかったのだろうか?

……だが……



「皆、すまぬ。

おそらくは例の件であろう。

我とユーキは、一度退席させてもらおう。」



レオンはそう宣言すると、俺の肩を叩いた。



「行くぞ、ユーキ。」



「……う、うん。」



(((……行ったらダメ………。)))



フィンの小さな声を聞いたように思うが……



チーム全員の視線に見送られ、俺とレオンは、部屋を出た。





「シンが、我らを呼ぶという事は、何かわかったのであろうな?」



「……はい。……多分そうだと思います……。」



俺達は『救助隊室』へ向かって歩いている。



……アイラは、決して強気な女性ではなかったと思う。

だが、こんなにもオドオドしていただろうか?……



「……アイラ、何か変なんだけど……。」



「!?……な、何が…ですか?」



「……君のその態度、何をそんなに怯えているんだ?」



「…何を言い出すのだ、ユーキ。」



「……な、何も怯えてなんか、いません。」



「それに、シンが俺達を呼び出すのなら、おそらく、掲示板に指令が来るだろう。

何故、わざわざ君が訪ねて来たのか……。」



「………。」



彼女はあの時のように、小刻みに震えている。



「……まさか!アイラ、我らを謀ったのか!?」



「……す、すみません!」



アイラがそう言った途端、俺は何者かに頭を殴られ、床に倒れこんだ。



「貴様ら!!どういうつもりだ!!」



レオンの大きな声が聞こえる。



程なく俺は意識を失った。


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