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ようこそ、異世界コンツェルンへ♪   作者: 三芳(Miyoshi)
※ アンリ ※
17/86

【16】※ Practical training(実技研修) part4 ※


「じゃ、モニターの説明はユーキくんに任せるとして…話を進めていいかな?」



ケイはアンリに視線を向けて言った。



「はい、私の勉強不足、不徳の致すところ…ご迷惑をおかけ致しました!」



相変わらずピンと背筋を伸ばしていたアンリは、頭を下げてそう言った。



「勉強不足…ふふっ、時空が違えば技術も違う。知らない事は恥ではない。

アンリくんはそんなふうに思わなくっていいんだよ。」



「有り難いお言葉、痛み入ります。」



「…アンリくん、堅い堅い。」



ケイはまた笑って言葉を続けた。



「ここは探索室だ。で、何を探索するかといえば…あらゆる時空、世界に存在する普通ではない魂を探す。」



「あらゆる時空、世界でありますか…」



……アンリがそう呟くのもわかる。一体どれだけの数を探索するんだろう……



「とは言っても、そういった魂がいる可能性のある場所は、システムによって検知されるから、丸っと全部という訳ではないけどね。

年代、国、どのパラレルワールドか、迄は特定される。僕達は詳細な場所を探し出すんだよ。

…それでも膨大な数の世界の探索になる。

違法に異世界に渡り、他人に憑依する魂や、自分の身体に戻れなくなり、仕方なく他人に憑依した魂など…本来在るべき場所にない魂を探す。」



……憑依は弊害が出る、とトーマが言っていたな…



「そして、発見したらすぐに『救助隊』に通報する。」



「あの…」



「何かな?」



「憑依してもされても魂が疲弊すると聞きましたが、それを放っておくとどうなるんですか?」



「…鋭い質問だね、ユーキくん。

魂が疲弊すると、その人間は世界に何らかの害をなす。疲弊が進めば進む程、その影響は計り知れない。

以前にたった一人の人間、魂が全世界を滅ぼした例もあるそうだ。」



「…それって、その憑依された人間も死んだという事ですか?」



「多分、そうだね。」



「…その憑依合体した魂はどうなったんですか?」



「世界滅亡とともに消滅した…と言われている。」



「…消滅…。」



「黄色の点は、まだ憑依していない迷子の魂だ。だが、魂は長期間宿る身体を持たないと、自然消滅する。自己防衛本能で憑依先を探している状態だ。

オレンジ色の点は、まだ憑依の侵食が少ない。

赤色は、だいぶ侵食が進んだ魂だ。

発見したら、すぐに救助隊が出動して、迷子の魂は保護し、憑依した魂は、魂の分離をして保護する。

だが…紫色は…救えない。」



「救えない!?」



「もう魂の分離は出来ない状態だからね。消滅させるしか手はない。救助隊は、その名の通り救いもするが…

殺しもする。」



「…魂が消滅すれば、その憑依された人間も死ぬって事ですか?」



「そういう事さ。

だから、僕たちの仕事は地味だけど、重要な仕事なんだよ。

早く、侵食が進まないうちに見つけられれば、助かる命も多くなる。」



「理解致しました!

そのような事情であれば尚更、死力を尽くし職務遂行致します!」



それ迄黙っていたアンリが突然口を開いた。

彼の顔は紅潮していた。



「アンリくん、やる気満々だね。」



ケイは微笑みながら、アンリの肩を叩いた。



「二人とも、期待しているよ。」



それから俺達はマニュアルを読み、探索室の仕事の流れをだいたい覚えた。



モニターで指示された様々な世界の映像を確認し、黄色、オレンジ色や赤色、そして紫色の点を探し出す。通常の魂の色は白で、画面には表示されるが、目立たない。


もし、色付きの魂を発見した場合は、すぐに手元にある黄、オレンジ、赤、紫の該当するボタンを押す。

紫色のボタンが押された場合は、この部屋にある赤色ライトが点滅し、非常事態を探索室全体に知らせる警報が鳴るようだ。

すると、全員が一斉に画面を切り替え、より詳しい場所を早急に特定する為に動く。

そして救助隊特殊部隊の精鋭達が、その場所に渡り、魂を抹殺するのだ。



マニュアルから顔を上げたアンリは、いつも以上に憂いを浮かべた表情をしていた。



「アンリ……大丈夫か?」



「…ユーキは人間の死を目の前で見た事はあるか?」



「…わからないが、多分ないと思う。」



「…そうだったな、ユーキは記憶を無くしていたな…失礼した。」



「いや、大丈夫だよ。」



「………」



またアンリは憂いの表情で、黙って何か考えこんでいるようだ。



……空気が重い……そうだ、アンリにモニターの説明をしなければ……



「アンリ、そういえばモニターの説明をまだしていないな。」



「ユーキ、有り難いが、それはもういい。」



「…もういいのか?…」



「私の知識では理解出来ない物だが、何を為せば良いかはハッキリとわかった。出来れば操作方法だけご教授願いたい。」



「あぁ、わかったよ。」



そうは言ったものの、俺もここでの画面の操作方法についてはまだわかっていない。

PCのキーボードの扱いには慣れている気がするが…

だが、アンリは機械に詳しくないだろう。

ここは俺がしっかり覚えて、アンリに教えなければ…



「マニュアルは読み終わったかな?…ある程度は理解出来た?」



「はい、理解致しました。」

「ある程度出来ました。」



「何か質問はある?…」



「はい、操作方法について知りたいです。」



「…あっ、そうか。それはマニュアルにないもんね。…僕は監督官になるの初めてだから、肝心な事忘れていたよ。」



ケイは『テヘッ』といった軽い感じで自分の頭を叩いた。



「実際に使っているのはこれなんだけど…ユーキくんは見覚えあるんじゃないかな?」



それは、見慣れていたキーボードそのものだった。


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