【30】※ conversation with~(会話) レオン② ※
「今回は…驚いたよな。
……あぁ、僕はロビン。
チームWIS713209、識別コード7290854004だ。」
『救助隊』の部屋から、各チーム一緒に退出した。
すぐに、各チーム散会かと思ったが、ロビンが自己紹介を始めた。
自然、各々が自己紹介をする流れになった。
ロビンは俺と同じ…『貧弱』に分類される体型の若い男だった。
金髪に白い肌。
身長は高いが、少年のような幼い顔つきをしている。
「……私は、アイラ。
ロビンと同じチーム。識別コード7290854002。」
アイラは黒髪、浅黒い肌。
見た目は、そこそこ美人だろう。
ハッキリした顔立ちをしている。
「……俺達は、チームWIS599083。
識別コードなど要らんだろう。
俺がジェイで、コイツがロイドだ。」
ジェイは、浅黒い顔色に漆黒の髪色、レオンと同じように身長も高く、立派な体型をしている。
ロイドは白い肌、茶色の髪、身長は低いが、やはり筋肉質の体型だ。
「うむ。我らはチームWIS831322。
我がレオン、そしてコイツが貧弱だが、なかなか見所のあるユーキだ。」
……なんて挨拶してくれているんだ!レオンは……
他チームと共同で、研修に臨むのは初めてだった。
……そういう場合は自己紹介もあるのか?……
それに、あのようなイレギュラー案件にあたったので、皆不安なのかもしれない。
「お前達のチームは、なんとかなりそうか?」
ロビンが口を開いた。
……なんとかなる?……
「それはどういう意味だ?」
ジェイが俺の疑問を代弁してくれた。
「魂の消滅を回避出来そうか?って事だよ。」
……やはり魂の消滅はあるのか。……
「…………。」
「……回避出来るかどうかは、まだ判断出来ない。
監督官達が、どのように点数をつけているのか、どれ位の数のチームが消滅するのか、俺達にはわからないからな。」
ロイドがそう言うと、
「……精一杯やって、駄目なら仕方ない。…というか、本当に消滅なんてあるのかな?」
ロビンが、少し躊躇いがちに聞いた。
「…………。」
誰も答えない。
「……この中で誰か、以前にも、この会社での経験があるヤツいるか?
あるいは、会社の具体的な制度、情報を知っているとか…。」
俺の問いかけにも、誰も答えなかった。
……皆、初めてか。……
会社からの説明はない。
おそらく俺と同じように、慣習とやらで、経験者から聞いた話しか知らないのだろう。
「……なぁ、僕達はこの会社の事をあまり知らない。
余暇がある時、皆で情報交換しないか?」
ロビンの提案にジェイが応じた。
「……そうだな。では、集合場所は『救助隊』の部屋の前としようか。
タイミングが合えば、会えるだろう。」
皆と別れ、今はレオンと2人で俺達の部屋を目指して歩いている。
「魂の消滅……レオンはどう思う?」
……あの場で、一言も発言がなかった。
レオンにしては珍しい。……
「どうもこうも、ないわ。
今何を思っても、仕方あるまい。
ロビンが言った通り、精一杯力を尽くすだけよ。」
「……そうだな。」
「……だが、我らは『救助隊』の前には出向かん。」
「えっ!?……なんでだよ?」
「お前も見たであろう。バイキングという者が、こちらを見て笑った様を…。」
「…見たが、それがどうした?」
「あれは、特定の者を見ておったぞ。」
……!!……
「誰を!?」
「そこまではわからん。」
……もし、レオンの言う通り、俺達の誰かに笑いかけていたのだとしたら……
「あの色付きのヤツラは、俺達のうちの誰かと繋がっている…という事か…。」
「うむ。……そうとも考えられる。」
……それは、由々しき事態だ。
だが、新入社員と色付き魂に、どのような接点があるというのだろう?……
「……シンに報告すべきじゃないか?……」
「報告など要らぬ。シンも既に気付いておるわ。」
「……気付いている?」
「そして、おそらく監視するだろう。我ら全員を。」
「俺達もか?」
「当たり前だ。あの場に居た全員を、だ。」
「………。」
「だが、我はお前を疑わない。
お前が我を疑っても、だ。」
「……俺もレオンを疑わない。
レオンがそうなら、俺にそんな話をする訳がない。」
フッと微笑みながら、レオンは俺の頭を撫でた。
「!!…レオン、子どもじゃないぞ、俺は…。」
そう言いながらも、レオンの大きく、温かい手が……なんだろう……とても懐かしいような、不思議な安心感を俺に与えた。
「わかっておる。」
「……監視をつけられるから、先程のメンバーに会わない方がいいのか?
それとも、この事態を引き起こしたヤツと、接触するのは危険だからか?」
「そうだな。どちらかと言えば後者だ。
我は、まだこの世界の事をよく理解しておらぬ。
敵の思惑がわからぬ内に、敵地に乗り込むのは危険である。」
……敵地に乗り込んで、探るという方法もあるとは思うが、レオンは堅実な考え方をする。……
「……そう言えば、レオンもこの会社に来るのは、初めてなんだよな?」
「うむ。気づいたら、あの騒がしい群れの中にいた。」
……群れ…入社式だな。……
「じゃあ、誰にこの会社や、この世界の事をレクチャーしてもらったんだ?」
「サミーだな。」
「!!…サミー…。」
「アヤツは、もう何度もここに来ているようであった。」
「何か変な事、吹き込まれなかったか?」
「……変な事か?たくさん言われたぞ。」
「!!」
「ここは時空を束ねる空間だ。だの、幾つも同じような世界がある。だの……
我の知る範囲を、超えた話ばかりしおった。」
……いや、そうじゃなく……
「しかし、興味深い話ばかりであった。
まだまだ、我の知らぬ事はたくさんある、と気付かされたわ。」
「いや、そういう事ではないんだけど…。」
「お前はサミーに思う所があるのであろう。
アヤツは、確かに善良ではないかもしれんが、少なくとも、チームを消滅に導こうとはしておらんな。
ならば、最初のレクチャーでは、我に嘘は言わぬと思うぞ。」
……レオンの言っている事も一理ある。
だが、一時ヤツに踊らされた俺は、素直に信じづらい。……
「……我には野性の勘がある。」
「野性の勘って…?…。」
「フッ、野性ではないな。
色々な物を見聞きし、幅広く人と交友し、己の頭を使い考える。
そうして得られた、経験値に基づく『勘』ともいうべきものだ。」
「…全く野性じゃないよな…。」
「それに助けられた事も多々ある。まぁ、外した事も1度あるがな……。」
レオンは、少し寂しそうな表情で、そう言った。




